見出し画像

「あたりまえを疑え。~自己実現できる働き方のヒント~」を読みました。

今回は澤円さんの「あたりまえを疑え。~自己実現できる働き方のヒント~」の感想です。

この本のは

常識に縛られたら、思考は停止する

という序文から始まる通り、あたりまえになってしまっているが故に考えることを自然と放棄してしまっていることに触れながら、「本当はこうであるべきではないか?」という問題提起をしてくれる書籍です。

なぜこの本を手に取ったのか

 この本を手に取ったのは7月のこと。新人が配属されたことで彼にどんなことを学んでもらおうかと考えていた私は、業務の中での学びと業務の外での学びをどう習慣化してもらおうかと本屋さんをふらふらしていました。

 私が考えていた業務の外での学びは「勉強会への参加」や「本を読む」というインプットから始めて慣れてきたらアウトプットへというような習慣を作ることでした。

 その時に手に取って、パラパラとめくって購入したのがこの書籍。社会人になると理不尽な出来事や「ルールだから・・・」と言いくるめられて、おかしいと思っていながらもふと気づくと思考停止してしまいそうになることが多くあります。実際に思考停止している人も多く見ます。そんな思考停止状態にならずに常に考え続けられる人材になってもらうためには良い書籍だと思い購入し、まずは自分で読んでみました。

 実際この書籍の中でも

 本書では、役に立たない思い込みを捨てることで現状を打破し、皆さんがめざましく成長を遂げていくための考え方と、具体的なノウハウをたっぷりと紹介していくつもりです。

 と"はじめに"に書いてありました。今日はそんなこの本の印象に残った部分をまとめていきます。

「考える」ための3フェーズ

 CHAPTER 01 "時間・タスクを疑う"の中にはこんなまとめがありました。

「考える」ための3フェーズ
①ひとりの時間をつくり、自分で考えを熟成させる
②ディスカッションで、多様な人たちを考えを交換する
③信頼できる誰かに話しながら、考えを構築する

 これは私の中でもやっていることだったので大きく共感しました。しかし、忙しくなってくるとどうしても①の時間が減ってしまい、自分の中での考えが浅いままに相手に話さなくてはならない時間が増えてきてしまいます。そんな自分の現状仁万もう一度向き合える言葉でした。

タスクを効率的にこなす3つの原則

タスクを効率的にこなす3つの原則
①できるタスクとできないタスクを理解している
②やると決めたひとつのタスクに集中している
③タスクにかかるスピードを把握している

 ①に関しては歳を重ねれば重ねるほど、プライドや見栄が邪魔をして難しくなってしまうと思います。この部分は先日のDevLOVEでの登壇でも少し触れさせていただきました。

②に関してはカンバンにおける"WIP制限"と考え方は同じで、マルチタスクは効率が悪いという側面の話だと思います。

そして、③はよく「実装がわからない人が設計をすることで見積もりができない」というエンジニアの業界の中でも時折問題になるような事象を思い出しました。そのタスクの本質を知った上で、自ら判断し、順番に倒していくことの重要性を端的にまとめた原則だと感じました。

 本文の中でも

 つまり、自分が最高のスピードを出せる状態にするには、まずボトルネック(遅れを引き起こす障害)を知り、それを同会z年するかがポイントになるというわけです。

とまとめられていました。

「正解」を探さなければすぐに行動できる

CHAPTER02 "ルール・慣例を疑う"では、イノベーションについても言及されています。

 正解を求めたら、絶対にイノベーションは生み出されません。いや、正解がある時点でイノベーションではないのです。

 ある種のトンチのように聞こえるかもしれませんが、正解があるということは前例があり、パターンが存在する。つまり、誰かしらが見つけているということは新しいこと、イノベーションではないということを言っています。当たり前のようですが、この考え方は忘れられがちな気がしています。

いま乗っている列車から降りる勇気を持つ

また、ルールや慣例の話の中で、日本企業における役職の話が出ました。日本企業は古くから年功序列で上のポストが開かないと次に進めないような階層が詰まっている状況がよく生まれています。

 そのため、特定の階層に居座る人がいては後進は育たない。そのためにいまのポストを自ら離れる勇気が必要だということを元アメリカ国務長官のコリン・パウエル氏の自伝を引用して説明してくれています。

 放り出される前に自ら列車を降りる

これができる人がどのくらいいるでしょうか?

相手の「期待」がわかればプレゼンは上手くなる

CHAPTER03では"コミュニケーションを疑う"と題し、プレゼンのプロである澤さん自身の経験からプレゼンのコツなども書かれています。

 その中にはプレゼンをするあなたに対してオーディエンスがどんな「期待」を持っているかを想像することが大事だと言っています。

 実際に多くの方の前でお話しさせていただく機会を少しずつもらうようになった私もつい先日、この部分がおろそかになって大失敗をしてしまいました。

 なぜわざわざ時間を作って私の話を聞いてくれるのか。その側面を忘れてしまうと良い結果が生まれないのは当然だと改めて実感しました。

自分自身を疑う

CHAPTER05では"自分自身を疑う"というテーマでセルフプロデュースや自分の価値をどこに見出すかなどが書かれています。

 特に自分の価値をどう見出すかという点では

 「他の人よりも得意なこと」を3つ掛け合わせる

と書かれています。これは面白い考え方だなと思いつつ、とても納得感が深いものでした。

 確かに自分が世界中の誰よりも得意なことは正直見つけられませんが、人よりちょっと得意なことはいくつかあるはずです(ないと思っている方は自分に厳しすぎるのかもしれません)。

 私の場合は「映像業界にいるプロフェッショナル」「アジャイル、AWSなどにちょっと詳しい」「人前で明るく話すのが得意」と言ったところでしょうか?

 確かにひとつひとつは上には上がいるものの、3つ集めることで個性を表現できている気がします。

 これはどんな人にも当てはまるのではないでしょうか?

最後に

 というわけで、今回は内容に触れながら自分の思いをつらつらと書かせていただいていますが、改めて学ぶことがとても多い書籍でした。

 というのは自分ではわかっているつもりでも時が経つと忘れていってしまっていたことやわかっているつもりで自分の中では言語化できていなかったことが詰まっている書籍で、初心を思い出せる作品です。

自分が疲れた時、周りとの距離をつかめなくなった時に手に取ることをオススメします。


この記事が参加している募集

読書感想文

主にPjM、PO、セールスエンジニア、AWS ソリューションアーキテクトなどを務める。「映像業界の働き方を変える」をモットーにエンジニア組織を超えたスクラムの導入、実践に奔走。DevLOVEなど各種コミュニティーにおいてチームビルディングやワークショップのファシリテーションを行う