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読む『対談Q』登坂淳一さん(アナウンサー)「透明にみえるまでやってやろう」後編①

HIROBAの公式YouTubeチャンネルで公開されている『対談Q』。こちらを未公開トークも含めて、テキスト化した”読む”対談Qです。

今回のゲストはアナウンサーの登坂淳一さん。

前回はこちら↓

白い歯が見えただけで大事件

水野:みなさんのなかで冷静なイメージ、上品なイメージがついていたと思うんですけど、ご自身で「苦しいな」と思ったりされることはなかったですか?

登坂:普段もあのイメージだろうっていう先入観を持って接してこられると、ほんの少しのギャップがすごく大きく感じるんでしょうね。笑ったら「笑った!」みたいな。赤ちゃんか!みたいな(笑)

水野:白い歯が見えただけで大事件でしたよね(笑)

登坂さん03

登坂淳一
1971年生まれ、東京都出身。
1997年、NHK入局。18年、NHKを退社しフリーに転向。
2021年4月末、第1子となる女児が誕生。同年10月に「イクメン オブ ザ イヤー 2021 芸能部門」も受賞している。


登坂
:そうそう。同じことをやっているひとたちは何人もいたのに、なんで僕だけがそういうふうに見られるんだろうというのは、たしかにクエスチョンマークだったんですよね。そんなにロボット感があるのかなぁとか。

水野:他のNHKのアナウンサーの方も、やっぱりちゃんと同じモードで。

登坂:はい、やっていると思います。

水野:ですよね。でも登坂さんが輝いていたんですよ。

登坂:もちろん一緒にやっていた仲間たちは普段の感じを知っていて。まぁ、でも、ニュースセンターでそんなに砕けて話すかっていうと、そこまではしない。素になることは、たしかに少なかったかもしれないですね。

水野:今のほうがやっぱり素に近いんですか。

登坂:そうですね。今これが素ですね。

水野:どっちのほうが楽ですか? テレビでも素を出されるようになって。

登坂:これのほうが楽ですね。やっぱり自分のままで。やはりニュースだと、消したほうがいいものが多いですから。そこを徹底して、意識しちゃうタイプなので。出ないようにしよう、なんなら透明に見えるぐらいにまで頑張ろうって感じでやっていましたから。

水野:そっかぁ…。今バラエティーとかも出られていて、逆に(自分を)出すひとしか周りにいないじゃないですか。

登坂:そうですね。だから出力が弱いんですよ(笑)みなさんすごいパワーだなって思いますし。頑張んなきゃと思っていつもやっています。

水野:どうしてバラエティーとか、どんどん素を出していこうって、思われたんですか?

登坂:NHKを離れて、ホリプロに入ったときに、新しいチャレンジをしようって。絶えず新しいチャレンジをというのが一応のテーマになっています。


登坂さんが喋る「オス、オラ悟空」


水野でもまさか「オッス!オラ悟空」って言うとは思ってなかったんじゃないですか。


登坂
:そうですね(笑)。「これが面白いからやってみてください」って言われたんですけど。

水野:ご自身はどう思っているんですか? 僕らは面白いんですけど。

登坂:その面白みがどの辺かは知りたいです。自分のなかでは、「こういうのが好きなんでしょ」とか「こうやったら面白いんでしょ」みたいなのが、あんまりわからないんですよ(笑)

水野:だから、みんな好きになっちゃうんですかね。ご本人に打算がないから。それが見えちゃうと、やっぱりちょっと嫌だなって思うけど。

登坂:そうなんですかね。

水野:J-POPの歌詞の朗読とかもされていますね。

登坂: NHK時代に「歌詞を朗読してみるとか、結構面白いと思うんだ」って、たしか音楽番組やっていたディレクターとかに言われたことがあって。

水野:そういうこと言う方、いそうですね。

登坂:メロディーがあるものを、メロディーがないかたちで、詞の部分だけを声にしたときって、なんか違う感覚があるんだなって実感しながら。いろんなタイプのメロディーがあるということも、実感できますね。

水野ニュース調で、なるべく抑揚をつけない。それで詞が読まれると、逆に詞の構造が見えるんだなって思ったりもしますね。やっぱり詞って難しいなって、気づきがありました。


声に出して歌詞を読む


登坂:そうなんですよ。それぞれに歌詞を作られた方の特徴が。たとえば米津さんの詞は漢字がやたら多くて。しかも難しい。それが個性なんだって思いますし。あと水野さんの作品も僕、好きなのがいっぱいあるんですけど。

水野:わわ、ありがとうございます。

登坂:たぶん、水野さんって「理解する」とかよりも「分かち合う」が好きなのかなって。僕も好きなんですけど。


水野:すごい恥ずかしい。冷静に読みながら、結構、考えて分析して、読んでいらっしゃいますね。

登坂:そうですね。味わっている感じです。

水野:でも僕らからすると、なんでこのひとは笑わないで読めるんだろうとか、思ってしまう場面もあるんですけれど。

登坂そこは没入しているんですよね。言葉の特徴とか、漢字はこういうのが好きなんだなとか、こういう言葉が好きなんだなとか、そういうことが頭のなかで浮かんだりしながら読んでいる。どこか言葉の変態みたいな(笑)。

水野:ちょっと言葉フェチみたいなところはあるかもしれないですね。

登坂:あるかもしれないですね。だから水野さんの歌詞で、同じリズムで繰り返して、違う言葉で言い換えるとか、ああいうの結構ドーンッとハマるんですよ。

水野:あります、あります。吉岡にすごい嫌がられるんですよ。同じメロディーなのに、歌詞が微妙に変化していくと覚えづらいって。

登坂:でも言葉の意味をちょっと展開しながら、横に広げたり、縦に深めたりっていう、あれがすごい気持ちいんですよね。

水野:吉岡、見てるかー。俺、登坂さんに褒められてるぞー(笑)

登坂:すごい素敵だなぁと思って。言葉の選び方とか作り方。水野さんはこういう感じなんだなって、いつも思いながらやっています。

後編②につづく…


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