漢方勉強ノート 心不全編

心不全治療に漢方?

この段階で調剤名がピンとくる方はかなりの漢方マニアと見ました。
そうです、今回は木防已湯(もくぼういとう)についてです。
いきなりマニアック。

ツムラの適応は

顔色がさえず、咳をともなう呼吸困難があり、心臓下部に緊張圧重感があるものの心臓、あるいは、腎臓にもとづく疾患、浮腫、心臓性喘息。

となっており、the 心不全、ですね。今の病院にはおいてないので使用したことはありません。

組成

 木防已湯に含まれているのは防已・桂皮・石膏・人参。厳密に中医学を紐解くと防已木防已は異なるものらしい。防已はオオツヅラフジの蔓の輪切りですね。味は桂皮入ってるのでシナモン系でしょうね。
 防已と石膏が利水系で、桂皮で補い、人参でpower up という感じでしょうか。猪苓が入ってもよさそうだけどなぜ入らないのだろう...。猪苓が入らないということは木防已湯は実証寄りの漢方なのか。心不全で実証というのもいまいちピンとこないですが。むしろ猪苓入れたほうが良くないか。

文献

 今回、木防已湯について書くのは論文を見かけたからなんですよね。Journal of Cardiology。
 ざっくり概要としては成人の急性心不全(Acute decompensated heart failure) 40症例をランダム割り付けで標準治療群と木防已湯追加群で10日後のVAS(visual analog scale)を比較した研究で木防已湯がprimary end pointでは有効であったという内容です。お察しの通りかなりlimitation & biasのかかった研究です。(突っ込みどころは多々あります、なぜVAS?、base line の疾患の偏りやplaceboでないこと等々。)しかし和漢薬のevidenceを作っていこう!という心意気を買って読みました。

結局使えるのか

 正直、不明です。が、標準治療で自覚症状がとれない方には試す価値はあるのかなと。実証寄りというイメージなので、急性心不全に対してで慢性心不全でcahexyの強い症例では適さないのではないでしょうか。漢方薬によく含まれている甘草は含有されていないので利尿剤を併用していることが多い心不全でも比較的使いやすいのかなと。

 漢方薬はそもそも薬効成分の組成が複雑なので研究としては難しいですがドラッグリポジショニング的な感覚で検討が進むと面白いなと期待。

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森 浩輝

小児科専門医・指導医、小児循環器専門医。興味のあることをまとめてゆきます。内容からして多動性がバレバレですがめげない。
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