僕は客のはずなのに・・・

小学時代に知ってしまった、たぬき亭の味から通い続けて、中学生高学年か高校時代の話。

先代に『おい! ちょっと中に来てくれないか?』店に入るなり、いきなり言われて、何もわからないまま厨房に入ったのでした。

先代『これ洗ってここにおいてくれ』といきなり食器洗いをさせられてしまったのでした。
これが先代が私を「弟子」と言い始めるきっかけになった最初の出来事です。
私は心の中で「おなかすいてここに来たのに、なんで食器洗いが先??」なんて思いながらも先代の怖い顔とガラガラ声から何も言えなかったのでした。。でも話すにつれて先代が「優しくて楽しい関西のおっちゃん(実際には関西で働いたことのある、北海道・妹背牛町出身)」だと気づきはじめてもいきました。

食器洗いをさせられて数時間が経過した頃でしょうか。店が閑散としはじめて先代が『何か食うか?なに食いたい??』と言うので、私は『なべらーめん味噌』と言いました。黙って私の前でらーめんを作り出す先代。
カウンター越しでは見えない姿を見ていると、「かっこいい」と思う瞬間でもありましたが、「自分にはできない」とも思った瞬間でもありました。

『ほら、これ持っていけ』そう言われて先代からなべらーめんを受け取り、カウンターで食べる私。
どう食べても麺が減らない・・・むしろ麺がスープを吸って増えているようにも感じる・・・。

先代は、黙って大盛(量で言えば今の特盛に近い量)で作っていたのでした。
そしてコーラもご馳走になりました。

その日の夜は、食欲が出るわけもなく、親にたぬき亭に行ったことも言えず、おなかの調子が悪いとしか言えないのでした・・・。

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