山小屋の整備は誰が管理しているのか?

自分勝手な想像で、貸し切りの山小屋に荒天の中、宿泊者が皆無だと信じ切ってカッパや荷物を広げて整理をしていたことがある。

雨を含んで重くなった荷物を背負いながら縦走しつつ、着替えのシャツもあるにはあるが、明日も終日降り続く雨の中、下山しなければならないと考え、どうせずぶ濡れになるならと部屋干しという手法も可能ではないか、と頭の中であれこれ思案しながら歩いていたが、先客がいるとなれば、それらの段取りはリセットだ。

先ずは先客の人数や空きスペースを確認してから、「満室お断り」なのかどうか確認しなければならない。

とはいえ、僕が登山した避難小屋は地元の自治体が登山者のために整備されたようなものなので当然無料だし、旅館やホテルのように「満室でお断り」されることはない。

実はこの山小屋は最近まで管理人がいて、宿泊料2000円を徴収していた。過去に来たときは宿泊しなかったが、この管理人は小屋の維持管理はもちろんのこと、周辺の登山道をはじめ、道標の整備を担い、コースの最新状況をネットにアップしたり、さらには事前に予約しておけば缶ビールを担ぎ上げてくれることなどもあったらしい。

無人となってありがたいのも反面、昨今の遭難のニュースなどを聞くと山奥の安全面はもちろん、いろんな意味で有人管理に心強いものを感じた。

ただ、心配ではあるが、この管理人はどうやって生計を立てているのだろうか?とちょっと疑問に思っていた。シーズン中はそれなりに登山客も来るだろうが、すべてが宿泊するわけでもないし、仮に一人一泊2000円をすべてポケットに入れたところで年間どれだけのあがりになるのだろうか?

自治体の指定管理になるのだろうか。ならば自治体の職員が管理しているのか。ただ、地方は縮小の一途を辿り、身銭を切った自治体の歳入の繰り入れに貢献できるとは到底思えない。

よほどの山好きが管理していたのだろう。常人にこの環境が務まる仕事内容ではない。

土間のロープに荷物を引っ掛け、奥の間のドアをちょっと開けて声をかけてみる。

「こんばんわ~」

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