hiroe TANITA / LIGHT&DISHES 「光」と五感の関係と可能性を追求する日々

照明メーカー勤務後、独立。自身がセレクトする照明の販売、照明開発のコンサルティングなど…

hiroe TANITA / LIGHT&DISHES 「光」と五感の関係と可能性を追求する日々

照明メーカー勤務後、独立。自身がセレクトする照明の販売、照明開発のコンサルティングなどの活動をしながら「食」と「照明」をリンクさせる場 「たにたや – TANITAYA」を運営。AXIS、モダンリビングなどのデザインウェブ媒体でコラム執筆中。

最近の記事

FOSCARINI at LIGHT & DISHES Lab. その1

照明展示マンスリーも今回で、5つ目のブランドを迎える。9月から10月と2ヶ月に渡って展示をしてるのはイタリアのブランド、FOSCARINI(フォスカリーニ)。 1981年にガラス工芸で知られるイタリア・ムラーノ島で創設され、イタリアを代表する照明ブランドへ成長しアイコンとなる名作照明を多く生み出している。今回は、まだ会期中であり、公式撮影前でもあるのでこのブランドが持つ魅力をいくつか紹介したい。 すべてを変える光 / Lights that change everyt

    • TomDixon at LIGHT & DISHES Lab.

      前回に続き、今回は展示マンスリー4つ目のブランドTomDixon(トムディクソン)の照明を紹介する。 トムディクソンに関しては、ちょうど今年(2023)のミラノデザインウィーク、ミラノサローネ/エウロルーチェで新作を発表し注目が集まっていたばかりで、その新作も今回展示することができてタイムリーだ。 photo : Takumi Ota TomDixon(トムディクソン)は、UKのデザイナー、トム・ディクソンによって2002年創設のブランド。家具、テーブルウェア、などライフ

      • Artemide at LIGHT & DISHES Lab.

        2023年年明けから、デザイン好きなら一度は見たことのあるグローバルブランドの照明を月代わりでL&D Lab.に展示している。いま、6月だが、ちょうど5月の連休明けからの照明をレイアウトしているアルテミデは、イタリアを代表する歴史あるブランド。思いは色々あり語り始めたらきっと文字数がすごいことになりそうだが、まずは展示している照明を改めて一点づつL&D 視点で解説してみたい。 photo : Takumi Ota Photography Co., Ltd. PIRCE ピ

        • 2023.4月.光を巡る旅

          この4月、縁あって香港と、そしてかねてから計画していたミラノに照明の取材に行ってきた。両方合わせて約半月、ある意味アジアのハブとデザインのグローバルなハブに行けたことはこれまでにない収穫であり経験となった。もちろん、照明のジャーナリストとして、照明パーツから光源、意匠照明から空間演出の照明までできる限り情報収集は出来たと思っているが、何よりも、結局は「人」と「場」との出会いに尽きるに至った。 香港の温度といま 実は、返還前の香港に行ったことがあり、約数十年ぶりでの訪問だっ

          2022 への振り返りと2023へのこと

          去年2021年は、7年間のまとめと感謝、新たな挑戦への不安入り混じった年末だったのと、ずっと温めてきたことを実現するための決断の時でもあった。2022に入り、今年もnoteにその時々のことを書いているが、2022の年末を前にして現在の視点で思うことを記していきたい。 空回りと右往左往 今年の4月8日にLIGHT & DISHES Lab.はオープンした。そこまでの経緯などはnoteにいくつか書いている。今思い返すとただただ、自分の思いと状況を書いては”発信”しているという

          陰翳礼讃と今

          『まあどう云う工合になるか、試しに電燈を消してみることだ』 文豪、谷崎潤一郎の名エッセイ「陰翳礼讃」の最後の一節。1933年に発表されたこの随筆は、江戸時代から明治に入り、電気が普及していく中、大正、昭和と時代を経て、光に対してまだ繊細な美意識があった時に書かれている。それでも、谷崎は以上の一節を語っている。これは普遍的に存在する感覚なのだ。故に今、陰翳礼讃の光への美意識に立ち戻ることが大切なのではないかと思う。 この20年以上、進化している光の技術にどれくらいの意識や関心が

          光と食 / 食空間への光の効果とその結果

          いきなり「効果と結果」とテーマに書いたが、一番分かりやすく伝わるの事象としてやはり"効果" と "結果" これに尽きると思った。身体や精神にももちろん光の効果と結果はついてくるので、それは次回に。今回は、実際に「美味しく見える光」が具体的にどんな効果をもたらし、結果どうなったかを実際の事例を紹介しながら、光に関心を持つことで変化する食空間のスタイルについて話したい。 食べる時の空気をキメる 和食なのか、中華なのか、エスニックなのか、フレンチなのかイタリアンなのか、そして屋

          光が食のシーンと時間を変える

          きっかけは ずっと、食と光の関係を探求することを続けている。社名の"LIGHT & DISHES "は、30代半のころ自分で言い始めたフレーズだった。この頃はまだLEDが全盛というよりは照明メーカーでも白熱灯と共存で扱いがスタートしたばかりの時だったと思う。会社員時代、私は蛍光灯と白熱灯との違いをメインに自分でつくった料理に当てては、研究みたいなことをやり始めていた。休みの日、会社の鍵を借りて小さな実験室みたいなショールームでゴソゴソやっていた。LEDは正直苦手だった。特に

          プロローグ

          みたことのなかった光景 去年の11月末に、沖縄に1泊2日の弾丸旅行をした。延び延びになっていた友人との旅。ずっと行きたかったレストラン「胃袋」さんに行くことだけが目的の旅だった。飾りのように空間に一つ二つ、オーナーの方のお気に入りと思われるペンダントライトが点いているだけで、あとはテーブルにキャンドルのみ。途中激しいスコールが厨房奥の窓から店内に叫んでいた。 強い雨音も最高のBGMだった。そして「料理は光で変わる」を実感した時間だった。 外にでると、雨上がりの様子。宿までの

          LIGHT & DISHES Lab.について

          4月8日、お釈迦さまの誕生日、LIGHT & DISHES Lab.は無事グランドオープンを迎えた。この日に決めたのは実家が寺というのもあり、ちょうど今年2022年は金曜日だったので週末はきっと人も集まりやすいのではないかとと言うあまり面白くもない理由だ。今年に入ってからここまで、本当にいろいろあったしもちろん簡単な道のりではなかった。それを言うならば、今年どころか去年の10月くらいに遡らなければいけないのだけれど、そう過去を振り返ったところで時間は止まらず前に進んでいるので

          リアルキャンドルのライト

          新しい場所の施工や準備が、2月に入って急ピッチで進んでいる。未だ、資材の納期がみえないこともあったり、予算と資金繰りでは人生最大の戦いの中にいる。しかし、目標に向かってやるべきことは小さいことから大きなことまで沢山あって、どんどん決めて動かなくてはならない。そう、止まれない状態にいるということ。肝はなんと言っても料理が美味しく見える空間と照明。その中でもシンボル照明について、今回は触れてみたい。 なぜリアルキャンドルのライトなのか たにたやにあったキャンドル照明。自然と日

          光と住む家

          自然光と人工光がつくる時間とシーンは、1日として同じはない。これを実感させてくれる北海道東川の家。いつもの住空間が光を視点に捉えると、非日常な特別な場所になる。ここは、全方向から見て光が家全体をシンプルに包み込み、外と内とが一体化したような感覚を覚える空間だった。 必要最低限の灯りがつくる贅沢さ 玄関は、一つの光が決定づける。デザインがシンプルなほど光の使い方が明暗を分けると言っても良い。何を幾つ点けるか、どんな形のものを点けるかなどあるかもしれないが、先ずは一つで良いと

          終わりと始まり

          2022年を迎えた。2021年のnoteと2020年最後のnoteを読み返してみたら、自ずと2022に始まる新たなことへの布石が詰まっていた。去年の前半には沸々と湧き上がる未来への目標に向かって動き始め、後半には大きな決断をして走っていた。 止まっていた中で動いていく誰もが知っているように、2021は2020以上にコロナのもたらす状況は悪化。1月から4月の最初まで緊急事態宣言が続き、さらにその後も数回延長でオリンピックが終わり、その後まで続いていた。飲食店のたにたやは、ほぼ

          「たにたや」は12/23に終了します

          12月23日とは久しぶりの更新です。と言っても、お伝えしたいことを簡潔に書きたいと思います。SNS等で10月にたにたや移転のお知らせをし、多くの方々から7周年のお祝いとともに温かいメッセージをいただきました。本当に、奇跡のような7年間、自分でも信じられません、、。ありがとうございます ! 本日、11/23勤労感謝の日ですが、あと残すところ1ヶ月となった「たにたや」へ向け、そして次の展開への準備と、どう考えてもキャパオーバーな自分と対峙しています。1ヶ月後の今日、12月23

          難しいものとか苦い味のものについて

          だいぶ、更新から遠ざかっていたけれど、思うことがあったので久しぶりに書いてみたくなった。最近の出来事として、2ヶ月前くらいからコロナ太りと不摂生が溜まり肩こり腰痛ほか気になり出したので意識的に食事と運動のバランスをとるようになった。早朝か夕方か、1万歩ウォーキングと低GIな食事。人生半分以上生きてくると労らないと、楽しめなくなる。これは正しいと思うし、自分にはストイックさが常々足りないと思っていたのでここは頑張ってみようと。しばらくこんな生活をしてみると、空や景色や季節の匂い

          2020年の終わりに

          2020年の初めは年末近く会った人たちが、同じことを言いう。「今年って"夏"あったっけ?」その中には、春も、秋ももちろん含まれていて。とにかく、季節が一括して通り過ぎていった感がある。"コロナ禍"とか"withコロナ"とか、ウィルスが全て一括にしてしまったような気がしている。2020年の幕開けは、オリンピックイヤーになるはずだったから多くの人が期待や、または鬱陶しさ入り混じるそんな思いがあったと思う。私はどちらでもなく、楽観的に楽しく元気に過ごしていければとしか考えてなかった