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シナリオ//EXTREAMERS3.2 嵐の日に(前編)

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プロローグ#10 

アキレス研究所のラウンジへ向かう居住空間の回廊静かな研究所内、外は台風、防音ガラスに降りつけるかすかな雨の音、風の低いうねり。
ダイ「はっ! ほっ! よっ! お? よし! ほっ!、、、」
廊下でずーっとひとりでリフティングしているダイ。
ダイ「レオナ、どこ行くの?」
レオナ「うん、ナノさんに機材借りようと思って、、、。すっごいね、リフティング」
ダイ「からだなまっちゃって気持ち悪いんだよ」
ナレーション(レオナ)「夏休みの始まりとともに、赤道に近いウォーターワールドの日本周辺海域は、台風の種が生まれる海になる。途方もない大きさの入道雲が立ちのぼり、集まり台風へと育ってゆく。ぼくらはもう3日も外へ出ていない。」
セイヤの部屋をノックする
レオナ「セイヤ?いる?、、、、、、あれ?」
ナレーション(レオナ)「セイヤは部屋にはいなかった。ーーーゆいの部屋、まどかの部屋をすぎて、あおいの部屋。女の子たちは集まって小さな声で話していた、なんだか覗き込むのいけないような気がして通り過ぎようとしたらあおいと目が合った」
レオナ「あ、な、ナノさんどこかな?」
あおい「ラウンジじゃない?さっき入ってゆくの見た」
レオナ「ありがとう」
レオナ「ふう、やだな低気圧、、」
ナレーション(レオナ)「ナノさんはラウンジのソファの端で、雨がふきつける窓から嵐の海を眺めていた、テーブルの上はノートとさまざまなメモが散らばっていた」
レオナ「 あの、いまいいですか?」
気がつかないので壁をノックする
レオナ「 ナノさん?、、」
ナノ「 わっ、びっくり!」
ナレーション(レオナ)「 、、、元気ないつものナノさんになった、、、」
岸壁、嵐、荒れる潮騒、セイヤが嵐の中、歌っている。

ナレーション(レオナ)
 「僕たちはいまパラレルワールドにいる。帰る方法はまだ見つからない」
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SE/瞬足C.I シャキーン!
テーマソング(ヤワラカナミライ)
 ナレーション(アキレス博士)
 「EXTREAMERSとは、アキレス瞬足計画のために全国から集められた小学生テスト    パイロットたちの総称である。三人一組、スリーマン=セルのチームになって、新しい瞬足のデータをサンプリングするために巨大なバーチャルフィールドマシンの中を走り、飛び、助け合い、駆け抜けてゆく。柔らかな未来に向かって、」
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タイトルコール(ナノ)
「瞬足/EXTREAMERS3.2/ 嵐の日に(前編)/powerd by アキレス/瞬足」
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ストーリー#10/EXTREAMERS 3.2/ 嵐の日に、
雨と風の吹きつけるラウンジ
ナノ「よく見るとすっごいわね、マトリックスボール。」
レオナ「えへ」
ナノ「使えそう?フォロンメモリー」
レオナ「はい、大丈夫です、ありがとうございます」
マトリックスボールの起動音、そしてデーターバックアップのスピード感
ナレーション(レオナ)「マトリックスボールのメモリーがいっぱいで、バックアップに困っていた。この中には元いた世界に帰るためのデーターが入っている、と僕は信じている。 PCを経由してこの2ヶ月分の記録がフォロンメモリーにバックアップされる、数値の列、グラフ、色分けされた判定の傾向がすごい勢いで表示される」
ナノ「これは、最初のテストね」
レオナ「そうです」
ナノ「あ、これは?ここも?何かしら?グラフのゆがみ」
レオナ「たぶん、特異点だと思います、、」
ナノ「レオナくん、バックアップあとでかしてくれる?バーチャルマシンで評価してみたいの」
レオナ「はい」
ダイ「レオナ〜、セイヤしらな〜い?」(幽霊のように)
レオナ「うわお、びっくりしたー」
ナノ「ダイ、おどかさないでよ〜」
ダイ「にゃはは、、で、見なかった?セイヤ」
レオナ「さっき部屋の前通った時、いなかったよ」
ダイ「そっか、おっかしーな、あいつどこいったのかな?」
そのとき研究所内の空気が大きく動く、突風。テーブルの上のメモが舞い上がる。
驚くナノ、ダイ、レオナ。
ナノ「うわ!何?、、だれー!窓あけたひとー?セイヤくんー?」
レオナ「セイヤじゃないです」
ナレーション(レオナ)「僕は、予感がして廊下へ飛び出す、そのとき風は止まっていた」
セイヤ、嵐の中、高台の岸壁、海の歌を歌っている。
ナレーション(レオナ) 「セイヤは、台風の種を見ていた。雨をよけて大きな木の陰で嵐の生まれる海をもう何時間も眺めていた。 雨と風がひどくなってきた、海へ向かってすごい勢いで流れ込む風に立ち上がったセイヤはちょっと足下をとられてひやっとした」
セイヤ「うわ!」
ナレーション(レオナ) 「そのとき、風の中で、声が聞こえたような気がした」
セイヤ「あれ?、、、何やってるんだ、、あいつら」
ナレーション(レオナ) 「アキレス研究所からの海へ向かう切り立った下り道を赤、黄色、青の小さな雨具を着た子供が歩いている。突風がいちばん背の低い黄色をつかまえて突き倒した」

風の中、遠く聞こえてくる女の子の声
ゆい「きゃっ!」
あおい「ゆい!」
まどか「だいじょうぶ?」
セイヤ「だめだ、危ない、あんなの着てたら」
ナレーション(レオナ) 「セイヤはフェンスへ向かって駆け出した」
研究所、廊下
レオナ「ナノさん!これ!」
ナレーション(レオナ) 「僕が見つけたメモは、ゆいの書いたものだった。そこには、こっちの世界のゆいの家の住所が書かれてあった」
ナノ「あの子たち、まさか、、、」
外へつながるドアに向かって駆け出すナノ。
ナレーション(レオナ) 「僕はラウンジに戻りマトリックスボールを持ってナノさんのあとを追いかけた、そのとき窓の向こうを駆けてゆくダイが見えた。」
研究所、外へつながるドア。
ナレーション(レオナ) 「ドアが開くとそこはまるでむっとする生暖かい雨風が暴れる世界だった。ドアが閉まるまでにナノさんは既に全身びしょぬれになっている」
ナノ「ゲートは開かないはずよ」
レオナ「ナノさんこっち!」
ナレーション(レオナ) 「僕たちは、子供だけがくぐり抜けられるフェンスの隙間を見つけていた」
ナノ「レオナくんはそのまま行って!私はゲートを開けるから!」
ナレーション(レオナ) 「アキレス研究所の敷地は広い、ナノさんはガレージに戻り甲虫型のジープに飛び乗った。これでなくてはゲートの手続きが手間取る、200m前からゲートが無線で認識し動き出す。」
ナノ「あの子たち、、」
ナレーション(レオナ) 「最高速のワイパーでも雨は遮れない、視界が悪い。」
無線でアキレス博士が呼んでいる。
アキレス博士「どうした、ナノ!」 
ナノ「パパ、女の子たちが、こっそりおでかけしたらしいの。大丈夫、きっと、、」
アキレス博士「そうか、私もすぐに行く」
フェンス越しに走るセイヤ
ナレーション(レオナ) 「セイヤは、フェンスから叫んでいた」
セイヤ「おーい! 雨具を脱ぐんだー! 、、、だめだ、聞こえやしない」
ナレーション(レオナ) 「フェンスの隙間はかなり遠い。女の子たちはかたまりになって伏せているが、断崖から離れようと立ち上がるたびに突風に飛ばされて転がる、断崖へ」
岸壁の女の子たち
まどか「だめー、飛ばされる!」
ゆい「こわーいよー!」
あおい「ゆい、立っちゃダメ!いま行くから! きゃ!」


フェンス越しのセイヤ
ナレーション(レオナ)「 セイヤはあせった、高さ3mのフェンスを超えるには、力技でよじ登るしかなさそうだ。フェンスの隙間に足を入れよじってみた」
セイヤ「たのむぜ 瞬足!」
ナレーション(レオナ) 「少し上ると頂点のポールに手が届いた」
セイヤ「よし!」
ナレーション(レオナ) 「懸垂の要領でからだをひきあげる、越えた!着地すると、背をかがめて駆けてゆく、断崖の道は風が渦を巻き海へ向かって吹き上げている」
セイヤ「うわ! 風下、断崖側から押し上げなくてはダメかも、」
ナレーション(レオナ) 「向かい風をうけて、近づく。ぬかるむ泥と草で滑るが、負けない。
赤、黄色、青のかたまりに取り付いた」
まどか「 セイヤくん!」
あおい「セイヤくん、」
セイヤ「ダメだよこんな日に外に出ちゃ!」
ナレーション(レオナ) 「ゆいは泣いていた、あおいとまどかはゆいをなだめながらがんばっていた。」
セイヤ「まず、雨具を脱ぐよ、」
まどか「えー!だって濡れちゃう」
セイヤ「でも風で飛ばされるよりいいよね。わかった! 風上のゆいから、みんなでちゃんと身体支えるから」
あおい「ゆい、雨具脱ごうね、」
ゆい「あーん、びしょびしょで上手く脱げないー!」
ナレーション(レオナ) 「ゆいが頭をひとつ出した、フードが風をうけた、いままでで最大級の突風が、まるでそのタイミングを狙っていたかのように吹いた、風を受けたゆいの身体がふわっと浮いた。それを止めようとあおい、まどかが反射的に背筋を伸ばしゆいに手を伸ばす。想像以上の風の力が3人の雨具をつかまえ舞い上がる。セイヤはあおいの手をつかまえた」
ゆい「きゃー!」
まどか「ゆいー!」
あおい「うそー!いやー!」
セイヤ「うわっ!手をはなすな!」
ナレーション(レオナ) 「 もう、セイヤでもそれを戻せなかった。」
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SE/瞬足C.I シャキーン!
テーマソング(シナヤカナグラビティ)
ナレーション(まどか)「まどかです、夏休みにはいって自分の時間がふえたら、お家に帰りたい、ママやパパに会いたい気持ちでいっぱいになりました。このウォーターワールドから元いた世界に戻るにはどうしたらいいんだろう?そんなことばっかり考えていました。そんなときゆいちゃんがそれでもこの世界のお家に行ってお母さんとお父さんに会って話したいってべそかくので、あおいちゃんとゆいと三人で行ってみることにしたの、でも、、、気を取り直して!
EXTREAMERSの冒険はまだまだつづくよ!次回は嵐の日に!(後編)。こわかったけど、風に飛ばされるって、ちょっと素敵な体験よね、、」
SE/瞬足C.I シャキーン! アキレス!

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(つづく)20220405


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