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ベルマークの闇に学ぶマーケティング #51

現在、小中高向けのサイトを作っていることから、学校のWEBサイトをよく見ています。

その中で、よくベルマークを集めて○○を寄贈しましたといった投稿をみかけ、そもそもベルマークって何なの?というのを調べてみました。

ベルマーク運動が始まったのは1960年です。
元々は、なかなか備品を揃えることができないへき地の学校に、寄付を行うための仕組みとして誕生したようです。

そもそもベルマークってなに?

詳しくは公式ページをと言いたい所ですが、わかりづらいです(笑)

超ざっくり流れをまとめると。

1.協賛企業がベルマーク財団に登録
 (年間約285万円と1点辺り1.25円を支払う)
2.協賛企業の商品にベルマークが貼られる
3.PTAなどの消費者がベルマークを集める
4.ベルマーク財団に送ると、協力企業から点数分の備品がもらえる

この仕組みは現代にも通用するのか

よくできた仕組みです。
これなら、へき地の学校へも色んな人が無理なく寄付を、、、
って、2019年の今、日本のへき地ってどこでしょう?

当たり前ですが、学校は文部科学省が管理しており、必要な備品は税金を使って購入されます。
戦後間もない財政難の頃であれば、民間企業の協力を得て、学校設備を整える必要性もあったのかもしれません。
しかし、現代においては時代錯誤と言わざるを得ないと思います。

PTA役員が何人も集まって、ベルマークを切り揃えたり数えたりする暇があったら、普通に仕事してきっちり納税した方が効率的です。
どうしても学校に直接寄付がしたいのであれば、ベルマーク点数相当の金額をPTA会費などから捻出すればよいだけです。

細かいことを言うと、ベルマークでピアノを買って、壊れた時の修理を公費で行うなどの場合はどうなのでしょうか?
法律的にはかなりグレーな気もします。

マーケティングとしては素晴らしい

現代における仕組みとしてはどうかとも思うのですが、当時のマーケティングとしては素晴らしいと思います。

マークを集めるだけで学校に備品が寄付できる!

まだ、テレビCMも無い頃、このようなキャッチコピーで広告を打てたことは素晴らしいアイデアです。
朝日新聞が中心となって始めたようですが、これを提案した人は優秀なマーケターだったことでしょう。
もしかしたら、学校側の要望より企業側の戦略的思惑が強かったのかもしれません。

子供ヨシ、地域ヨシ、企業ヨシの三方ヨシでみんなが前向きに協力できていたと思います。
現在もあるかもしれませんが、地域住民がベルマークを通して学校と繋がりあえるというのも良い点の一つでしょう。

ベルマークを今風に変えるとしたら

直接寄付すればいいじゃんという話を置いておいて、もしベルマークを現代風にするなら、こんな感じはどうでしょう。

・ベルマークシールを作り、裏面にQRコードを載せる
・アプリでポイントを貯められる
・寄付する学校やポイント数はWEB上で選べる
・PTA会長とベルマーク財団で使用用途を決める

システム構築や運営に莫大な費用はかかると思いますが、メーカー側はシールを貼るだけなので、55社しかない協賛企業をもっと増やすことで賄えるかもしれません。
アプリ登録も面倒ですが、切って数えるのに比べればだいぶ楽になるでしょう。
アプリが使えないお年寄りはシールで寄付をして、PTAが代わりにアプリ登録しても良いでしょう。

調べてみると既にウェブベルマークという似たような仕組みは既にあるようです。
こちらは、特定ページを経由してからネット通販すれば、ベルマーク寄付ができるようですが、1点1点ポイントを集めるという楽しみが半減してしまう気がします。

無駄を省くことが正義なのか

このテーマは他の記事で詳しく書きたいですが、一見無駄なことと思えることも良い点は必ずあります。

PTAが集まって作業していれば、学校やお子さんに関する情報交換が行われるでしょうし、顔見知りが増えることで安心感も出てきます。

目的が、「ベルマークで備品を買う」ことだとすごく面倒に感じますが、「同年代の子を持つ親同士で懇親を深める情報交換会」と考えれば、そんなに無駄なことではないかもしれません。

そう考えると、何がきっかけで集まるかなんてどうでもいいのかもしれません。


現代に合わせた形に変えていくか、変えられないなら無理にでも存在意義を定義するか、結局やめるのか、いろいろと解決策はあると思います。
ただ、親御さんが不満を持ちながら嫌々続けるということだけは子供のためにも辞めた方がいいと思います。

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