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板門店DMZツアー

せっかく1人で韓国に来たのだからと思って、板門店ツアーに参加。

韓国と北朝鮮の国境、軍事境界線付近にある板門店という集落は国連軍と北朝鮮軍が常駐して管理している。文在寅やトランプが金正恩と会談した所。

板門店には個人で行くことはできず、ツアーで国連軍のゲストという形で参加する。今回はKTBという会社のツアーに参加。費用は140000ウォン(14000円くらい)だった。

朝7時半くらいにツアー会社に集合してバスに乗り込む。バスは30人で、日本人7人、中国人23人だった。やっぱり北朝鮮に関心が深いのは日中韓の東アジア諸国なんだろうな、という感じ。日本人ガイドのキムさんが言うには、英語のガイドがつかないのは珍しいが、日本人は昨今の日韓関係を鑑みてか減ってきているらしい。


↑国連軍のバッチ。ゲストはこれを付けて見学する。

ソウルから1時間程度走ると、バスはDMZと呼ばれる非武装地帯に到着する。

まず軍事境界線について説明しておく。知ってる人は長いと思う人は飛ばしてください。

朝鮮戦争の後、朝鮮半島の両国は休戦協定において軍事境界線を定めた。これはいわゆる北緯38度線ではなく、きちんと線引きされたやつ(北緯38度線は戦争の前の国境)。そしてその境界線から両国方向にそれぞれ2kmの地域をDMZ、非武装地帯とすることを定め、また休戦協定が結ばれた板門店という集落の直径800mほどの地域をJSA、共同警備区域として国連軍と北朝鮮軍が共同で警備を行うこととした。

今回見学したのはDMZとJSAの両方。韓国人はDMZまでは入れるがJSAに入って見学することは出来ない(在日韓国人の人は申請で可)。

DMZの前で国連軍による検問を受ける。国連軍と言ってもこれは韓国兵で、兵役中の人だそう。韓国では全員に1人1年半にわたる兵役があって、板門店を警備する韓国兵は体格や武道などに優れたエリートなのだそう。一方ひょろい人はソウルの青瓦台とかの警備をするらしい。

検問の後は展望台から北朝鮮方向を見下ろす。韓国側を見ても集落が存在する。ここの住人は兵役免除などの特権を受けられる(韓国領ではなく国連管理の地域という扱いだから)。しかし住めるのは朝鮮戦争以前からそこに住んでいた人達の直系の子孫だけ。つまり男性は絶対に入れない。また、この集落は泥棒がいない街らしい。理由は兵隊が24時間警備しているから。当たり前だけどたしかに。

↑展望台から北朝鮮側を見下ろす。開城工業団地などが見える。

その後は京義線の都羅山駅を見学。朝鮮半島を貫く京義線でいける「北限」。ソウルからも1日1便だけここまでくる電車が出ているらしい。

駅のコンコースにはと文在寅と金正恩の会談の時の写真が飾られていた。他にも駅完成時の金大中大統領やブッシュ米大統領による枕木に書かれたサインが飾られていた。

平壌方面と書かれた乗車場。これが使われる日が来るのだろうか。。。


そしてついに板門店へ。まずJSAに到着すると米兵による検問が行われ、JSAセンターという所でスライドを鑑賞させられる。スライドの内容は朝鮮戦争からの南北朝鮮の協力の歴史、という感じ。キムさん曰くこのスライドの内容は米大統領や韓国大統領の交代ごとに変化していて、文在寅になってからは両国の衝突よりも協力や統一への努力、というような面が強調されているようである。

そして米兵がガイドを務めるバスに乗り換えて、板門店へ。米兵の言ってることがわからず、英語力のなさを痛感。。。

まずは自由の家。国連軍がゲストを招く用に、また北朝鮮を監視するために作ったらしい。

同じような建物が北朝鮮側にもあって元々自由の家が建てられた後北朝鮮が対抗して作り、これが自由の家より高かったことから自由の家が増築されまたそれに対し北朝鮮が建物を高くして、、、と高さ競争が行われていたらしい。

↑北朝鮮側の建物。屋上には北朝鮮側の観光客の姿が見える。向こうの客は手を振っていたりするがこちら側で手を振り返したり反応したりすることは北朝鮮を挑発したという口実を作らせないために禁止。


↑文在寅と金正恩が会談の時出会った所。橋の向こう、茂みのある方が北朝鮮。撮影禁止のため写真はないがこの右側にスイスとスウェーデン軍のキャンプがある。これは中立国による仲裁委員会というもののために設置されたもの。北朝鮮側にはポーランド軍とオーストリア軍(たしか)のキャンプがあったのだがある時期から北朝鮮がこれらの軍を追い出して韓国側にのみ存在する。

↑南北首脳会談の時に文在寅と金正恩が一緒に植えたパインの木。統一の願いを込めたものだろう。




もはや説明不要なまでに有名な場所。青い建物の真ん中のブロックが軍事境界線。トランプと金正恩が手を繋いで超えたところ。国連軍のみが立っていて北朝鮮軍がいないのは、最近は北朝鮮軍は外に出ず建物内から監視しているからだそう。また少し見づらいが国連軍はサングラスをしている。これは北朝鮮側に特定されないため、また視線が合って挑発された、と解釈されないためというものだそうだ。


先程の写真の左側の建物、休戦委員会の行われる場所。写真のテーブルのマイクケーブルが軍事境界線。つまり米兵のいる側は北朝鮮領ということになる。板門店ツアーではこの建物に限って北朝鮮に入ることができる。

この休戦委員会では週に1回ミーティングが行われる決まりらしいが、北朝鮮が姿を現すことはないのだそう。もし現すとしたら写真の奥のドアから入ってくることになる。


さて、板門店見学の後は第3トンネルを見学する。第3トンネルとはなにかというと、北朝鮮は秘密裏に軍事境界線を超えるトンネルを北朝鮮から韓国に向けて掘っていて、ソウルまで繋ぐ予定であった。しかし1970年代に脱北者の証言から次々と存在が発覚、現在は第4トンネルまで見つかっている。しかしこれがもし見つからなかったら、1回に3万人もの兵が軍事境界線を超え韓国領にやってくる危険なものであった。

↑第3トンネルは撮影禁止なので付近にある統一への希望を込めたモニュメント。このように韓国人は統一を悲願としている傾向はすごく強いようだ。


以上がDMZ板門店ツアーである。実際に間近で北朝鮮と韓国の境界線、冷戦の最後の前線を見ることができてよかったと思った。

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