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朝の集団練習と迷子 2019/06/02

前回noteに続き、今回もケニアでの練習について書こうと思う。

ケニアの情報に詳しい方や、既に僕の投稿をみてくださっている方はご存知だと思うが、
(いつも読んで頂き、ありがとうございます)
基本的にケニアでは朝練習をメイン練習として行っているため、練習強度は必然的に高くなる。

トラックのように同じところを回るだけなら特に問題はなく、今回の投稿も書く必要はないが、問題はトラックではなく、ロードで行う練習のときである。

ケニア人の彼らは基本的に、折り返しのコースは好まない。スタート地点を起点に上手く周回するコースで練習を行う。
つまり、一度来た道は二度は通らないのである。
(少なからずンゴングではそうです)

(上手く周回するコースを彼らは走ります)


前回の投稿でも書いたが、
ケニア人の集団練習は強い選手に合わせて練習をするので、まとまってゴールに辿り着く選手はかなり絞られる。
途中で選手がどんどんこぼれていくようなサバイバル練習である。
(少なからずンゴンクではそうです)


これに土地勘のない日本人がついたらどうなるか。集団からこぼれたあとに待っているのは、ある意味サバイバルと呼べる状況だ。

はじめは、

ケニアの田舎道だから、迷うこともないでしょ
大丈夫、余裕余裕

ケニアのチャイティーのように甘い考えを持っていた自分がいた。
(彼らはチャイに砂糖をふんだんに入れます)

しかし、練習に参加して気づいたのは
広大な森の中を走ることが多いということ。
視界に少なからず選手を捉えてないと、
迷子確定である。


練習の途中でペースが上がってきつくなり、完全に集団を見失ったことが滞在中何度かあった。

俗にいう迷子である。

そのときに

森の中って方向感覚を失うんだな

人間の認知機能の限界を体感した

あっちの方角から車の音が聞こえる
道路が近いということは街が近いということか

家に帰るために自分のこれまで生きてきた知恵を使って、なんとか家に辿り着くような思いをしたこともあった。
練習の目的と外れてしまうが、
正直家に帰ったときは静かにガッツポーズをした自分がいた。


ケニアでは基本的にサイクル練習を行うのが一般的で、ンゴングのグループでは毎週土曜日にロングラン(30~38km)が入る。
トレーニングチームによっては、車がついてサポートを受けることができるが、
現在ンゴングでトレーニングしているチームでは車がつくようなことはない。
給水もなく、途中でなにかしらのアクシデントが起こったとしても、自力で帰って来なければならない。
(車が通れないようなコースを走ることが多いのと、コストがかかるのも理由かと思われます)

(滞在期間中に初めて行ったロングランのコース高低差、コースは複数あってスタート前に決定します)


毎週土曜日はそれなりの覚悟とお金を忍ばせて練習に参加しているのが、今の自分の状況である。
(コース上の露店で水を売っていたり、バイクタクシーがいたりすることもあるので、お金は必需品ですが、基本的にはこれらに頼らないでゴールを目指します)

(露店はこんな感じです、日本でいうところのコンビニの機能を持ちます)


ケニアの朝はそれなりに気温が低く、12〜13℃ほどだが、いつもは厚着のケニア人も毎週土曜日は軽装でやってくるので、

寒さを感じやすいケニア人が軽装…
只事ではない練習だ…
心して取り組まなければいけない…

といった気持ちになる。


このような厳しい環境の中でも、
彼らはチャンスを掴もうと懸命に練習に取り組んでおり、これまで自分は恵まれた環境で競技ができていたんだなということを改めて感じた。


しかし、
恵まれた環境が必ずしも選手を強くするとは限らず、厳しい環境の中で、揉まれるからこそ培われる強さがあるということを学べたのはよかったと思う。
(ただ、贅沢をいうようですが、給水は欲しいです)


とりあえず、
今の目標は迷わないこと。
これは競技面だけに限ったことではないと思う。

あらゆる面で迷わなくなったら、きっと強くなっている自分がいると思うので、
それを目指して取り組んでいきたい。

(ンゴングで生まれ、ンゴングで強くなった元世界記録保持者のパトリック・マカウ選手は迷っていない表情でした)

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