竹本博文

現代美術家です。作品制作の思考過程を書いています。

竹本博文

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マガジン

  • アートの思考過程

    現代美術活動の中で考えるたこと。

  • 歌麿を描きます。

    歌麿風のえをアクリル画で描けば面白そうという思いつきです。

  • 制作日記『鳥獣国技館戯画編』

    日々の絵画制作の実況報告です。今回は『鳥獣国技館戯画』シリーズ、略して『鳥獣国技』。

  • 挿絵小説『ラッキーボーイ』(全12話)〈luckyboy〉

    国境のないネットの世界では、入り口としての挿絵が重要なのではないか?という仮説から、ネット小説を再定義した作品です。

  • luckyboy artwork

    『ラッキーボーイ』で使われた挿絵の制作過程と解説を公開しています。

最近の記事

ヴェネツィアでの展覧会が始まりました。

ヴェネツィアのPalazzo Pisani-Revedinにて、Art Unites the Worldが開催する国際展覧会"Earth and Space"が始まりました(タイトルが"Human and Space"と表記されているものもあり)。竹本博文作品のヴェネツィアデビューでございます。  ざっくり言って、ビエンナーレの公式か非公式かと問われれば、完璧に非公式な展示です。しかし、公式イベント以外にも、この時期ヴェネツィアには、メガギャラリーやら美術財団やらの展示が盛

    • 4月ですね。

      4月ですね。3月の制作はF4号(33.3×24.2cm)が5点でした。制作する順番を、大きなサイズから、だんだん小さくして行くと、密度が高まるので、なかなか良い感じです。  さて、僕はよく「なぜ浮世絵を描いているのですか?」と聞かれます。至極シンプルな疑問です。その答えを一言で言うと〈好きだから、以上〉だったのですが、最近、なぜ浮世絵でなければならないか、という理由にたどり着きました。  僕の制作のコンセプトは「グローバル化とは西洋化のことである。それに過度に適応すると、

      • 3月ですね。

        3月ですね。2月の制作はF30号が1点、P10号が1点、P8号が2点でした。P8号の歌麿2点は、次回の日韓交流展のために制作しました。  先月はFacebookのアカウントを作り直し、友達申請をやり直させていただきました。皆さんに、お手間をとらせて申し訳ありませんでした。いろいろあって作り直したのですが、いろいろあるのが人生なので、これも人生の一部ですよね。やり直しが利く人生は素晴らしい。  さて、超個人的な意見ですが、昨今、美術界を含めて、経験価値が尊ばれています。その

        • 2月ですね。

          2月ですね。1月の制作は、P20号が4点でした。すべて鈴木春信を元にした作品です。微妙に試行錯誤をしながら制作しています。現在CASで開催中のパイロットプラント展に出品している小品が、そのスタイルの第一作です。  さて、直近のトピックは特に無いので、思いついたことを記します(かなり妄想が入っていますが)。  僕は制作のBGMとしてクラシック音楽をよく聴きます。ただし、時代で言えば、新しいものはラフマニノフ(20世紀前半)ぐらいまでです。ストラヴィンスキーやプロコフィエフは

        ヴェネツィアでの展覧会が始まりました。

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        • 『灯イケ』メイキング
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        記事

          1月ですね。

          あけまして、おめでとうございます。  元日早々の地震、大変です。被害が少ないことを祈っております。  さて、1月ですね。先月の制作は、P20号が4点と、P4号が1点でした。P4号(何かを投げようとしている女性の図)は、1月のPP展用の作品です。テーマに沿った作品が、歌麿では無かったので、今回は鈴木春信を描きました。歌麿作品と差別化するために背景は白です。  この見せ方は、グラフィック的で、唯一無二な感じではないのですが、鈴木春信の人物の動きのユニークさが、シルエットで際立

          1月ですね。

          12月ですね。

          12月ですね。11月の制作は、P6号(41×27.3cm)が5点でした。全て、歌麿が全身を描いたものを、トリミングして大首絵として描いています。このサイズは、10点描いたので、次からは、少しサイズを大きくします。 現在、CASで開催中の『gallery Shimbori Collection』、最終日の12月9日(土)16:00から、対談相手として参加します。よろしくお願いします! さて、今月の日々雑感。 僕は基本的に、インスタグラムを重視して活動しているのですが、EU

          12月ですね。

          11月ですね。

          11月ですね。10月の制作はP6号が5点でした。サイズが小さいので、点数は多めです。これらは、大首絵ではなく、歌麿の大首絵以外の作品から、トリミングして描いています。 歌麿は、全身像になると、頭身が伸びて、かんざしも長くなる傾向があります。だから少し、いつもと、バランスが違います。浮世絵初期の鈴木春信の描く人物は、サザエさんに出てきそうな、リアルな日本人体型ですが。歌麿の頃は、鳥居清長の描く八頭身美人が大流行していたので、その影響か、歌麿も体型は、ほぼ少女漫画の世界です。

          11月ですね。

          読書『近代美学入門』

          井奥陽子著『近代美学入門』(ちくま新書/2023)を読みました。一部で良書と話題ですが、美学の考え方の変遷が、すごく分かりやすく書かれています。美学の非専門家が読むには、十分すぎる内容です。目次を見たら、章立ては芸術、芸術家、美、崇高、ピクチャレスクとシンプルです。 僕は後半のテーマの崇高に関して、星野太著『崇高の修辞学』を睡魔と格闘して読んだり、そこそこ高値な桑島秀樹著『崇高の美学』をポチッて読んだり、E・バークの『崇高と美の観念の起源』にトライして挫折したり、グランドツ

          読書『近代美学入門』

          10月ですね。

          10月ですね。9月の制作は、P50号が3点でした。ここ数ヶ月は、P50号(116.7×80.3cm)を主に描いて来ましたが、次からは、少し小さな作品を描きます。まずはP6号(41×27.3cm)から。 さて、現代美術の作家活動に、課せられる試練は数々ありますが、避けて通れないのが英語です。アメリカやイギリスに生まれた、ネイティブスピーカーが、全員アーティストとして成功するわけではないので、それが成功の絶対条件ではないですが、作品を作る力量が全く同じなら、英語を話せる方が、格

          10月ですね。

          9月ですね。

          9月ですね。8月の制作は、P50号が2点でした。最近は「完成しました」と言いながら、結構直します。展示前に保護ワニスを塗るまでは、直す可能性があります。 さて、数ヶ月前、YouTubeを見ていたら、ある広告を目にしました。それは、業務スーパージャパンドリーム財団の広告でした。へぇ、初耳やなぁ、と思いつつ、サイトに行ってみると、海外派遣事業(芸術分野)という項目があり、何と、海外で展覧会を行い、日本文化を伝えるための活動をしている芸術家を対象にした助成を、通年で募集していまし

          9月ですね。

          8月ですね。

          8月ですね。7月の制作は、P50号が2点でした。この2点が、なかなか上手く仕上がらず、また直す可能性があります。 さて、7月はバルムシュテットの日本週間のオープニングと、日曜日だった2日目の、計2日間、会場のGalerie Atelier IIIに在廊したのですが、来た人の生の声が聞けて、たいへん得るものが多かったです。もちろん、無言で立ち去る人もいましたが、情熱的に感想を伝えようとする人が多く、そこに日本との違いを感じました。そもそも、来た人のほとんどは、年配の美術好きの

          8月ですね。

          ハンブルク

          ジャパンウィーク・イン・バルムシュテットのオープニングに参加するために、ハンブルクにやって来ました。到着直後で、少しぐったりしていますが、フリーゼの展覧会で、本日オープニングがあるので、初訪問して来ました。綿引さんは、本日お酒担当で、カウンターの中でせっせと対応をしています。ジャパンウィークのチラシも厚紙を使って、カッコよくリーフレットになってました。このラックにあるのは、売り物のように見えますが、全て展覧会のDMで、これも相当な厚みの紙で作られていました。これも、かっこいい

          7月ですね。

          7月ですね。6月は個展もあって、制作はP50号が1点でした。その作品も、今回の個展で展示したので、紹介は省略します。コスプレをした3人の芸者の絵です。 さて、今のところ、予定している今年ラストの展示が、7月22日から9月17日まであります。場所はハンブルグから電車で1時間ほどのバルムシュテット市。そこで毎年開催されるイベント、カントリーウィーク(今年、ピックアップされた国が日本)。そのイベントの関連企画で、作品を展示します。と言っても、作品は12点あるので、小さな個展ぐらい

          7月ですね。

          読書。

          岡田暁生、片山杜秀著『ごまかさないクラシック音楽』(新潮選書/2023)を読みました。西洋音楽についての、マニアックな対談です。いろいろ、面白いトピックがありましたが、印象に残った、ハイドンのパートの感想を書きます。 ハイドンはキャリアの40年ほどを、ハンガリーの貴族に雇われて過ごしました。そこには、小さなオーケストラがあったので、彼は交響曲を作曲しまくりました。その貴族は、音楽的な教養が極めて高かったので、音楽の細かな差異を聴き分けました。だからそこでは、玄人向けに、定型

          6月ですね。

          6月ですね。5月の制作は、P50号が1点のみでした。少ないッ‼︎ しかし、久々の3人のバージョンです。 さて、カンヌの映画祭で、坂元裕二さんが脚本賞を獲りましたよね。僕は坂元さんがもらっても、当然じゃないかと、思っています。 100%個人の感想ですが、いつの頃からか、自分の中で、坂元作品は、脚本界の横綱の向田、山田、倉本作品に肉薄するぐらいの存在になっていました。全ての作品を見ているわけではないのですが…。 長らく『東京ラブストーリー』の人という認識でしたが『Mothe

          5月ですね。

          5月ですね。4月の制作は、P20号が3点でした。4月20日から、ブリュッセルのNoon consulting art で始まった、竹本博文個展『peripheral sentiment』は、引き続き、絶賛開催中です。6月15日ぐらいまで続く予定です。 さて、この個展の準備をしていて、気が付いたことがあります。事前にギャラリストから、書面のインタビューを受けたのですが、そこに名前が出てきた、山口昌男とは誰ですか?と質問されました。英訳された書籍を探しても、見つからないと言うの

          5月ですね。