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「エンジニアについて教えてください」に出した僕なりの回答

先日、知り合いの人材業、Aさんからとある相談を受けました。

Aさん「エンジニア転職の会社に転職しようとしてる方がいるんですが、"エンジニアと仕事をしたことがなく、ピンとこない"という話が出ていて、もし可能であれば、その方からの質問、相談のお時間いただけませんか?」

というわけで、その方(以下、Bさん)との対話をさせていただいたのですが、事前にいただいた質問が、結構なタフクエッションで、今まで当たり前だったことを見直すきっかけになったのだここにしたためていきます。

 回答は全てあくまで、個人の見解です。この記事は僕の回答を伝えたいのではなく、「自分だったらどう回答するだろう」と思考を巡らせるきっかけになれば良いなと思っているので、僕の回答そのものにはあまり価値はありません。

Q1. ハイレベルのエンジニアはなぜ不足しているのか?人が少ないのか、求める企業が多いのか?

A1.  10~20年前はエンジニアが必要な企業は「IT企業」という形で先進的な独立した業種だった。しかし、現在はIT技術の必要性は広がっており、IT業界のみではなく、すべての業種でコンピュータを使ったなんらかのIT技術が採用されていると言っても過言ではない。

例えば、日本を長年引っ張ってきた業界でも、自動運転、高性能医療機器、回転寿司のレーン制御、物流における経路の自動予測、FreeeやスマートHRに代表される人事向けサービスなど。故に、ハイレベルかそうでないかにかかわらず、需要が激増しており、全体的に不足していると考える。

 しかし、お金を積んだからと言って必ずしもハイレベルなエンジニアは雇えない。ハイレベルなエンジニアは20年以上前から売り手市場なので「働き方」「企業の目指すビジョン」「やりがい・社会への貢献性」といった多く要素を複合的に見て、所属を判断しており、その自分の価値観に合致していないとそこで働かない。これは、どれか一つを満たせば良いのではなく、個人個人でその比重もバラバラである。そのため、エンジニアの中途採用には対話の時間を多く設ける傾向があり、その中で、その人の価値観と企業が提供できる仕事の期待値を確認、揃えていく。
 なので、理由もなく出勤し、過度なセキュリティで制限されるようなレガシーな日本企業がもしあった場合、それだけで見向きもしないハイレベルエンジニアも少なくない。

 Q2. 海外のエンジニアと日本のエンジニアの違いはあるのか?(海外の方が大手ITが多いイメージ)

A2. 海外で働いたことがないので一概には言えないが、エンジニア自体の市場価値、求める人物像に大きな違いはないと感じている。

 一方で、A1で回答したような、エンジニア採用の特徴を早く抑えて、最適な採用方法をとっている企業は言わずもがな、強い。その視点で見るとGAFAを代表する海外企業はコツを心得ているので、「採用が強い = ハイレベルエンジニアを多く抱える = 大手IT企業として成長」という構図が生まれているのかもしれない。また、シリコンバレーに代表されるとっくの存在も大きく、隣を見れば、お手本だいる状態はやはり強いと思われる。

 裏を返すと、上記理由で、エンジニアの採用の上手さでいくと「外資系IT企業 > 成長したスタートアップ > 中小スタートアップ > レガシーな日本企業」という解釈もできるかもしれない(この辺りは、立場によって異論あり)。

 それは、エンジニアの働き方を受け入れる準備ができているかできていないかが大きいと考える。故にハイレベルなエンジニアほど、スタートアップや外資系IT企業(GAFA)に流れているのが事実。

Q3. 優秀なエンジニアがいれば、日本のIT化やサービスはもっと普及するのか?

A3. 上記A1の通り、IT化は一部の企業や業界で普及するか否かという、「なくても成り立つ」状態を超えており、もう止めることができるレベルではない。例えば、自動車がもうあるのに馬車に戻れないのと同じで、現在は産業革命と同じレベルの歴史的な改革の真っ只中にいると言われている。

 (参考書籍:2040年の未来予測)

 故に優秀なエンジニアももうたくさんいる。ただ、A2の通り、なかなか日本企業に入らない。これが解決できないと、日本はどんどん世界から置いていかれる。ちなみに既に経済成長率は大幅に下がり、もはや世界から見向きもされなくなり始めている(この辺りは、「FACTFULLNESS」や「ビジネスの未来」などで指標自体に対する問題の声もあげられている)。

 話を戻すと、「優秀なエンジニアがいれば、もっと普及する」という加点要素というよりも「優秀なエンジニアを抱えられないと衰退する」という減点要素の印象がある。

Q4.実際この会社はエンジニアがレベル高いという理由で伸びたという会社

A4. 世界を見れば、GAFAは言うまでもない。圧倒的なデータを持っているので市場での価値基準(ゲームルール)がこのままだと20~30年変わらないと思う。そこに一矢無垢入ろうとしている日本のスタートアップもいくつかある。メルカリ、ビジョナル(ビズリーチ)、サイバーエージェント、DMM、PLAIDなどは日本有数の企業。

 昔、Paypalというオンライン決済の先駆けとなるサービスを立ち上げた人たちがPaypalを離れ、シリコンバレーでいろんな企業を盛り上げたことでPaypal創業時のOB/OGは「Paypalマフィア」と呼ばれているが、日本においても、メルカリマフィア、ビジョナルマフィアと言ってもいいかもしれないくらいスタートアップ企業においてこれらの出身者が前職の経験を生かして活躍している姿をよくみる。そしてその方々から私も学ばせていただく機会も増えている印象。

Q5. ハイレベルなエンジニアとそうでない人の違い

A5. この問いへの回答は様々だと思うが、私が思うのは「学び続ける人」か否か。

 エンジニアの仕事にしている領域は文字通り、日進月歩。先週まで最新だったものが最新ではなくなる。かといってビジネスインパクトを考えると全てを最新の状態にできるものでもなく、そんな中でも安定稼働をしなくてはならない不確実な領域。故に最新のものを学び続けながら、常に最良の選択をしなくてはならないので多くの知識を常に吸収している必要がある。
そのため、エンジニア同士のコミュニティやブログによってお互いが知見を共有する文化が生まれている。

 わからないことが日々訪れるのでエンジニアの仕事の7割以上は検索したり、調査をしてる時間。それぞれがブログ記事をはじめとする多くのオープンな情報に日々助けられているので、自分の知見も発信して恩返しをしている。

 また、発信することで、社外での相談相手や目指すべき存在が見つかり、その相乗効果でどんどん成長のサイクルが回っていく。ただ、この事実は勇気を持って発信した人にしか見えない世界なので、エンジニアの多くはまだこの世界を知らないもしくは足を踏み入れていない。

 そのため、優秀なエンジニアはどこを探せばいいかも自ずと明白で、ブログや勉強会、イベントで発信している人に声をかけるとその人自身もさることながら、周りには各分野の優秀なエンジニアが集まって相互に良好な関係性を持っている。

Q6.ハイレベルエンジニアが1人入社すると組織がどう変化する可能性があるのか?何故そのような変化が起きるのか?

A6. そもそも、優秀なエンジニアを一人、組織にいれるだけではさほど大きな影響はない。むしろ、重要なのは、その人が活躍できる環境や明確なミッションであり、エンジニアは魔法使いではない。この部分を勘違いした経営者が多く、優秀なエンジニアが飼い殺しにされて腐っていく光景も横目で実際に見てきた。

 また、「エンジニア」と言う言葉は「料理人」くらい広い。和食、洋食、中華など得意な領域も違えば、レストラン勤務、寮母さん、お弁当やさんなど多岐にわたる。それと同じようにエンジニアもハンダ付けが得意な人、自動車の組み立てが専門の人、動画の編集が仕事の人、Webのエンジニア、iOSアプリの名手、ユーザー体験をよくすることに特化したデザイナーなどその種類は数十~数百に渡る。

 そして、人によってどれか一つというわけじゃなく、得意なこと苦手なことは十人十色。そんなバラバラのスキルを持つ人々でどんなチームを組むかがポイント。

 なので、ハイレベルなエンジニアが1人いれば、それで大きな変化が起きるわけではない。むしろ、「こんななことがしたい。こういうものを実現したい。そのためにこんなスキルを持ってこんなビジョンに共感できる人に仲間に加わってほしい」という意識がないと飼い殺し、持ち腐れになる。

Q7. ハイレベルな方がいると実現できること(事業・サービス・機能)。実際ハイレベルのエンジニアがいればもっと伸びる、形になるサービスは多いのか?

A7. 上記A6同様、千差万別。ただ、今想像できる9割以上の事業がもはやエンジニアがいないと実現できないものと言っても過言ではないだろう。

 実際にエンジニアリングの力でもっと伸びる、形になるサービスを見つけて、形にしようとしているのが多くのスタートアップであり、その数もご存知の通りめちゃくちゃ多い。故に個人的には"お金になる領域"は10年前に比べつとかなり便利になってきている印象。

Q8. そもそもエンジニアの中でどのような種類があり、何を実現できるのか

A8.  わかりやすい外部記事があったので参照。

 さらにこれらの職業が固定ではなく、経験年数が上がっていくとさらに分岐していく。その分岐の選択肢に関しては「エンジニアのためのマネジメントキャリアパス」という本もおすすめ

最後に

 純粋な質問ゆえに結構考えさせられる内容だったと思います。冒頭に書いた通り、私の回答が重要というよりも、この記事を読んだみなさんがそれぞれどう感じて、どう考えたか大事かなと思います。

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主にPjM、PO、セールスエンジニア、AWS ソリューションアーキテクトなどを務める。「映像業界の働き方を変える」をモットーにエンジニア組織を超えたスクラムの導入、実践に奔走。DevLOVEなど各種コミュニティーにおいてチームビルディングやワークショップのファシリテーションを行う