【Open Letter】テルから寛生へ。(2019/11/2)

拝啓 ヒロキ様

あれほどまでに愛しかった平成を踏み抜いて令和を得たというにもかかわらず一向に成長しない、変わらない、変わろうとしない、いや変わろうとするふりだけはするがそんなつもりは毛頭ない、僕をどうか優しくティッシュで包んで棄ててはくれませんか。

貴方の云う水溜まりとは私の記憶では西原小学校に音楽の教諭として赴任されていた水田まり先生を指していることなどまるっとお見通しなのですが、私が彼女に対して抱く感情は一般人のゴリラに対するそれとほぼ同一です。ニシローランドゴリラのコスプレをして渋谷の街に繰り出したマウンテンゴリラがどうなったかヒロキくんはご存知ですか。一つだけ言えることは、同一ということと類似ということがいかに相違していて類似さえしていないかという命題の分かりみが深すぎるということです。

貴方が私に手紙を宛ててくれたことは幸いでした。何故なら溢れる言葉を正しい形で受け止める器を求めながらも自らそれを得ることは絶対に出来ない呪いをかけられていたとしか思えない青空の下に私は生きているからです。この空には決して雲のかかることはありません。雨が降らないので地面から滲み出す僅かな湿りをドリップして生命を繋がなければならなかったのです。手紙という概念はこの空と大地に射し込んだ言わば一筋の擬似的な男性器と言って差し支えないものでした。
そんなわけでこの私信をお前に送り付ける光栄に浴する。

テルより。
自分で朗読したオズの魔法使いを聞きながら。