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マラソンの聖地「イテン」を訪れて 2019/08/19

再びケニアに来てから2週間が経とうとしている。今回は秋以降のレースに向けて、マラソンの聖地「イテン」でトレーニングを積んでいる。


「イテン」という言葉をマラソンに詳しい人ならば、一度は耳にしたことがあるのではないだろうか。今世界を席捲しているケニア人ランナーの多くがエルドレッド近辺に居住するカレンジン族である。そんなカレンジン族の住む町「イテン」を今回はご紹介したい。

(ケニアの地図 ハートのマークがイテン)

ケニアでトレーニングをするというと、まず生活環境やトレーニング環境が整っているのか疑問に感じるひとが多いと思う。
しかし、ここ「イテン」はその疑問に対して完璧な解答をしてくれる場所だと言っていいだろう。

僕が今年の5~7月までトレーニングを積んでいたンゴングやニャフルルという場所もそれぞれ良さはあるのだが、なにかが欠けているという場合が多かった。
ケニアに来るということは、それらの不自由さも受け入れて、その上で強くなるという意志がないといけないと個人的には思っている。
現にそこで強くなっている選手は大勢いるし、自分が今までいかに恵まれた環境で競技に取り組んでいるのかを実感することができたのは大きな収穫だった。


ただ、「イテン」を訪れてみて、
選手としてこの土地の魅力を感じずにはいられなかった。

「ここには強くなる要素が全てが揃っている」
「マラソンに取り組む上で必要なものが全てある」

といった印象を強く受けた。

前半期のレースで会ったヨーロッパの選手にケニアで練習していることを伝えると、

「なぜ、イテンでトレーニングをしないのか?」

ということをしばしば言われた。
そんないいところなの?という疑問を感じていたが、今トレーニングをしていてその答えを肌で感じている自分がいる。


日本人がケニアでトレーニングをするには、まず大きく分けて2つの要素が重要だと感じている。
1つ目は生活環境、2つ目はトレーニング環境である。

1つ目の生活環境では、寝食がきちんととれるか。日本にいると、当たり前に享受していることでも、ケニアではそうはいかないことも多い。
断水や停電が頻繁に起こらないか、きちんとしたスーパーがあり安全な食料を確保できるか、清潔な住環境が保たれているか…など、安定した生活基盤とトレーニングは切り離すことはできないと思う。

前回は現地のトレーニングキャンプを訪問する機会もあったのだが、想像を絶する生活環境の中で厳しいトレーニングに励んでいる選手たちがいた。その中でも不満を言うことなく、結果を残している彼らの姿にはただただ頭が下がる思いだった。
しかしながら、仮に自分がこの現地の生活環境でトレーニングをするとなると、まず生活をするのに手一杯となり、トレーニングどころではなくなると感じた。そういう意味でも、最低限生活する上でストレスがかからないこと、トレーニング以外のストレスを軽減することは、必須条件であると考えさせられた出来事だった。

(イテンから30kmほどのショッピングモールのスーパー)

2つ目のトレーニング環境では、ランニングコースのバリエーションの豊富さ、練習グループや練習パートナーの存在、フィジオのサポート、ジムなどのトレーニング施設の有無である。
これらのどれかはあって、どれかは欠けているというパターンが非常に多いが、「イテン」はこれらの全てを満たしている
そのこともあってか、ほかのケニアの地では見かけなかったヨーロッパ系の選手など国籍問わず様々な選手をみかけることが非常に多い。

生活環境とトレーニング環境、これらの要素をほぼ満たしている場所はケニアにおいて他に類をみないと言っていいかと思う。

(イテンにあるフリーウエイト器具をはじめ、トレーニング器具が揃うジム)


既に情報として出ているものも多いとは思うが、実際に来て体感したからこそわかる良さを感じることができている。
残り2ヵ月弱、この「イテン」の地でトレーニングを積み、日本のレースに出場する予定を組んでいるので、心身共にパワーアップできるように取り組みたいと思う。

(標高1500mから2700mまでを21kmかけて駆け上がるコース)

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