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読む『対談Q』 水野良樹×佐藤満春 第1回:僕も全ポイントまったく同じ温度で悩んでいる。

HIROBAの公式YouTubeチャンネルで公開されている『対談Q』。こちらを未公開トークも含めて、テキスト化した”読む”対談Qです。

今回のゲストは放送作家で芸人の佐藤満春さんです。


水野さんと話が合わないわけないとずっと思っていて。


水野:さぁ、対談Qです。今日のゲストは放送作家で芸人の佐藤満春さんです。よろしくお願いします。

佐藤:よろしくお願いします。嬉しいです。ゆっくりお話ししたいとずっと思っていたんですけど、なかなか機会がなくて。


佐藤満春(さとう みつはる)                       お笑い芸人(どきどきキャンプ)/放送作家/構成作家/トイレ博士/掃除マニア/
ラジオパーソナリティ/サトミツ&ザトイレッツ。              1978年2月17日生まれ、東京都町田市出身、桜美林大学文学部卒。

水野:今から5~6年前? もうちょっと前かもしれない。RAG FAIRの土屋さんがやられているイベントに呼んでいただいて。さとみつさんも出ていらして。僕もなぜか出ていて。そこで初めてお会いして。

佐藤:そうです、そうです。

水野:それ以来、こんなにちゃんと時間を取ってお話したことないんですけど。いろんな現場で会うたび、「あ!」「あ!また!」みたいな。「また!」だけを言う会話が何度も続いていて。いつかお話したい、必ず気が合うはずだ、みたいな気持ちを僕は持っていたんですよ、勝手に。

佐藤:本当に。もう話が合わないわけないとずっと思っていて。

水野:それでたまたまTwitterで僕のnoteの企画の話に触れてくださったことがあって。「獲物がかかったな」みたいな(笑)。このタイミングでお呼びしたらいいんじゃないかということで、今日来ていただきまして。

佐藤:ありがとうございます。絶対に話が合うんですよ。100%。そこはずっと思っていて。ただ、こっちからどういうふうにね…。急に、「ご飯でも行きましょう」っていうのも怖い(笑)。

水野:その気持ちまでシンクロしていました(笑)。そして今日、さとみつさんと一緒に考えてみたいQは、「楽屋挨拶をどう乗り切ればいいのか??」。

佐藤:これねぇー!

水野:「対談テーマどうしようかな?」と思ったら、なぜなんでしょう、頭にどうしても、楽屋の風景が浮かんでくるんですよ。

佐藤:あー!はいはい。

水野:サトミツさんとお会いするときって、必ず”誰かの楽屋の前の行列”なんですよ。いろんなひとの舞台とか、ライブとか。大体、関係者挨拶みたいなのが最後にあって。で、あの関係者楽屋挨拶が僕、本当に苦手で。あれが嫌で観に行かないときもあるんですよ、正直。

佐藤:本当にわかります。

水野:そのとき、必ず顔を合わせるのがサトミツさんで。なぜかサトミツさんのお顔を拝見すると一瞬、安心する。

佐藤:ありがたい。

水野:あれをどう乗り切っているかってところから、なぜ僕がサトミツさんを見て安心するのか。なぜ多くのひとがサトミツさんにお仕事を任せようとするのか。そういうお話ができたらいいなと思って。


楽屋挨拶の悩みポイント3つ。


佐藤:結論からいうと、僕は乗り切れていないです(笑)。まったく一緒で、楽屋挨拶が気まずくて行かないときもありますし。本当に困り果ててる。ライブの内容が途中から頭に入ってこないときとかありますよね。「このあと何を話せば…」って。だって、「おもしろかったです!」って…。

水野:言えないですよねぇ。

佐藤:なんか偉そうになっちゃってもアレだし。よくやるのは「終わったあと飛び出しなので、始まる前にご挨拶だけ」みたいな。差し入れだけ持って行って、マネージャーさんとかに渡してもらって、「来たぞ、佐藤は」と。

水野:証拠を残していくってことですよね。

佐藤:そうそうそう。で、普通にただ楽しく観て帰る。現状、どうされています?

水野:悩みポイントが3つぐらいあって。1つは第一声に何を言っていいかわからない。たとえばお笑いライブであれば、本当に笑っているし、「おもしろいなぁ。なんでこんなユニークなことが考えられるんだろう。芸人さんってすごいなぁ」って思っている。だけどおっしゃるとおり、それを「おもしろい」のひと言で収めていいんだろうか、とか。

佐藤:はい(笑)。

水野:あと、他の方々が前のほうで、たぶん、すごくいいことを言っているんだろうな感が漂ったときに。

佐藤:ありますね。

水野:「あ、こいつわかってないな」って思われたらどうしようみたいな。そういうのが渦巻くのがまず1つ。あと穿った言い方ですけど、関係者挨拶で並んでいるひとに中途半端な知り合いが多かったり。

佐藤:あー! 待っている間もちょっと気まずいんですよね。

水野:それがまた先輩の方とか、お世話になっているテレビ局の偉いひととかだと、僕のことを認識しているかどうかを計算するのが大変なんですよ。認識していただいていたら、挨拶しないと失礼なやつって思われる。でもこの場で挨拶したら、場を乱すかなとか。もうどうしようもない。

佐藤:相手は覚えてないだろうけど、もし覚えていたら無視したみたいになるし。まったく一緒。

水野:そこでまた、挨拶をすごく元気にやると、「お前、他のひとの現場で何しゃしゃり出てんだよ」みたいな。

佐藤:ちょっといい印象を残そうとしているみたいなね。

水野:で、3つ目がやっぱり差し入れが。

佐藤:難しい。

水野:絶妙なものは何か、いまだにわからなくて。どうされています?

佐藤:もう本当に、僕も全ポイントまったく同じ温度で悩んでいるので。

水野:ひとつずついきましょうか。


差し入れ問題は本当に難しい。


佐藤:差し入れ問題から。これ解決が早いんですけど。僕、『ヒルナンデス!』と『スッキリ』と『ズムサタ(ズームイン!!サタデー)』の構成をやっていて。わりと最新のお土産情報は入っているんですよ。

水野:最強の情報網を持っているじゃないですか!

佐藤:日テレのありとあらゆる番組の最新スイーツとかの情報。「あの芸能人オススメの~」とか。大体把握できているので、結構そのへんを使っちゃっていますね。

水野:それはもう勝てないですね。

佐藤:「若槻千夏さんがどこか持って行ったって言っていたな」とか。

水野:相手の好みとかは見るんですか?

佐藤:いや、そこまで考えだすとキリがないので。本当においしくないと悲しいじゃないですか。食べ残ったり。僕、味オンチなんですよ。だから、差し入れとして評価されているものとか、世間で今注目されているものとか、安全パイなものを買って。まぁスタッフさんでも誰かまわりのひとが食べてくれればいいか、ってやっていますね。

水野:さらに突っ込むと、スタッフさんの人数感ってどうやって把握する…。

佐藤:難しいですよねぇ。

水野:音楽ライブだと、僕も想像がつくんです。この規模の会場で、サポートミュージシャンの方がこれぐらいの数いるってことは、これぐらいのひとが関わっているから1ダースだ、とかあるんですけど。

佐藤:たしかに。

水野:でも、たとえば芸人さんのひとり喋りのライブとかだと、どれぐらいの方を楽屋まわりということで想定すればいいんだろうかと。

佐藤:何日目に行くかにもよるかなって。

水野:あー!

佐藤:わりと公演が数日あって、物持ちがいい差し入れだったら、置いておけば誰かが来るたびに、「あ、これこの前、『スッキリ』でやってたやつだ」って食べるみたいな。それが僕の狙いとしてはあるんですよ。

水野:テレビの力って強いですねぇ。

佐藤:「今話題の」とかひとつ乗っているだけで。本当に話題かどうかわからないですけど。デパ地下とか入って、「うーん…」って時間は結論がなくて苦しいから、僕はそうしちゃっていますね。

水野:僕は困ったときよく、揚げ饅頭を渡すんですよ。まぁ好き嫌いあると思うんですけど。


水野:なぜかというと、いきものがかりが「ありがとう」って曲を出したとき、NHKの朝ドラの主題歌で、NHKのプロデューサーさんがわざわざ現場に揚げ饅頭を差し入れてくださったんです。それがすごくおいしくて、そこでひとしきり話題になって、曲もドラマもヒットしたから。

佐藤:おー。

水野:「これはいきものがかりにとって縁起物なので、お渡ししています」みたいなエピソードをつけて渡すのが、いつもの逃げなんです。

佐藤:最高、最高。

水野:でもこれの弱点は、エピソードを話す時間がないところ。

佐藤:パッと渡すだけのとき(笑)。

水野:喋ることができれば、「そうなんだ!ありがとう!」みたいな感じになるんですけど。喋れないと、「俺、あんこはそんなに得意じゃないんだけど…」ってこともあり得るわけですよ。考えすぎなのかなぁ。

佐藤:考えすぎだとは思いますけど、そのエピソード込みの揚げ饅頭めちゃくちゃいいじゃないですか。絶対に嬉しいし。それを水野さんからもらったことも、誰かに話したくなるところまで含めて。

水野:そっか。

佐藤:すっごくいいですよ。水野さんは食べ物って何がお好きですか?

水野:甘いもの好きですねー。ただ、逆に頂いたとき、余っちゃうのが申し訳ないし、余るタイプのものもなんとなくわかる。「あぁ好き嫌いわかれるんだなぁ」とか。

佐藤:大体、差し入れ系って甘いものが増えるじゃないですか。だからたまにカウンターで、実はフルーツがボンってあるほうがいいみたいなことも。

水野:半ばそういうことを知っているからよくないんですよね。素直な気持ちで渡せばいいのに。

佐藤:悩んじゃいますよねー。でも揚げ饅頭のエピソードはすごくいいなぁ。羨ましいです。

水野:でもやっぱり『スッキリ』のほうが強いじゃないですか。

佐藤:まぁ、情報が固定されないからずっとそこのアンテナを張ってないといけないのはある。パッと仕事で扱ったやつを思い出して、買いに行ったりしますね。

水野:スタッフのみなさんは本当にいろんなところから情報を得て、調べているんですか?

佐藤:そうですね。今わりとインターネット発の情報も多いですけど。まずどこかの番組が扱って火がついて、そこからいろんな番組が、「あそこもやっていたからここも」とかも結構あると思いますし。

水野:そういうネタを探すのもすごい。

佐藤:差し入れ問題は本当に難しいですよね。誰かのお笑いライブだったと思うんですけど、僕が行く日が10日公演の9日目とか。

水野:もう佳境ですね。

佐藤:「今からドーンッて何か持っていってもなぁ…」ってタイミングのとき、その出演者のひととわりと仲よかったので、思い切って聞いたんですよ。「持っていくんだけど、もう甘いものとかじゃないでしょ?」みたいな。

水野:はい。

佐藤:そうしたら、そのとき言われたのが、「ふくらはぎに貼る、冷えピタシートみたいなのとかめっちゃ助かるんだけど」って。

水野:もうキテるんですね、足が。舞台で。なるほど!

佐藤:「あぁそうか。たしかに食べものだけじゃないか」と思って。で、持っていったら周りのスタッフさんも、「うわ! めっちゃ助かります!」みたいになって。聞くのはひとつあるのかと思った記憶があります。

水野:鍼灸師さんを呼ぶパターンありましたね。地方でゴッドハンドと呼ばれているようなひとを、ライブにも招待して、呼んできてくれて。楽屋でみんなやるみたいな。

佐藤:すごーい!

水野:うちらでは大ヒットしていました。やっぱりみんな疲れているんですよ。楽器を演奏するひとたちはとくに。すごく喜ばれていましたね。そういうイレギュラーパターンはあるかもしれない。

佐藤:勇気はいるけど。都市伝説的にあるじゃないですか。誰かがラーメン屋を呼んで、ドラマの撮影のときに来てみたいな。ただ、思い切った行動はなんか…。

水野:大ハズレする可能性もあるから。

佐藤:大いに、大いに。

水野:距離感、難しいですよね。

佐藤:差し入れはいろんなパターンありますけど、考えすぎるとキリがないですもんね。やっぱり揚げ饅頭のやついいなぁ。僕もやりたいぐらいです。「これ水野さんに聞いたんですけど、いきものがかりが…」って同じ揚げ饅頭をどこかに届けたいぐらい。

水野:「縁起物だよ!」と。

佐藤:又聞きなのに。

水野:「これは本家だ」って言っていただけると、僕すごく楽になるかもしれない(笑)。


次回更新は7月26日です。


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