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独立して4年が経ち。果たして、自分がミッションとして掲げている「ものづくりの現場に居たい」ということが、どれだけ実現できているだろう ? とふと思った。もちろん、たにたやでは日々包丁を握って料理をし、来店してくれるお客さんたちに提供をしているので、ものづくりとしてはある意味達成していることはあるかもしれない。そして、去年2017年のはじめに、無謀にも公的機関より追加融資を受け、自社オリジナルの照明器具を30個限定でつくった。確かにものづくりの現場にはどっぷりに入ってしまっている。。

しかし、楽しく、順調なことばかりではない。。いろんな人を巻き込み、部材一つ一つの製造や供給を請け負ってくれた方々に頭を下げ走り回り東奔西走し、完成から販売開始まで1年近くかかり今年の5月からやっと販売できることになった。今2018年の12月だが、なんとか残り8個までになる。照明のメーカー時代、組織の中で言いたい放題、とんがり続け、ぶつかっては痛めなくても良い心から何度も出血のようなことを繰り返していたが、いざ自分がピンになってやってみるとその時の傷がどれだけ役にたったかわからない。そして、もう当分オリジナルはやりたくない(笑) などと思っていたりする。それだけ、ものづくりというのは簡単ではないし、一人では何もできないし、それを販売して購入してもらうまでのプロセスには並々ならぬパワーが必要なのだということが身に染みた。ただ、これだけは言いたい。企画・デザイン・販売・製造、とどの部門にも「売りたい」「売れたい」「つくりたい」という同じモチベーションが絶対必要なのだということ。どれか一つだけが気持ち突出していても、他の部門が無関心だったり、"面倒なことだな・・"のような気持ちがあると、どんなにクオリティの良いものでも売れないものになる。本当は、どの部門も全部に関わるくらいの気負いがないと売れないと思う。気持ちの共有が絶対販売に影響するし、買ってくれる人に伝わる。こんなこと、ものつくりに関わっている人にとっては、当たり前のことなので、何を今更と思うかもしれないが、最近、今だに共有できてない旧態依然なところと出会ったので、残念な気持ちになり、自分の気持ちを戒めるつもりで書いている。トップの写真は、先日札幌に行った時、新千歳空港の中にあった喫茶店で見つけたペンダント照明。これは、私が照明メーカー時代に開発に関わったもの。とうに販売中止になっているだろうし、そもそもこのメーカーは会社として今は存在しない。でも、こうして年月を経て偶然また出会ってしまうのだ。他の照明器具でも記憶に残っているものはあるけれど、いまこの時点でこの製品に再会したことの意味を深く考えてしまう。これをデザインした人、これを製品化するために関わった部署、工場の人、これが販売開始になって営業した(はず)人たち。今思うと、はっきり言って温度の差はあったし、気持ちはバラバラだった。私はそう思っている。「売れないんですよね」という人がいたら問いたい。「本当に売りたいと思っていますか?」と。「私はもちろん売りたいと思っていますよ」と応えるだろう。では、製造に関わった人、売り場に関わっている人、デザインした人とコンセプト共有できていますか?ともう一度訊く。きっと明確に答えられる確率は低いと思う。

ものに関わることは大きいことであり重大なのだ。一つ一つ細部に渡ってストーリーを語れないといけないし、思いが必要。私は、当分オリジナルはこりごりだと思っているが、、多分きっとまたつくるんだと思う。戒めのように目に飛び込んできた、あの空港の喫茶店でみた過去の反省点満載な照明プロダクトが気持ちを奮い立たせてくれるから。それまでにまた多くのものつくりに関わる出会いがあることを心から信じて。


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