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EAT療法についての私見~初めてのEAT療法体験

かなり前回の投稿から空いてしまいました。
春休みで子供達が家にいるとやはりエネルギーを取られてしまったのと、どんどん身体症状が良くなってくると同時に、いままで身体症状に隠れていたメンタル面の症状が表立ってきて、むしろ色々な行動をするのが億劫になってしまいました。
そして、以前ならそんな時でも、自ら発奮させて無理にでも継続にこだわったりもしていたのですが、闘病も1年以上になり、自分の行動をアプリや点数化するようになったり、自分の体が発する信号をキャッチできるようになって、”無理しない” ”自分の中で生活の優先順位を大事にする”ことをもっと明確にするようになり、律儀にこだわりをとおすより、
勇気を持って自分の闘病を優先できるようになったというのがあります。
まあ、ごちゃごちゃ言いましたが、要は、
ここ1ヶ月はNoteがどこか脳裏によぎっても、PCを開けて投稿する元気がありませんでした。

ただ、この間にも、色々な新しい治療法に取り組んで、面白い結果も得られたりしています。それについてはまた機会があればということにして、今日は初めてEAT療法に行ってきたので、それを忘れないうちに書いておこうと思います。

今月頭に、カナダの主治医の先生からやっと許可が出て、先週から1年半ぶりに、急遽日本に帰国しています。
病気になった当初より、家族がいる日本へ帰国して治療するはもちろん選択肢にありました。ただ、病状として、とても帰国に耐えられる病状ではありませんでした。
最近、一段階、身体の症状がよくなって日常生活も大分普通に送れる日が増えてきて、目立ってきたのが、余り目立っていなかった”抑うつ症状”。
毎回診察のたびに PHQ-9 とGAD-7ので精神状態の評価をされるのですが、私の場合には、現在まだ残るコロナ後遺症の症状、不眠と重度の倦怠感、感覚過敏により目の開けづらさがあるので、このPHQ-9の項目の中の
(chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://research-2012.jpsad.jp/files/jpsad_phq9.pdf)
”物事に対して興味がない、楽しめない”
”寝付きが悪い、途中で目が覚める”
”疲れた感じがする、気力がない”
”あまり食欲がない、または食べ過ぎる”
”新聞をみる、テレビをみるのに集中できない”
が”毎日できない”の 3点、そして、ブレインフォグにより”他人が気づくほど話し方が遅くなる”に半分以上の2点を加算すると、スコアが重度の鬱と言う診断になってしまいます。
そこで、先生から、大分、身体的には回復してきたから、一度気晴らしに日本に帰国するのはどうかと言ってもらって、急遽帰国してみた次第です。

10時間フライトを経て、帰国したら、案の定、主治医の先生からも予告されていた通り、PEMにより、1週間また、ベッドで寝たきりまで、ほぼ動けなくなってしまいました。
こういう時に無理することで回復も遅くなるし、悪化することもこの一年に身に沁みているので、じっと我慢して、一週間はほぼベッド上でトイレに行くのみ、少し調子が良くても、自宅の近所を散歩するのみにとどめて、やっと少し調子が出てきた今日、まず日本に帰国したらやりたかった、EAT療法へ行ってきました。

EAT療法については、日本ではコロナ後遺症と診断されると、慢性上咽頭炎の症状があるかどうか、そしてEAT療法の適応があるかどうかを耳鼻科でチェックすることが勧められていますが、世界的に見るとEAT療法が行われているのは、ほぼ日本のみと言っても過言ではありません。
というのも、医療システムとして日本のように気軽に耳鼻咽喉科を専門とする先生が受診できるシステムにないからということに尽きると思います。

また、そもそもEAT療法1960年台から慢性上咽頭炎の治療として行われてきいたものの、今一、作用機序が明らかではないことから、治療法としてはあまり用いられなくなり、一度すたれてしまいました。
それでも、根強くその効果を信じる一部の先生方が続けていたところに、最近になり、耳鼻科で鼻から入れる内視鏡が外来で簡単に使用できるようになり、EAT療法の治療効果を以前より可視化した所見で評価できるようになったために、改めて脚光浴びるようになりました。

当初、コロナ後遺症と分かった時、神経研で長らく慢性疲労症候群の研究をしていた先生から、コロナ後遺症に対しても、実際に慢性上咽頭炎の所見がある人では、改善の効果があるからできることなら試すといいと勧められました。カナダでも、できないかどうか色々画策してみましたが、受けてくれるところはありませんでした。

ここで、日本に帰国してまで優先させた方がいい治療かどうか、友人の耳鼻科医にEAT療法について聞いてみた答えが↓

”・・・・・(前略)・・・・・大病院で行われるようなエビデンスの高いスタンダードな治療ではなく慢性的に後鼻漏がしんどくて困っている方に、町医者さんが行い、効く人には効くよね、といった治療法です。色々な病院のHPの効能を信じてご受診されると、すこし期待値が高すぎるかも、です。怪しい治療ではないが確実な治療でもない。うちのクリニックでは行っていません。とても痛いが、中毒性があるのか、熱烈なファンになるひともいます。・・・・・・”
というお返事。

自分で調べても70%の症例で改善がみられるけれども、EATだけで完治する症例は5%以下。

そもそも海外では、行われていないわけで、やらなくても治ってる人は治っているのだから、ここでEATにこだわって、症状を悪化させてまで日本に帰国をするほどではないだろうと判断しました。

ただ、EAT療法の作用機序として考えられているのが、
①  慢性上咽頭炎があればその慢性炎症の鎮静化でリンパ球の活性化を抑えられる
② 上咽頭粘膜の局所的瀉血が脳代謝物排泄促進作用を正常化させる可能性がある
③ 副交換神経を刺激する

闘病の途中から、コロナ後遺症は重度の自律神経失調症であることがわかってきたので、塩化亜鉛は使えなくても、②③の効能を信じるなら、自分でやるの意義はあるのではないかと。
また、コロナの再感染を防ぐために、鼻うがい自体が効果があることはイギリスの施設の論文から、わかっていたので、自分でセルフEAT+鼻うがいを続けていました。


前置きが長くなりましたが、せっかく、今回日本に帰国したので、耳鼻科で慢性上咽頭炎の所見があるかを見てもらうために、耳鼻科へ行くことに。

どんな主義もきちんとした手技でやらないと意味がないで、EAT療法をずっと研究していた日本病巣疾患学会のHPに載っているEATをできる施設(https://jfir.jp/news/eat_hospital/)を近所にみつけ、早速行ってきました。

さて、早速私の順番になり、担当ドクターにコロナ後遺症のEAT療法適応があるかどうかを見てもらいたい旨を話すと、担当ドクターから
”かなり期待をしてこられる方が多いのですが、必ずしもエビデンスが確立した治療ではないですよ。色々なHPではビビッドな炎症があるような写真を載せているところが多いですが、正直、明らかな炎症がある所見があるのを僕は見たことありません。つついてみて、出血すれば炎症があると判断して、やってみると言う感じです。それで自覚症状が改善すればOKみたいな治療法ですよ…”と。

”私自身も、発表されている論文についても既に読んで、全く同じ見解なので、大丈夫です。やらなくても少しずつ改善しているし、絶対それにすがろうと思ってはいないのですが、せっかく日本に帰国したので、できることは何でもトライしてみたいと思っているだけなので、先生のご心配に及ばないです”とお話したところ、先生もホッとしたように、
”それなら、内視鏡を入れてみましょう”と。

結果、
左鼻腔側はかなりきれいだったものの、右側鼻腔側の後壁は刺激で易出血性がみられるので、炎症がある所見と考えることはできる、EAT療法を試してみたければやってみていいかもしれないという結果でした。

とりあえず、この1ヶ月、先生のご厚意で、日本に一時帰国中週1~2回通院することにしました。

よく言われるEAT療法の痛みについてですが、元々自分でセルフEATをしていたせいか、むしろ耳鼻科の先生が使う細い綿棒の方が自分でやるよりも痛みは少なく、塩化亜鉛の塗布でしばらくジーンとした感じが 施術後30分ほどは残りますが、それほど辛いものではありませんでした。
また、セルフEATした時にも感じるのですが、私自身は上咽頭後壁の刺激で、副交感神経刺激されると少し目がさめるような感じがしてブレインフォグが少し改善する感覚がでます。

これから、1ヶ月間のEAT療法で、十分治療はできないかもしれませんが、
効果が出るかもしれないと思うと楽しみです。

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