洞内 広樹 (映像ディレクター/映画監督)

ホラナイ ヒロキ / 映像を中心に、なにか作品をつくることについて。/ B'…

洞内 広樹 (映像ディレクター/映画監督)

ホラナイ ヒロキ / 映像を中心に、なにか作品をつくることについて。/ B'zとジェームズキャメロン / 『東京彗星』('17) / 佐野玲於『GHOSTING』('19) / 剛力彩芽『MASKAHOLIC』('20) / 飯島寛騎『サムライソードフィッシュ』('22)

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  • 映画『東京彗星』オンラインパンフレット

    短編映画『東京彗星』の、公式サイトでも紙のパンフレットでもない、オンラインパンフレット。 通常の映画のパンフレットには入りきらない、またはハマらないような生々しい話、詳しい話などを書いています。

最近の記事

映画監督もフィーチャリングすればいいのに

パチンコ映像のぶっ飛んだ演出を見て思った。これは普通の映画監督にはできない。映画でこういうシーンをやりたいと思ったとき、"監督一人ルール"では劣化コピーを見せることになる。こういうシーンはこういうシーンが得意な人にやってもらう方がよさそうだ。 餅は餅屋。紀里谷和明監督『CASSHERN』の予告編で使われてる熱い戦闘シーンは樋口真嗣監督がコンテを切っている。その樋口真嗣監督も『ローレライ』では一部のシーンで庵野秀明監督にコンテを切ってもらっている。 コーエン、ウォシャウスキ

    • 手続きが恋しい

      ステイホームが続き毎日映画観ているけど、配信で映画観るとどうも「微妙だな」って思った映画はすぐ観賞やめてしまう。しかし不思議なことに、ディスクで観るとなんか止められない。物理的にディスクを手に持つという行為がその作品を「大事なもの」として脳に刷り込むのかな。小窓でタイムが出るのも構成の勉強としては良い。というわけでTSUTAYAの宅配レンタルサービス"TSUTAYA DISCAS最強説"が自分の中で急浮上している。 自分はNetflix、Hulu、Amazon Prime、

      • 脳も内臓である

        noteのようにWEBで横書きの長文を読んでいて、自分の目線が3行くらいの幅に固定されてることに気づいた。 紙で読んだり、kindleで読んだりするときは、ページ内で目が右から左へ動くのに。 こういう肉体的な所作の違いで、文章に対する脳の反応や理解も違ってくるのかが気になっている。 たとえば映画を観るときの脳の反応で、 ◯ディスプレイで観る …透過光。感情が反応しやすい。 ◯スクリーンで観る …反射光。論理が反応しやすい。 っていう研究にすごい腹落ちと衝撃を受けた

        • 最近の「格差映画」を解剖する

          GO三浦さんの『パラサイト 半地下の家族』に関するツイートを勝手に引用してこんなことをツイートしてしまいまして。 個人的に『パラサイト 半地下の家族』と『ジョーカー』が並んで語られるのはしっくりくるんだけど、『万引き家族』が入ってきて"格差映画"っぽく語られるのには少し疑問があったので、そのへんの自分の違和感の正体を考えてみた。 『パラサイト 半地下の家族』 『ジョーカー』 『万引き家族』 『天気の子』 について言及しますが特にネタバレはないのでご心配なく。 1.格差

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        • 映画『東京彗星』オンラインパンフレット
          24本

        記事

          「感動」の正体は、「凝縮された時間」である

          ほんとかどうか知らんけど、ピカソの有名な話。 ある日、ピカソがマーケットを歩いていると、手に一枚の紙を持った見知らぬ女性がこう話しかけてきたそうです。 「ピカソさん、私あなたの大ファンなんです。この紙に一つ絵を描いてくれませんか?」 ピカソは彼女に微笑み、たった30秒ほどで小さいながらも美しい絵を描きました。そして、彼女へと手渡しこう続けます。 「この絵の価格は、100万ドルです」 女性は驚きました。 「ピカソさん、だってこの絵を描くのにたったの『30秒』しかかかってい

          「感動」の正体は、「凝縮された時間」である

          ★短編映画『東京彗星』全編無料公開しました★

          監督作品『東京彗星』をVimeoで全編無料公開しました↓↓↓ 東京彗星/TOKYO COMET 1年後、東京に彗星が落ちる─そのときあなたは、誰を想うのか。 ストーリー: 2021年、日本。「1年後東京に彗星が衝突する」と発表される。 親のいない少年ショウと20歳の兄ソラ。 ショウは岩手へ疎開するが兄ソラは東京に残る。彗星衝突まであと1週間。ショウは兄を救いに東京へ向かうが…。 30分の短編映画ですが、この映画に関することはすべてnoteのマガジン「映画『東京彗星』オン

          ★短編映画『東京彗星』全編無料公開しました★

          体験としての映画(作劇/質感/解像度/容量)

          HBOの『チェルノブイリ』が『シン・ゴジラ』に似てるのは扱うもの(放射線を放つ制御不能の巨大ななにか)の性質上展開が似るだけでなく、作劇上も同じ仕組み。 作劇 通常の作劇は人物が立ち向かう外的問題(事件・事故)が内的問題(勇気とかトラウマとか)と結びついて進行するけど、『シン・ゴジラ』も『チェルノブイリ』も主人公たちは外的問題に全振りで、事態にひたすら立ち向かう。 『インデペンデンス・デイ』や『ツイスター』などひと昔前の災害映画は外的問題(災害)の解決が内的問題(別れた

          体験としての映画(作劇/質感/解像度/容量)

          十分に発達した実写は、CGと見分けがつかない

          この映像は実際に撮られたものだと思うけど、 見て思った感想が「うお、CGみたいだ…」であった。 で、自分のこの感想に違和感。 本来CGの方が「実写みたいだ…」を目指してなかったか? いつから僕らは逆に実写を見て「CGみたいだ…」と言うようになったのか? ということで、「ある実写映像がCGみたいに見えるのはなぜか」を考えてみました。 仮説①匿名性/抽象度が高い被写体だから冒頭の映像の被写体≒モチーフは、 ・遠くの山々 ・夕暮れの空 ・空を反射する凍った湖 ・湖をスケー

          十分に発達した実写は、CGと見分けがつかない

          ねだる技術〜ディレクターにとって「伝える」とは〜

          伝え方を間違えると、事故る 大学生の頃、『ロングバケーション』の竹野内豊さんを目指してたときが一瞬あって、美容院へ行きました。「ロンバケの竹野内豊みたいになりたい」と言うのが恥ずかしくて、なんとかそれを隠しながら「えっと、強めにウエーブっていうかパーマっていうか」と伝えたのですが、これが間違っていました。いま思えば、美容師さんは全然ピンと来てなかった。 3時間後、鏡に映ったのはロンバケの竹野内豊ではなく、パーマをあてたウシジマくんでした。 振り返って、この失敗から僕が学

          有料
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          ねだる技術〜ディレクターにとって「伝える」とは〜

          映画館は、「孤独でもいい場所」である。

          小学生の頃。学校で超嫌なことがあった日の夕方、親は突然ふらっと僕を映画館に連れてった。 観たのは「ナッティ・プロフェッサー」 出来は普通だったけど、帰る頃には少し気分はよくなってた。 -------------- 人生を変える名作じゃなくても、映画館を出たあと1ミリだけ救われてることは全然ある。 そういう「そこそこの映画」は意外と大事で、「そこそこの映画」が映画館でやってる事実はなんとなく「そこそこの自分」が生きててもいい、ということを肯定する。

          映画館は、「孤独でもいい場所」である。

          逆・徒弟制度

          A.先輩主体のものに、自分がアシストでつく B.自分主体のものに、先輩にアシストでついてもらう AよりBの方が100倍くらい成長率あがると思うのだが あんましBを実装してる組織はないような気がする Bはスペースシャトルのイメージ。 バカでかい燃料とブースターロケット(=先輩)がいれば宇宙に行ける。 宇宙に行きまくってタフになったら、 今度は後輩のブースターロケットになってあげればいい。 言い換えてみると、 A.全体を俯瞰してる先輩からバシバシ部分の指示出されても、

          人間のプロトコル

          「AとB、どっちがいいと思いますか?」と聞かれたとき、どう答えますか。 プライベートっていうよりは、仕事で。 ・「A(B)がいいと思う」と自分で"決断を代行"する ・「あなたはどっちがいいと思う?」と"相手の決断を補助"する こういうとき、聞き手が求めてるものと全然違う答えをしてしまうことって、あるなぁと。 あとはなんか指摘されてムッとするときって、"内容よりも言い方にムッとしてるケースが多い"んだろうな、とかそういうことを考えてたら、自分の中で腑に落ちたことがありまし

          「いじり」か「いじめ」かじゃないんだってば

          「いじっていい関係かダメな関係か」という話だから。 「いじっていいネタか、いじっちゃいけないネタか」 という"内容"の話ではない。 「芸人は笑いにするのが仕事だけど一般人は違う」 という"職業特性"の話でもない。 ぜんぶ"親密度の誤認"だから。 芸人さんがいじりを笑いにどうこうってのは職業柄もあるかもしれないけど、芸人仲間とか相方とか、そういう関係性だから。 芸人のいじりを一般人が真似して傷つく、とかじゃなくて。 いじっていいのは、"その人が傷つくか、ネタにしてる

          「いじり」か「いじめ」かじゃないんだってば

          高校生に「脳内映画型講演会」で挑んだゾ

          母校である法政大学第二高校でちょっとした講演的なものをさせてもらってきました。 で、自分の経歴や現在の仕事をパワポやkeynoteを使ってただ理路整然と語るのもなんかしっくり来なかったので…「脳内映画型講演会」に挑んでみました。 この記事は、その原稿を公開してみたうえで、結果的に僕の偏った自己紹介になれば、という趣旨であります。結果、ほぼ"こっ恥ずかしい自己紹介"となりました。 脳内映画型講演会、とは。自分の過去の経験や決断を語るタイプの講演会ってふつう、話す人が自分を

          高校生に「脳内映画型講演会」で挑んだゾ

          価値観・劇的ビフォーアフター

          人は価値観が転じたときに、転じ先の価値観を盲信して凶暴化しがちだよね、という話。 わかりやすいのが、禁煙。 僕が小さい頃、親戚のおじさんたちは宴会でばこばこタバコを吸っていた。しかし僕が大人になってタバコ吸う頃にはみんな禁煙してた。で、僕が宴会でタバコ吸ってるとみんな「広樹、タバコは体によくないぞー」と。まぁ僕は「おじさんたち、自分がやめたからってーもうー」と笑うくらいの、なんてことないことだけど。 しかし一般的には、禁煙に成功した元・喫煙者は、ネイティブ嫌煙家よりも積

          価値観・劇的ビフォーアフター

          あけましておめでとうございます

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