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お見合いプロフィールに「趣味:テレビ視聴」と書いていただくわけにはいかないので。

近頃、視聴率に関するニュースや会話が急減した気がします。視聴率はそもそも「番組の質」を測る数字ではなく、CMの営業と制作現場のモチベーション維持のための数字なので、本来の存在目的に戻ったとも言えますが。

テレビの話題が「日常会話やニュースになる」から「限られた仲間うちで語り合う」へ移行しているとするならば、「テレビ視聴」という行為が<日常習慣>から<ひとつの趣味>へと確実に移行していることを示しています。それは同時に「誰かに話すこともなく、勝手に楽しんでいる、スマホゲームやスポーツ観戦やヘッドフォンの中の音楽やお気に入りのAV女優などと、同じ<趣味>の世界へ。

今後「趣味」をお届けしていくことになるテレビ屋として悩んでみます。例えば、結婚相談所で『趣味:テレビ視聴』とお見合いプロフィールに書いていただいたら、その方の魅力が底上げされるかしらん?と考えてみましたが、厳しい気がします。今まで<習慣>に支えられてきた、ある意味惰性で浅薄な「テレビ視聴」という漠然とした行為は、本来ある程度の深さを必要とする<趣味>の枠組みとしては無理があるのです。

たぶん、お見合いプロフィールは『趣味:断崖絶壁で犯人を説得する刑事モノドラマ』の方が良いのです。「テレビ」という言葉がない方が<趣味>として成立するんです。薄々気づいていたことを恐れず言語化しますと、<趣味>としての作品性を高めるという点では、テレビという枠組みは特に必要ありません。

そこで!せっかくなので!テレビが<日常習慣>から着々と外されていき、コンテンツの<趣味化>が進むことをポジティブに受け止めていきましょう。僕は、これまでテレビという枠組みや慣習に抑圧されてきた、本当はマニアックで素敵な個性派ディレクターたちを多く知っています。彼らの「リビドー」が一気に解き放たれたとき、何が生まれてくれるのか期待しかありません。その時に、ディレクターたちが、テレビ屋の端くれの僕を踏み台にしてくれたなら、さぞ快感だろうなぁ、そんな<趣味>を持ちたいと僕は企んでいたりします。