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在露邦人目線で見たロシアと諸外国のつながり

こんにちは!ウラン・ウデのむかいです。

今回は、ロシアの大学で働く自分から見た、ロシアと諸外国との関わりやつながりについてお話します。あくまで私の目に見えている範囲をそのままお話しますので、大局的な状況とは異なる部分もあるかもしれません。予めご理解ください。


大学と外国との関わり

本題に入る前に、大学と外国にはどのような関わりがあるのかを前提として確認しておきましょう。

どこの国の大学も基本的に同じだと思いますが、以下の点でロシアの大学は外国と接点を持つことが多いです。

  • 外国人留学生の受け入れ

  • 研究者、教員の外国からの受け入れ・外国への派遣

  • 外国の大学や研究機関との学術や留学における協定

  • 外国の在外公館とのやり取り

この4つの点が、2023年10月現在でどのようになっているのか、以下まとめていきたいと思います。


外国人留学生の受け入れ

勤務先では現在も引き続き外国人留学生を積極的に受け入れています。大学の立地上、モンゴルや中国からの留学生がとても多いです。

ただ、2022年9月に私が戻ってから以降は、韓国を除き西側諸国からの留学生はほとんどいなくなりました。韓国だけは正規課程やロシア語を学ぶ過程に現在も少なくとも5人以上は留学生がいます。

現在私は留学生や外国人教員が多く暮らす寮にいるのですが、2022年以前にこちらに赴任していた時と、留学生の顔ぶれがなかなか変わっています。中央アジアやニジェールなどのアフリカ、エクアドルなどの南米からの学生が増えました。また、タイやベトナムなどの東南アジアの学生も引き続き存在しています。

(国別の留学生数の統計資料などがあればよかったのですが、探しても見つかりませんでした。)

留学生の総数自体は2022年以前とあまり変わっていないと思いますが、留学生は西側諸国の学生が韓国を除きほぼ全滅した分、中央アジアやアフリカなど別の地域の学生が増えていると言えるでしょう。

ちなみに、勤務先は韓国とのつながりが深いためか、北朝鮮からの留学生は2022年以前も現在も、私は見たことがありません。

大学の公式サイトのリンクから、留学生の様子が垣間見えます。↓


研究者、教員の外国からの受け入れ・外国への派遣

日本でもそうですが、大学の国際交流の要は留学生受け入れだけではありません。国外の研究者や教員を受け入れることもその1つです。

勤務先の大学はブリヤート共和国にあるため、ブリヤート民族を研究する研究者が、モンゴルや中国から訪れることは現在でもよくあります。反対に、モンゴルや中国に勤務先の先生が研究や出張に向かうことも多いですね。特に2023年に入ってからは、中国が外国人の入国制限を撤廃したため、中国に向かう同僚の先生や学生がとても増えました。

現在、いわゆる西側諸国に教員が研究や出張に行けるのかはよくわかりません。私や韓国人の先生が一時帰国する分には全く問題はなかったですが。

そして、自分が知っている限りでは、外国人教員は中国、モンゴル、日本(自分)、韓国出身の教員はいます。中国人の先生はとても多いです。2020年にこちらで働いていた時はフランス人の先生と話したことがありますが、恐らくもういないでしょう…。


外国の大学や研究機関との学術や留学における協定

大学のホームページを見てみると、現在も協定校としてドイツやアメリカなどの西側諸国大学の名前も見受けられます。日本の大学ももちろんありますが、西側諸国の大学との関係は、現在は一部を除きほぼ凍結状態と言っていいでしょう。

一方で中国やモンゴルの大学とのやり取りは現在も活発であり、新たに協定が結ばれたり、モンゴルの大学の学長とロシアの大学の学長が集まる会議も開催されたりしました。

協定校以外からも短期留学コースなどの案内は来ており、西側諸国では日本と韓国、台湾の大学や教育機関から案内が来ていることを確認済みです。


外国の在露公館とのやり取り

これは日本の大学ではどうなのかわかりませんが、外国の近隣の在露公館の人が大学を訪問することがあります。私が確認できているだけで、昨年度は北朝鮮と台湾を除く東アジアの国々とモンゴルの最寄りの在露公館の人が、一度は大学を訪問し、諸問題について話し合っています。特に在イルクーツク韓国総領事館からは、半年に一回は誰か来ていますね。

韓国総領事館が後援する大学の韓国イベントの案内

ちなみにモンゴルの在ウラン・ウデ総領事館は、大学のメインキャンパスの目と鼻の先です。


大学以外で感じる外国とのつながり

以上、大学で自身が感じた外国とのつながりをまとめてみました。

続いて、大学以外ではどうなのか…を、こちらも自身が実際に目で見た範囲で書いてみます。


町中で見かける外国人

町中で見かける外国人は、留学生以外にもいます。代表的なものは労働者ですね。大学の寮の改修工事では、ロシア語ではない言語が飛び交っていました。

そういった労働者の国籍は分かりませんが、見た目から中央アジアやカフカースの国の出身者だと推定できます。

今年の5月に、ロシアで働くために必要な麻疹の予防接種回数が不足しているとのことで、無料で強制的に接種されることになったのですが、その際に呼び寄せられた他の外国人は、モンゴル、タジキスタン、イラン、ウズベキスタン…といった国々の人たちでした。

こういった外国人を町で目にすることは、2022年以前も現在も特に変わっていません。


外国製品の流入

2022年2月以降、西側諸国による経済制裁が発動されたことにより、多くの品目がロシアに対して禁輸となりました。

ただ、現在でも西側諸国からの電化製品はまだ市場に出回っており、それほど価格が高騰しているわけでもありません。恐らく第三国を経由して入ってきているのでしょう。

また、お菓子や化粧品、洗剤などの恐らく制裁の対象外であろう日用雑貨は、これまでと変わらずお店に並んでいます。


おわりに

以上、自身が感じたロシアと諸外国との現在のつながりをまとめてみました。
現地にいる人間の自身の目線からは、たしかに西側諸国との関わりは大幅に減ったと思います。一方でその他の国との関係はこれまで通りか、より緊密になっていると感じます。そして決してその「その他の国々」が世界の中で少数派というわけでもないでしょう。ロシアと諸外国のつながりは、今後の情勢を考えるうえでも大切な観点だと思います。


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