見出し画像

くせの強いケニア人フィジオたち「第3の男 マカンガ」2019/09/09

ランナーのいるところにはフィジオがいる。
僕らが走る上で、彼らの存在は欠かすことのできないひとつのパズルのピースのようなものだ。

そして、今トレーニングをしているイテンにもフィジオは存在する。
以前何度かケニアのフィジオについてnoteに書いてきたが、それぞれ個性が強く、僕の脳内に鮮烈な印象を植え付けてきた強者たちばかりだった。

「ケニアのフィジオはそんなにくせが強いの?」

という質問をされたとしたら、
考える余地も挟まず

「Yes」

と即答する。
ちょうどフライパンの油が自分に飛び、熱さを感じる前に、身体が思わず反応してしまう反射の如く、そう答えると思う。
(実際にケニアで料理をしているときは油と格闘しています)

イテンにいるフィジオを紹介する前に、
これまで僕がケニアで出会ったフィジオについて改めてご紹介させて頂きたい。

1人目は、ンゴングの「ジャック」
・とりあえず時間に遅れる強者
・SNSアイコンが目まぐるしく変化する自撮り好き
彼については以前noteでかなり掘り下げて書いてみたので、ご一読頂けたら幸いだ。

(彼に電話をかけるとこのような画面になります)

2人目はニャフルルの「デイビッド」
・他人の家で家主不在の中、許可を得ることなく、ごはんを頂く強者
・食後にチャイでのティータイムを満喫
日本でもお馴染みのビダン・カロキ選手のマッサージを行っているフィジオ
かなりの豪腕でマッサージの圧がかなり強い
過去のnoteはこちら

(ブレイクタイムを楽しんでいる様子)

彼らのキャラクターもかなり強烈だが、
ここイテンの「マカンガ」の存在も彼らに匹敵する、むしろ彼らを超えるくらいの個性の持ち主だ。そもそも、名前の時点で個性的だと感じているのは僕だけではないだろう。
(個人的にはドラクエに出てくる強力な攻撃呪文のような名前だとイメージしている)

(満足気な顔をして写真を撮らせてくれたマカンガ いつもクライアントからもらった様々なウェアを着ている)

『プロフィール』
本名:モリス
ニックネーム:マカンガ
年齢:35歳

ビールで肥えたお腹からは想像できない走力を誇り、時折女子の練習パートナーを務めることも。
とりあえず真面目なときがほぼなく、会話の8割がジョークで構成されている。
最近は不摂生が祟っているのか、少し脚が痛いらしい…

(珍しく本気の表情で走るマカンガ この体格でかなり速く走ることができる)


そんな彼を象徴するエピソードがある。
彼にマッサージをしてほしいとメッセージを送ったときのことだ。

「明日の11:00か15:30にマッサージを受けたい。君の都合はどうか?」

と彼にSMSでメッセージを送った。
日本ではあまり考えられないが、ケニアでは前日にマッサージの予約を入れることが多い。
これには理由が2つある。
1つは、枠がだいたい空いているから
もう1つは、前日じゃないと彼らが予約を忘れるから
である。

メッセージを送ってからしばらくして返信がきた。
マカンガの都合はどうだろうかと考えを巡らせながら携帯画面をみたが、
メッセージで届いていたのは、

「lalasalama(おやすみ)」

の一言だけだった。
さすがの僕もこの返答は予想していなかった。
ケニアでは自分の予想の範疇を超える出来事が度々起こる。思わず声を出して笑ってしまったし、いい話のネタになるとさえ思った。
このやりとりで、彼がかなりふざけているキャラクターなのがご理解頂けるかと思う。
しかし、それでも次の日になれば
彼はマッサージに来てくれる。
(時々指定した日時を忘れることはあるが…)

またある時は、マッサージをしてもらっているときに彼が急にTシャツを脱ぎ出した。

「え…?」
「ま、マカンガさん?どうされたの…?」

部屋には2人だけ…
少し身の危険を感じつつも、

「ど、どうしたの??」

平静を装いながらも
そう尋ねると、

「とても暑い、汗が止まらない」

と言って、窓を開けて風通しをよくしていた。
マカンガはどうやらかなりの汗かきらしい。
この時期のケニアはとても涼しく、日陰はむしろ寒いくらいである。
こちらは逆にヒヤヒヤしたが、全身全霊をかけてマッサージをしてくれるのは有難いことだと思う。

(パワーは間違いなく向こうのほうが上…)

今紹介させて頂いたエピソードから、
どこか憎めない、そんな愛嬌の良さを彼は持っていると個人的には感じている。多くのランナーが彼にお世話になっているし、彼に好意を抱いていると思う。
少しいじられるようなキャラクターのほうが完璧にみえるひとよりも愛されるのは、万国共通なのではないか。
そんな彼の愛嬌の良さを自分にも少しは取り入れたいと思いつつも、一方で意図してそれをやるのもなにか違うと考えてしまう自分がいる。自分は自分なりの振る舞い方を目指していきたいと、このケニア地で再確認できた気がする。

とりあえず、今週末の練習にマカンガも来てくれるそうなので、彼には負けないようにしたい。以前の練習では途中合流したマカンガと泥仕合を繰り広げたので、今回は日本人の誇りにかけて毅然とした姿で彼の攻撃呪文を退けたい。

(お茶目な笑顔をみせてくれたマカンガ
いきなり脱ぎ出すのはやめてほしい…)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?