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「小さい勇気をこそ」 〜『東井義雄の言葉』より

子どもの頃、先生からもらった“学級通信”、覚えてますか?

読書会人間塾の課題図書として、『東井義雄の言葉 〜こころの花がひらくとき〜』(西村徹 著)を読みました。 読書会前週に兵庫県豊岡市にある東井義雄記念館を訪れ、東井浴子さん(東井先生の義理の娘さん)から先生の人物像を聴けたので、本の言葉がいっそう立体的になった気がします。

西村徹さんと東井先生のつながり

『東井義雄の言葉』の著者 西村徹さんは、現在も兵庫県豊岡市で小学校教師として働いておられます。東井先生が赴任した八鹿小学校に入学し、6年間 東井校長先生のもとで小学校に通っていたそうです。

当時、八鹿小学校の教師だった米田啓祐さんが、教員になった西村さんに送っていた通信のなかで東井先生の本を紹介されており、そこから東井先生の言葉や教えに深く触れるようになっていった、とのこと。

『東井義雄の言葉』は、西村さんがハガキで送っていた「さくら通信」の文章を、東井先生の言葉とともに紹介した一冊です。

小さい勇気をこそ

「小さい勇気をこそ」というタイトルで紹介された東井義雄さんの言葉、本書のなかで一番心に響きました。

人生の大嵐がやってきたとき
それがへっちゃらで
乗りこえられるような
大きい勇気もほしいにはほしいが
わたしは
小さい勇気こそほしい

「勇気」という言葉をきくと、すごく大きなものを連想しがちです(命がけの…、我が身を省みず…、みたいな)。

でも、東井先生は「大きい勇気もほしいにはほしいが」と正直に前置きしつつ、「小さい勇気こそほしい」と書いています。
(実際はもっと長い詩の一部なので、ご興味あれば全文をどうぞ
 ⇒ 詩「小さい勇気をこそ」全文

この詩を読んで、小学校時代のことを思い出しました。

当時の僕は友人関係で悩んでおり、みなで起こしてしまったある出来事がきっかけで、担任の先生に呼び出されてしまいます。「止めたほうがいい」「やりたくない」という言葉を口にするのは勇気がいることですが、気が進まいことやイケナイと感じることでも、やってしまったら同じこと。先生は、そこを乗り越えてほしい、という意味を込めて、「堺くん、もう少し勇気をもたなきゃいけないよ」という言葉を贈ってくれたんだと思います。

「小さい勇気をこそ」は、全般的には怠惰な心や甘い誘惑に負けそうな自分への応援詩です。とはいえ、最後は大きな勇気への一歩となる、こんな言葉で締めくくられています。

どんな苦難ものり切れる
大きい勇気もほしいにはほしいが
毎日 小出しにして使える
小さい勇気でいいから
それが わたしは
たくさん ほしい


それに
そういう小さい勇気を軽蔑していては
いざというときの
大きい勇気も つかめないのではないだろうか。

小学生だった頃の自分に聞かせてやりたい、素敵な言葉でした。

「小さい勇気」で 100号続けた人開レター

昔話ついでにもう一つ…。
勤め先で人材開発・人材育成 施策のマネージャーだった頃、社内で育成に関わるメンバに対して定期的にメールを送っていました(勝手・個人プロジェクトです 笑)

ほぼ毎週1回、「ジンと来た言葉」と「カイ(快/解/開…)な本」の2つのコンテンツを紹介するメールマガジンとして、約2年半で 100号を発行しました。

いま思えば、このメルマガも東井先生、西村先生が続けた「学級通信」的なものでした。誰に言われて始めたわけでもなく、途中でやめても頻度を落としても、怒られるわけではありません。それでも、悪魔のささやきに対して小さい勇気を発揮しながら、なんとかかんとか100号まで続けることができました。

紹介した100冊の本 と 言葉との関連は本家ブログにアップしています。ご興味ある方は覗いてみてください。

関連リンク

さいごに、東井義雄さん、西村徹さん、二人をつないだ米田啓祐さんに関するサイトへのリンクを載せておきます。

東井義雄記念館
西村徹さん近著 『教師の作法 修養』(さくら社)
米田啓祐さん個人ホームページ「東井義雄先生

私が先生に初めてお会いしたのは、私の24歳がまもなく終わるころであった。もう、35年近くも前のことになろうとしている。すでに『村を育てる学力』などで高名であった先生が、私の勤めていた八鹿小学校に校長として赴任してこられたのである。…   
(「はじめに…生涯の師・東井義雄先生」より)

・『東井義雄 一日一言』(致知出版社)
 東井先生の薫陶を受けた 米田啓祐さんと西村徹さんが編著した本。

第88回 人間塾in東京『東井義雄の言葉』に学ぶ読書会 開催報告
 読書会で話し合ったお題など、紹介しています。


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