【第1話】台湾 高雄の武徳殿で剣の達人と出会う
6/21 ,14:30、高雄国際空港に到着。
まずはMRT(地下鉄)に乗って宿のある生態園區駅へ。
さくっとチェックインを済ませて出かける予定が、宿の場所に着いてみると宿がない・・・。
宿のオーナーさんにメールをしてみると、何とネットで予約していた宿の名前と、実際に宿の入り口に書いてある宿の名前が違うことが判明。
「こんなことってあるの・・・」
と出だしからハプニングが発生したものの、無事に宿に荷物を置いてチェックインが完了。
日本が台湾を統治していた時代、高雄の中心地として最も栄えた哈瑪星(ハマセン)エリアに向かいました。
その道中、
「世界で2番目に美しい駅」、「高雄に来たら絶対立ち寄りたいスポット」として知られている美麗島駅に立ち寄り、光之穹頂(光のドーム)を見学。
4,500枚ものステンドグラスが使われているそうで、とても綺麗でした。
高雄の武徳殿へ
MTR 西子灣駅で下車し、哈瑪星(ハマセン)エリアに到着。
ここに来た目的は、登山街にある「武徳殿」を見にいくことです。
武徳殿は「大日本武徳会」によって明治32年に演武場として京都にまず造営されました。
その後1924年に大日本武徳会は高雄にも武徳殿を創建。
私は京都の武徳殿でセミナーを主催したり、息子が剣道の稽古をしたりと、武徳殿はゆかりのある場所なのでぜひ行ってみたいと思ったのでした。
剣の達人 陳 信寰(チェン シンフアン)先生との出会い
高雄の武徳殿は日本の城郭建築などにみられる唐破風(からはふ)の屋根に外壁は煉瓦造の近代和風建築の立派な建物でした。
太いしめ縄も飾られていて、「ここは日本ではないのか?」と思うような風情です。
私たちが見学可能なのかを事務所に訊ねに行くと、流暢な日本語で
「はい。大丈夫ですよ」
と対応してくださったのが陳 信寰(チェン シンフアン)先生でした。
陳先生は剣道教士8段で宮本武蔵が完成させた剣術「二天一流」第11代宗家で剣の達人。
剣道を通じて財務大臣と一緒に日台交流もされています。
ちょうど私たちが到着したタイミングが少年剣道の稽古時間で、武徳殿からは稽古をしている子ども達の声が聞こえてきます。
すると息子は稽古がしたくなってきたのでしょう。
息子は陳先生に「僕も稽古に参加してもいいですか」とお願いをして、何と急きょ高雄の武徳殿で稽古をさせていただけることに!
台湾の少年剣士たちと一緒に竹刀を振る貴重な体験をさせていただき、親の私もとても嬉しく思いました。
武徳殿の歴史
高雄の武徳殿についてはWikipediaにも掲載があり、
と書いてあるように、戦後に無くなりそうな危機を乗り越えて、来年2024年には創建から100周年を迎えることになります。
京都にある武徳殿も、戦後に大日本武徳会がGHQから解散命令を受け、武道専門学校は閉校。
武徳殿をはじめとした関係施設は駐留軍に取り上げられた危機を乗り越え今日に至っています。
その経緯の詳細は以下のページをご覧ください。
武道の歴史を通じて、多くの日本人が知らない日本の近代史を学ことができます。
京都右武館の歩み 「1創成期」では、戦後間もない頃の生々しい日本の状況が書いてありますので、ぜひ読んでいただきたいです。
ちなみに、私も京都の武徳殿の歴史については『月刊秘伝』2022年1月号に少し書いたことがあります。
このように高雄の武徳殿も京都の武徳殿も、時代の荒波を乗り越えて現存していると思うと、本当に「有難い」という気持ちが心の底から自ずと湧き出てきます。
そして帰国後に発見したYouTubeの番組、「日本を知りたくば、台湾へ行け〜武士道探訪編」には陳先生がご出演されているので、ぜひご視聴ください。
思い出に残る武徳殿グッズ
高雄の武徳殿ではLEGOのような「超微型積木」や手拭い、Tシャツなどのグッズなどが販売されていて、たくさん購入しました。
息子はさっそく京都の武徳殿で剣道の稽古をする時に、台湾の武徳殿で購入した手拭いを頭に巻いていました。
高雄の武徳殿で素晴らしい出会いと体験をすることができ、ぜひ再訪したいと思っています。
追伸
哈瑪星(ハマセン)エリアには日本統治時代の面影が残っている建物がたくさんあります。
日本統治時代、台湾では南北縦貫鉄道建設が行われ、1908年(明治41年)には基隆-高雄間(404.2キロメートル)で全通。
武徳殿から宿に戻るのに利用したLRT(次世代型路面電車)哈瑪星駅には統治時代に使われていた電車が展示されており、何だか高雄にいながら懐かしい昔の日本を感じることができました。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
ゆったりとしたペースになるかも知れませんが、引き続き「日本を見直す台湾の旅 2023年6月」を書いていこうと思っていますので、ご興味のある方はフォローしてくださいませ。
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