拝啓、家入さん

あと何回、こういう気持ちになれる機会があるかわからないので、綴っておこうと思う。

先日、CAMPFIRE創業者の家入一真氏が、foriioを運営する僕たち1ne studioの顧問に就任が決定したことを発表させて頂きました。

おもえば、今日この日にたどり着くまでとてつもなく長かったように感じる。2017年9月、家入さんの記事をツイートしたあの日。

そこから、当初は想像していなかったスタートアップを”再度”始める事になる。

僕は以前byusという会社を友人と一緒に創業した。その時の事業はスタートアップや起業というものがどういうものか理解していなかったこともありうまくいかず。だから、別の道を進むことを決めた時には自分の精神はすり減っていたし、スタートアップに社員や創業者として関わるのはやめようと決めていた。

スタートアップは9割うまくいかない。なのにそこにめがけて全て投げ売る勢いでのめり込まなくてはいけない。そんな価値があるのか。

なのに、フリーランスのアートディレクターとしての5年間で1人のクリエイターとして生きることの難しさを経験した結果。僕たち、ものつくりの人たちの働き方はどうにか変えないといけないと感じていた。

でも、1人で変えるのは難しい。それはわかっていた。僕はforiioを自分が好きな事をして生きていくためにやっているのではない。確実にforiioを通してクリエイターの働き方をアップデートするためにやっている。なので、どうしたら確度が上がるのかを突き詰めていくと、人や企業、業界そして資金を巻き込みやすいスタートアップという起業の仕方が良いのだろうとは思っていた。

でもスタートアップには疲れていた。自分の事業にROIだけで興味を持たれても困る。それが金融屋としての本音だと言われても、それが起点となって面白いと思われているだけのパートナー関係は困る。前回の二の舞はごめんだ、と。

そんな中、家入さんの記事に出会った。

家入さんのことはもちろん昔から知っていた。

まだ僕が高校生だった時、親から買い与えられたTOSHIBA Dynabookを使って僕はインターネットにかじりついていた。ホームページを作り、掲示板やチャットで世界中の知らない誰かとやり取りする。そんな、今や当たり前のことが理解されにくかった時に、僕はどっぷりとのめりこんで毎日ネットサーフィンをしていた。

当時ホームページを高校生が作る手段といったら、無料レンタルホームページとか無料レンタルサーバーとかで検索して、文字広告やバナー広告が表示される代わりにタダで使えるサーバーに自分のページを作るくらいしかなかった。だから、それをベースにSozaiR等で頑張ってデザインをして作ってみては自分自身が広告がウザくなり(かっこ悪いし)放置し…みたいなホームページを量産している状態だった。Xreaとかジオシティーズが現役の時代の話。

そんな中、ナウでヤングなレンタルサービスが登場した。当時ワンコインレベルの価格(500円くらいだった気が)で広告なしのサーバーが借りれて、ドメインも激安。そんなサービスなかった。そしてナウでヤングなサービスのデザインは当時のネット住人の10代の心を捉えるポップなデザインだった。ロリポおじさんも意味不明すぎてインターネットど真ん中な感じだった。

これで憧れの自分だけの「〜.com」なホームページを持てる!

という、成功体験が自分をウェブデザインの方向に進むきっかけを与えてくれた。それから、ロリポップ関連のサービスには本当にお世話になった。今でも使っている。

最初に使った国産のSNSはミクシィではなく「キヌガサ」だった。(友達に説明して使ってもらったが、中々「〜の鉄人」と名乗り合うコミュニケーションや友達とネット上で半オープンな場所で頻繁にやり取りすること自体が理解されず。結果的に後発のミクシィに移行してしまったわけだが。今はミクシィを作り上げたバタラさんにお世話になっていると言うのも不思議な縁だが…その話はまた別の機会に)

自分が「発信する」インターネットライフの基盤となっていくれていたのは家入さんが作ったサービスだった。

どんな人が作っているのだろうと調べてみたら「ありのまま」の1人の人間の半生が綴られた本を見つけた。

僕は「この人はなんて正直な人だ。」と思った。

全てをさらけ出せる、一番人間らしい人だ。と。ここまで正直でいながら、上場企業の創業者であり、連続起業家であり、1人の表現者である。

そんな家入さんは、投資家としても正直だった。「起業に再現性なんてない。」と言い切って、起業家に寄り添ってその人のストーリーに投資をするという。

僕は投資家としても貫かれている家入さんのその正直さに惚れて、前述のツイートをした。

家入さんのいるオフィスの近くに張って、会ってもらい。即返事をもらえて、僕は「この人に背中を押してもらえるなら、もう一度スタートアップで挑戦したい。」と思い、起業を決意した。

結果から言うと、家入さんから出資をしてもらってはいない。

それゆえ、今回の顧問就任には特別な思いがある。

家入さんのサービスとの出会い、そして家入さん個人との出会い、それが僕の表現者、挑戦者としてのターニングポイントになっている。振り返ると、跡が強く残っていることに気づく。

家入さんに出資をしてもらっていないことも、自分自身を大きく成長させた。何か・誰かに依存することなく、自分たちのミッションを自分たちで責任を持ってハンドルを握り、進んでいく。大切なことを経験を通して学び、ここまで進んできた。

でも、

それでも、家入さんは特別だ。

表現者を支援してきた先輩から、受け取りたいものがあった。

それは出資とか関係なかった。

おそらく、僕が受け取りたかったもの…
それは「表現者を支える挑戦」というストーリーのバトンなのかも知れない。一つのブランチとして自分も想いを重ねたい。今、僕らが誰よりもクリエイターの未来を変えるためにコミットする覚悟があると自負している。

だからこそ、そのバトンを堂々を正面から受けとりたかった。

それが、叶った気がした。

表現者を支える挑戦をしてきた先駆者に、
ちゃんと挨拶ができたような気がした。

最初にforiioを聞いてもらった後舞い上がっていた自分に、
家入さんはこう言った。
「まだまだこれから、始まったばかりだよ。」

今回も、同じことを言うと思う。

「まだまだこれから、始まったばかりだよ。」

了解です。
明日も”始め”ます。

ありのままの人間として、
先の人が積み上げてきた、
クリエイターの生きる「今」の続きを。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?