夢を見た。

和歌山の幼馴染みのWが、どこか山の方で小さな女の子と暮らしていた。奈良の山のようだった。
窓から見える緑が良かった。

「こんなのどかな所で育ったらギスギスした大人にはならんやろう」
「たしかに。でも意外とそうでもないよ。」

どこか見覚えのあるような、静かな光の差すみかん畑の中を歩いていた。

「今日は夜の七時半に奈良駅に送るよ。温泉いこうか。」

現実のWは地元で教師になって暮らしている。
高校から疎遠になって、お互い違うものを見て大人になったから、今は会うこともない。会ってもつまらない話になってしまう。

夢の中でふれた彼は、まだ自我が確立される前の柔らかくて、優しすぎる彼のままだった。
緑が心地よかった。

目が覚めて、何とも言えない優しい、柔らかい気持ちになった。

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