P03_ロゴ/ポスターのデザイン │ 『東京彗星』オンラインパンフレット

短編映画『東京彗星』オンラインパンフレット

3ページ目です。

P01_序文_どうしてもこの映画をつくらなきゃいけなかった、東京に大地震が来る前に。

P02_映画の”オンラインパンフレット”をつくる

につづき、今回は本作のロゴとポスターの制作過程を紹介します。

1.制作前段階
2.ロゴ
3.ポスター(初期)
4.ポスター(公開期)

※プロフェッショナルのデザイナー / アートディレクターの人にとっては「なにをいまさら当たり前のことを…つか、わかってねぇ」となること間違いなしな気もしますが、ここからは"生業にしてないアマチュア"という免罪符を発動する!その線引についてはこちらだ!

1.制作前段階

『東京彗星』は
「1年後、東京に彗星が衝突する」と発表され
混乱する日本を舞台にした作品です。

事前に予告された災害の情報により、
実際になにか物理的被害がまだないにもかかわらず
その情報だけで、いままでの常識が崩壊、逆転していく
言わば"情報災害映画"です。

2016年に夏にコンペに応募した企画書の段階では、
以下のような表紙でした。

はい、ロゴはただの刻明朝です。
なぜふりがなをふったのかは思い出せません。

ポイントは

「東京に彗星が落ちる『東京彗星』という映画」というのを
わかりやすくストレートに認識してもらう

の1点のみ。

しかしこの「東京の空に彗星が横切る」というモチーフは
まさに『東京彗星』を1枚画であらわすのにこれ以外ないものなので、
これから紹介するどのバージョンにおいても当然使用しています。

次に、絵コンテ段階でのロゴです。

ロゴのポイントは

①ゴシックと明朝2種のフォントが混ざっていてフォルムが確定していない
②英語ロゴとセットで全体では十字架モチーフになっていること

①の不確定なフォルムについては、
そのまま"情報"というものの不確定性を意味しています。
劇中の設定では日本中が彗星衝突情報を信じたり信じなかったり、
ふりまわされたりするので、ゴシックか明朝かハッキリしない不確定な感じにしました。

②の十字架については、
彗星衝突情報を前に死生観が問われる映画
かつ海外映画祭を狙っていたので、
気づかれないだろうけど
キリスト教の十字架モチーフは最適だろうと判断してのことです。

次の仮ポスター案で速攻その構図は破ってますが。

このポスター案は

デバイスやディスプレイを通じて体験する、"情報災害"だということ

をポイントとしています。

企画書では大きく"東京に落ちる彗星"がわかればよかったのですが、
脚本を書いたあと / 絵コンテを描く前なので
僕の気持ちが登場人物にいってますね。

[企画書]
東京に落ちる彗星(出来事)

[絵コンテ]
東京に落ちる彗星(出来事)が、
主人公の少年(登場人物)の手に持たれたスマホごしに見られている

と変化しています。

彗星が来る方向も、

[企画書]
左←←←右 

文字のレイアウトの都合と文を読ませる視線誘導の方向性に合わせて

[絵コンテ]
左→→→右
これは企画時につくったPR映像でもすでにそうなのですが、
人間は心臓が左にあるので、左から来られる方が怖い
という心理的なんちゃらにもとづいてこの方向にしてます。

劇中のあらゆる方向性についてもこうして全部明確に意図的に決めてるんですが、それはまた別の記事で語ることにします。

コピーに関しても、
「1年後、東京に彗星が落ちる」という
タグラインは変わらずですが、2つめのセンテンスが

[企画書]
疎開したボクが見た、ニッポン。

[絵コンテ]
そのとき、誰を思い浮かべるのか。

と変わっています。

これも、

[企画書]
"疎開したボクが見た、ニッポン。"

…言葉は主観なのに、切り口は客観

[絵コンテ]
"そのとき、誰を思い浮かべるのか"

…言葉は客観なのに、切り口は主観

と、正反対になっています。

やはり絵コンテを描く段階で、
僕がより登場人物や物語にフォーカスしたことがわかります。

ちなみに絵コンテの段階では、
ロゴはオープニングタイトルシークエンスで
様々なフォントがバグのようにグリッチしながら、
不確定のままキマるという予定でした。

完成作品でオープニングタイトルがどうなったかは、
是非上映でご確認ください。


2.ロゴ

そして映画は2017年4月に撮影を終え、
編集段階に入ったところで、いよいよロゴの発注です。

僕はデザイナーでもアートディレクターでもなく、
ディレクターです。
コンセプトに責任は持ちますし、
フォトショもイラレも少々いじれますが、
ディレクターの僕は、大事なロゴを僕自身には発注しませんでした。

魂こめた勝負作品なので、
自分が今まで会ったなかで
一番ハンパないアートディレクター
にお願いしようと思い、
2014年に出向してお世話になった、
バスキュールの春日恵さんにお願いしました。

バスキュールにお邪魔して脚本、絵コンテを渡し、
"情報が錯綜してフォルムが確定しない"というコンセプトを伝え、
春日さんは信じられないほど忙しい人なのに引き受けてくれました。
ありがとうございます。

そして、ベースとしてアップしていただいたのがこちら。

このときの春日さんのコメントがこちら。

この時点で僕はしっぽふって喜んで、
仮編集にも意気揚々と入れ込んで、よっしゃー!となっていたんですが、
春日さんはさらに粘ってくれました。

もっと記号的なのをつくってみる、と言ってつくってくれたのが、
最終的に使用しているこちらのロゴです。

う、美しい…。
僕が考えた薄いコンセプトは吹き飛びました。

日本語の漢字なのに、ピクトグラム的だし、
"星"の日の部分の禁止マーク感は災害映画の緊張感も内包しています。

こ、これがスーパープロフェッショナルや…!ハンパねぇ…!
ロゴに負けない映画に仕上げなければ…!
と戦慄したのを覚えています。

おかげで映画本編にいろいろ言ってくる人もロゴは褒めてくれます。
ありがとうございます。


3.ポスター(初期)

こうして『東京彗星』は2018年6月18日に無事完成し、
7月に関係者試写会と打ち上げをおこないました。
そしてこの作品、MOON CINEMA PROJECTという企画コンペの
クラウドファンディング投票により制作が決定した経緯があります。

最高額の出資をしてくれた方たちへのリターン品として、
完成作品のBlue-rayをつくらなければなりません。
つまり、ジャケット(ポスター)をつくるときがやってきました。

こんだけ素晴らしいロゴをつくってもらったので、
こりゃポスターは自分でつくるべ、と手を動かしてみました。

まずは企画書の感じになぞって、タタキを。
コピーは僕の師匠・大岡俊彦監督が作品を見て考えてくれたものです。

絵コンテ段階からある、十字架モチーフはいきてますが、
なんかスカイツリーでやるプラネタリウムイベントみたい。
当然ボツです。

やっぱ主人公いなきゃだめでしょ。
とはいえ別途スチル撮影する金もない。

あとは、動的な芝居をするのが本業の俳優さんに
スタジオで決めポーズさせて手弁当で撮った、
ストーリーや気持ちも見えないしクオリティもイマイチなポスターは
あんま好きじゃないのもあって、人物は劇中のキャプチャでつくることにしました。

主演の大西利空さんのいい表情と、劇中の彗星カットに対して、
縦にコピーをのせて逆十字架モチーフにしてます。
ロゴは試しに薄くしてみました。

うん、まぁまぁかっこいい。
コピーも英語にしてかっこつけてますね。

よし、いろいろやってみよう。
ロゴを真ん中にしてみたり↓

そのうえでコピーの後半部分を黒バックでたたせてみたり↓

悪くないけど、人物がひとりだと動きがない
というか関係性が感じられないので物語に見えない。
流れのないポスターだなぁ。

というわけで、お兄ちゃん(篠田 諒さん)登場。

おお、兄弟のドラマだってわかる
十字架モチーフもまぁコピーと境界線でギリ成立している。

と、ここまで来て
「兄弟が彗星のことで分断される話なんだから、
彗星は兄弟のあいだを引き裂かないとだめだろ」

と気付き、早速そうしてみる↓

おお、なんかそんな感じになった。
そうです、岩手に学童疎開した弟と、ひとり東京に残った兄の話なんです。
しかも東京の空もあいたから、ロゴは小さく上品に。

そうだ、せっかくコピーを縦にいれてるんだし、
センターの一直線にコピーと彗星をつなげて、
東京に落ちていく感じにしてみよう↓

…ん?映画のポスターに見えないな。
ロゴを大きく戻そう↓

なんかいまいちだな。

そもそも、縦一直線だと彗星に見えないし、
この構図だと"東京に彗星が落ちる"て感じがない。
東京と彗星が分断されちゃってるからかもな。

しかもビリング(※キャストやスタッフが超細い字で書かれてる、映画のポスターによくあるアレ/※このときはまだちゃんとつくってなかったので、別のを流用してる)を東京の風景にかぶせるのは、ごちゃごちゃしてみにくいな。

というわけで、整理。ポン。

・東京に彗星が落ちる
・彗星で兄弟が分断される
・ロゴがかっこいい
・ビリングも見やすい
・全体でなんとなく十字架モチーフ

をクリアしたポスターがいったん完成です。

よくみるとこの頃はサンダンス映画祭とるつもりで、
先走って左下に月桂樹いれてますね。

結果、呼ばれもしませんでしたが。ちくしょー!

というわけで、クラファン返礼品のBlue-rayは
このジャケットでいくことになりました。
ソフトのジャケットにはふつうコピーは入らないので、とりました。

日本国内ではこれでいくとして、
海外では日本人の登場人物より
彗星という飛び道具の方がヒキが強い
かもな、
ということで、最初のシンプルな方も海外版ポスターとして復活当選し、
無事ポスターABが出来ました。

これが、去年の夏の話です。


4.ポスター(公開期)

1年前もたてば、なおせるならなおしたくなるのが人間です。
なおす機会がやってきました。公開期の到来です。

『東京彗星』は現在開催中のSKIPシティ国際Dシネマ映画祭2018の短編部門にノミネートされ、ポスターとチラシの提出を求められました。

それと、この映画にはもうひとり重要な登場人物がいます。
兄弟が出会う、謎のおっちゃんです。

この役は、僕が6年くらい通ってる
銀座のバー「HOLD ON」のマスターをイメージして書き、
実際に演じてもらった役です。

この榎本"CHAMP"光永さんは演技初挑戦なのに、
見事に演じてくれました。

そして、お店でめっちゃ映画を宣伝してくれています。
なのに、ポスターにその役が映ってないんじゃダメだろ、と思いました。

榎本さんも映ったポスターをつくろう。
と、ポスターCをつくりはじめました。それがこちら。

大きなシチュエーションとしてヒキの強い
"東京に彗星が落ちる"ということを全面に出しながら、
それに翻弄されるそれぞれの人物の顔もちゃんとわかる。

そしてオープニングタイトルシークエンスでつくってもらった、
"東京に直撃する予想図"というかっこいいデジタルイメージを加え、

さらに春日さんがロゴ提案のときにくれていた
"こんな風にエフェクトかけてもかっこいいかも"という
アレンジロゴをのせました。

縦に走るコピーと彗星で十字架のモチーフも守りつつ。しかも、

1年後、東京に彗星が落ちる(ドーン)

東京に落ちる彗星(カッ)

人物(ポンポンポン)

そのときあなたは、誰を想うのか。

『東京彗星』(タイトルドーーーーン)

キャスト・スタッフ

という、"視線誘導だけで予告編っぽい流れを感じる"ってのを
目指してみました。

あとは、どことなく"90年代の映画のVHSジャケットのような感じ"
これはもう具体的に発注や指摘のできない、僕の心の奥底にこびりついてる感覚なので、どこがどうVHSっぽいのかはもはや説明できないのですが、
そんな感じになればいいなと思ってつくりなおしました。

出来が気に入ったので、チラシもこのビジュアルでいっています↓

そして、ここまで出来たら、ということで
新聞広告風のアレンジもつくってみました↓

小さい頃、金曜の夕刊が楽しみでした。
翌日公開の映画の広告がたくさんのってるから。
あのワクワク感を出してみたくてやりました。

ポイントは、

・映画の新聞広告って、やたら文字情報が多くてごちゃごちゃしててダサい
・受賞情報をドヤ顔でのせてる
・でも公開日時と劇場だけは別枠でパッキリわかる

て感じです。

文字に枠つけてイタリックにしてさらにナナメにするとか、
ふつうやんないですけど今回ばかりはハマってます。

そんな感じでレイアウトしつつ、
新聞ぽくノイズとテクスチャをいれて完成。


いままで紹介したのをまとめると、こんな感じ。

この新聞風のポスターの下にのってる情報は、映画祭じゃなくて

劇場公開情報だから全体としてしっくりくるのです。

劇場で公開される感じ、を含めての新聞風です。

★ ★ ★ ★ ★
短編映画『東京彗星』はU-NEXTにて全編配信中です。


この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?気軽にクリエイターを支援できます。

note.user.nickname || note.user.urlname

企画・脚本・監督した短編映画『東京彗星』U-NEXTにて全編配信中です。是非ご覧ください!!! https://video.unext.jp/title/SID0037097

12

映画『東京彗星』オンラインパンフレット

短編映画『東京彗星』の、公式サイトでも紙のパンフレットでもない、オンラインパンフレット。 通常の映画のパンフレットには入りきらない、またはハマらないような生々しい話、詳しい話などを書いています。
コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。