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ケニアでの日常 「僕とジャックのその後」2019/05/31

ジャックとは? (プロフィールを更新しました)

34歳 男性
 見た目は20代
 (けっこう年上だっただけに驚き)
 子どももいる
 ヘッドフォンが欲しい
 (だいたいのケニア人はヘッドフォンが好き)



ジャックにマッサージを依頼して、週に2回は顔を合わせるようになり、
彼との信頼関係も築きつつあったそんな日のこと…



ジャックが所属するトレーニンググループで練習に参加させてもらう約束をした。

これまで参加していたトレーニンググループの大半がジュニア選手で、そろそろ環境にも慣れてきたこともあり、シニアのマラソンを中心にトレーニングしている選手と練習をしたいと思ったのが、きっかけだった。

(くせの強いジュニア選手の様子)


マッサージをしに来てもらっていたジャックに

「僕でも君のチームの練習に参加できるかい?」

と聞いたら

「Welcome!」

と笑顔で言ってくれたので、
練習に参加することに決めた。
当日トレーニンググループのコーチや選手にジャックを通じて紹介してもらって、練習に参加できるだろう。

そんな軽い心づもりでいた。

そして当日を迎えた。
ここで問題が起きた。
問題ではなく必然という表現が正しいのかもしれない。

そう、ジャックは来なかった。

きっと前回僕の投稿を読んで頂いた方ならご理解頂けたと思う。

君はとことん期待を裏切らないね。
はい、お約束。ご馳走さまです。


ということを素直に思うしか僕に成す術はなかった。

ここまで、話のネタを提供してくれる人物は果たしているだろうか。
ジャックこそ、「歩くコンテンツ」といっても過言ではない。
今日の出来事は必ずnote にアップすると、心に誓う自分がいた。
(とはいえ、ジャック頼みのnoteというのもいかがなものだろうかと考えている自分もいる…)


とはいえ、ジャックが来ないという事実は変わらないので、
自分でトレーニンググループに交渉して、
練習に参加させてもらわないといけない。

自分で行動しなければ、誰も助けてはくれないのだ。

おろろくんのようにおろおろしていても、なにも前へは進まない。
一歩踏み出す勇気を持つことを、ケニアでの滞在期間で少なからず学んだ自分がいた。


トレーニンググループらしき選手たちの集団はグラウンドでアップを終え、スタートの準備に入っていた。


少しばかり緊張しつつも、
自分がジャックの知り合いだということを伝え、どうにか一緒に練習させてもらおうとした。
異国の地でアウェイ感漂う中、意を決して話しかけた。

話しかけてみると、

「Kenya is always free」
「Let's join us!」

ケニアの懐の広さを感じる返答が返ってきた。
ECCのCMで聞いたことのあるようなフレーズで、僕の理解力でも参加OK だということがわかった。

練習に参加できるとわかり、安堵感を感じたのも束の間、すぐ練習がスタートした。

やはりシニアチームということもあり、質と量のそれぞれにおいてジュニアチームよりもレベルが高い、それを印象的に感じた練習だった。

ケニアでは基本的に、距離や設定タイムはレベルが違ってもみんな一斉にスタートして練習を行う。強い選手に合わせて練習を行う、それがケニアスタイルだ。
女子選手でさえも男子のグループと一緒にスタートして、練習を行っていることもある。


しかし当然ながら、
実力の劣る選手は早々とそのペースについていくことができないため、いけるところまでいって、途中でやめる。(女子選手も同様)
これがいいか悪いかは賛否両論あると思うが、彼らや彼女らは自分たちのスタイルで強さを築いているので、ひとつの事例として参考になる部分はあると思う。

僕も集団できっちり最後までついて練習を終えることはできなかった。

しかし、集団から離れたあとにどういう走りをするのか。
ペースを自分なりにキープして走ったり、集団が1600mのところを1200mにして距離を短くして集団について練習を行ったりなど、
やり方を工夫しながら練習を行った。
彼らの力をうまく借りつつ、ひとりではできない練習をすることができるのが、ここで練習するメリットだと思う。
陸上の長距離は個人競技だが、練習に仲間がいたほうがいいと感じるのは僕だけではないだろう。
(ひとりで行う練習も勿論やっていますが…)


ケニア人の彼らは集団で練習し、お互いに高め合い、助け合いながら成長している。
現に、僕が練習で遅れそうになったとき、声をかけてくれたり、指で自分の後ろにつけなどのジェスチャーを送ってくれたりと、弱い者に対しても心優しい対応をしてくれる。

彼らの仲間意識の強さや心の余裕は、彼らの強さのひとつだということを肌で感じることができたのも、今回の収穫のひとつだといえると思う。


今、ひとりで生活しているが、
練習で彼らに会って、笑顔での挨拶を交わし、他愛もない会話をしているおかげなのか、孤独感はそこまで感じない。(しかし、日本料理を食べたい欲求はある)

人間は極めて社会的な生き物である
という言葉を聞いたことがあるが、
なにかしらのコミュニケーションを人ととることによって、すごく満ち足りた気持ちになることを改めて感じている自分がいる。

普段なにかしらのコミュニティに属し、生活することは自分の精神を保つ上で、大きな役割を担っていると思う。
なにが自分を幸せにしてくれるのかは人それぞれだと思うけれど、ケニアで過ごす生活の中で、自分が既に持ち合わせているものの大切さや有り難みに気付くことが多くなった。
(とりあえず日本料理が食べたい)

きっと日本に帰って、しばらくしたら忘れてしまうような気もするが、このことは頭の片隅に留めておくようにしたい。

きっとジャックの存在も大きいと思う。
彼がマッサージに来てくれる日は少なからず、彼とは会話をする。
ホームシックにならないのも、彼のおかげかもしれない。
とりあえず彼にも感謝しておこうと思う。

また次は一体なにをしてくれるのか。
その期待も一緒に彼に込めておくとしよう。

(年相応にみえるカッコいいジャックの写真を載せておきます)

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