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かんたんビジュアル法律用語「財産権、人格権、身分権」 #4

今回は、私法上の権利を大きく分類する「財産権ざいさんけん」、「人格権じんかくけん」、「身分権みぶんけん」をみていきましょう。標準的な基本書、注釈書、法律辞典に基づき、かんたんに解説していきます。

徐々に、さまざまな法的概念の対置性や階層性を意識しながら学んでいくとよいかと思います。


財産権、人格権、身分権



1 基本的意味
(1)財産権
財産権とは、財産を目的とする権利です。物権、債権、知的財産権が財産権の主なものです。

例えば、物権の代表は所有権です。家電量販店でノートパソコンを買ったら、買った人はそのノートパソコンに対する所有権を取得します。所有権はある物について自由に使用・収益・処分することができる権利です(民法206条)。

債権というのは、特定の相手に対して、特定の行為を請求することができる権利です。銀行がAさんに対し10万円を貸すと、銀行はAさんに対する貸金債権を有することになります。

知的財産権は、特許権、実用新案権、意匠権、著作権、商標権などがあります。例えば著作権というのは、ある人が小説を創作すると、その著作者は、当該小説という著作物について排他的に利用する権利を有します。

財産権は、その内容の多彩さ、権利相互関係の規律の複雑さなどの点で、もっとも法律学らしい分野といえます。


(2)人格権
人格権とは、人の生命・身体・自由・名誉・氏名・貞操・信用など法的保護の対象となる人格的利益のことです。

人格権は法的保護の対象となるものですから、これが侵害された場合、つまり不法行為の分野で非常に重要な概念となります。例えば、ネット上の誹謗中傷など、名誉を毀損された被害者が、加害者に対し慰謝料を求める場合は、「名誉毀損の不法行為に基づく損害賠償請求」をすることができます(民法709条、同710 条)。


(3)身分権
身分権とは、夫と妻、親と子というような親族法上特定の地位にあることに基づいて認められた権利のことです。

例えば、親は子に対して親権を有し、未成年の子を監護教育し、その財産を管理する権利を有します。

身分権は権利とはいえ義務的な色彩が強く、そのために権利濫用になりやすともいわれています。そうした点で財産権とは異なる特色があるとされています。


2 コメント
人の複雑多様な諸関係を、二当事者間の権利・義務関係でとらえ直すという法の技術からすれば、論理上、何が権利かということが極めて大事だということになります。

とはいえ、権利はその分類の仕方もさまざまあり、また、階層性と対置性なども複雑で、最初は整理するのが難しいと思います。徐々に一つ一つ学んでいけばよいと思います。ある程度の積み重ねを経れば、あとはそれほど苦にはなりません。



【参考文献】
・法令用語研究会編『法律用語辞典 第5版』(有斐閣、2020)
・高橋和之ほか編『法律学小辞典 第5版』(有斐閣、2016)




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