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芸術を通して「世に問う」写真家・俳人 廣渡 好さん

芸術だけでなく、こども達や地域との交流も大切に日々の生活を心豊かに過ごされている廣渡 好さんにお話をお伺いしました。

廣渡 好さんプロフィール
Hirowatari ko
出身地:福岡県福津市
活動地域:福岡県
職業と活動:フォトグラファー、絵画教室、ギャラリー運営
pen俳句会の主宰、プレーパークふくつプレーワーカー

  「自分の表現」をしたい

Q:どのような夢やビジョンをお持ちですか?

廣渡 好さん以下、廣渡 敬称略
作品づくりを通して「自分の表現」をしたいですね。
自分を表現するのって、心を形にする事だと思うんです。でも学生の時、誰かの目・評価を自分の心と勘違いしていたのに気付いて、そこから結局自分なんだ!と分かってからは、自分が作るものに自信がもてるようになったんです。自分の投影が作品であり、その自分を形作るものは日々の生活だということにも気付きました。毎日を大切に生きることがそのまま表現につながっている。仕上がった作品だけではなく、作品を作る行為そのもの、またその前の日々の暮らしも作品なんです

あと、大学卒業後に俳句をはじめました。俳句と私の写真表現は似ている所があって、二つとも作品を創るのに「削っていく」ものなんです。写真も俳句も心はいろんな所に走っていくので、それをシンプルに絞って作り込む楽しさがあるんです。
そして、人や自分の展示はもちろん、たくさんの芸術を使って人が集まるギャラリー運営をしたいです。結構、芸術って敷居が高いと感じている人が多いと思うけど、そうではなくみんながもっと身近に触れ合う場ができたらと思っています。

また10年くらい前から子供たちの遊び場を作るボランティアをしていて、近くの公園で「NPO プレーパーク ふくつ」という毎週土日、子供たちがいつでも自由に遊べる場を開催しています。ここは大人が子供のサポートをすることもありますが、ときには子供よりも大人が本気で遊んだりと、子供の自発的な「やってみたい」心を刺激する場づくりをしています。自分の責任で自由に遊ぶ楽しさ、そして子供たちの居場所は学校や家庭のような閉じられた所だけではないよと言うメッセージも込めて活動しています。

作品もプレーパークの活動も人の心を豊かにするきっかけにしたいです。 
いろんな人が居て、いろんな人生があった方が楽しいと思うので、そんな事をこれからもしていきたいです。

   「世に問う」

Q:夢を具現化するために、どのような目標や計画を立てていますか?また大切にしていることは何ですか?

廣渡 「世に問う」ですかね。今、写真家の先生に付いていて、知る人ぞ知る有名な先生で、今83歳なんですけど。まだ世に作品をまとめて発表されていないんです。
 発表するタイミングは作家が決めることで、先生の場合はこれから「世に問う」ことになると思いますが、撮影されて50年後に発表するというのも面白いですよね。
「世に問う」場所も、本当は東京のほうが手っ取り早くたくさんの人に見てもらえるとは思うのですが、人はどこにでも住んでいて、それぞれの地方で芸術を求める人はいると思うし、今の時代、地域性もなくInstagramで発表するなど感覚が変わってきていて、問い方もまた違うんです。

展示は「僕はこういうのを作っている、こういう人間なんです。」と見せる場があればいいだけで。
「世に問う」は常にしていくし、作品は作品だけでは存在できなくて、人が観て初めて作品となるからいろんな人に見てもらいたいです。

 「1000人見れば1000通りの写真になる!」

Q:その目標や計画に対して、現在どのような活動指針を持って、どのような基本活動をしていますか。

廣渡 本当に「見る人によって作品が変わる」のがおもしろいんです。みんな同じに見えたら楽しくないじゃないですか。見る人が頭の中に持っている材料で写真の捉え方が違うし、特に写真をやっていない人の視点は斬新なので、そんな人に作品を見てもらいたいです。例えば、鳥を撮ったら鳥にしか見えないのではなく、対象のもうひとつ奥のものを見る人に感じ取ってほしいですね。見る人が決めることができる作品をつくらないといけないと思っていて。「1000人見れば1000通りの写真になる!」のがいいですね。

自分が表現したいものを分かって!の人が多いような気もするけれど、題名も意図もない写真を見た人が決める作品。その方がおもしろいですね。

先ほども話しましたが、作品は生活の反映で日々積み重ねた生活の営みが作品なので、受け取り手はいろんな角度から見て自由に受け取って欲しいです。それが面白いと自分が感じたこともあるので大事にしたいですし、見て頂いた方にも印象や感動が残る作品を作りたいですね。

「結局全部自分だし、心だと気付けた」

Q:その夢を持ったきっかけは何ですか?どのような発見や出会いがありましたか?

廣渡 24歳の時の大学の先生がきっかけですね。先ほどお話した83歳の写真家の先生がその先生なんですけど、彼の作品を通して「撮った作品に題名も意図もつけない」そこにおもしろさと刺激を受けたんです。そして、抽象的なものを写真で表現するその挑戦がおもしろいと感じたんです。
作品を製作していくことが結局全部自分だし、心だと気付けたのが大きいです。本当に人との出会いは大切ですね

芸術は全て自由だから心の中のものを表現するのがおもしろいんですが、初めの頃は相手にこちらの意図を感じてほしいと思ってしまって。だから相手の欲しいものを創ろうとしたりして、自分の心と作品が乖離して、そこが近づいてくるのに時間はかかりましたね。

あと、ピカソの絵画を見ると本当に感じるものが違って、彼は天才だと思います。見る人がどう感じるのかコントロールまでされていて。
自分も人がどういう風に鑑賞するのか、視線やそう感じてくれるだろうなは分かるけど、どう感じるのかをコントロールをするのは流石に魅力ですね。

記者 ピカソがそこまで計算して表現する凄い人だとは知りませんでした!!

廣渡 確かにそうですね(笑)でも、作品は説明されてもしょうがないものだと思うので、鑑賞した本人が感じればいいと思います。ただ、好きなものだから見る。それだけですね。

「自分で選んで一度転がったらなんとかなる!」

Q:そのきっかけを持つようになった背景は何がありましたか?

廣渡 うちの両親はレストランの経営をしているのですが、かなり放任主義で、中学生の時に「自由に」と言われると反対にきつかったですね。自分で考えないといけないし、その考えたことがあっているかどうかもわからない。でも、ほぼ両親に何かを相談したことは無かったですね。

自分の将来に不安は感じていましたが「じゃあ何しようか」と考え、誰かを頼ることなく、たとえ暗闇の中であっても取り合えず一歩進んでみる自分で選んで一度転がったらなんとかなる!と進んできました。

大学を決めた時も、自立=放置でしたが(笑)結果は勝手に自分で選んだ事が転がってちゃんといい方向に決まりましたね。大学で写真に出会えたのはすごくおもしろい世界の始まりでした。

自分で選んできた結果、今は時間があるので子育てにも協力できるし、楽しいことを無理なく自然に取り入れる生活スタイルを楽しんでいます。

「人間が人間たるべき事とはどういう事なのか?」**

Q:これからの時代をどう生きていきたいと思っていますか?

廣渡 これからの社会・時代は変化が早いから、人間が人間たるべき事とはどういう事なのか?をたまに考えます。
 人間が人間として存在したり活動したりするのはどういうことなんだろうか。今まで人間がやっていっていた事がAIにとって代わっていく。そんな時代をどう生きて行くのか?と考えた時に、やはり芸術作品を理解・鑑賞するのは人間の価値基準だと思うのです。「人間がいいと思うからいい」そこが最後の砦だと思っていて、「AIがいいと思うからいい」になると終わりかなと思います。そうならない為にも、人間一人一人が自信を持っていないといけないと思いますし、私は自分が好きなんですが、みんな一人一人が自分を好きになったらいいと思っていて、それがあるから作品鑑賞も楽しめるし、人生が楽しめると思いますね。あと、小さい子供は純粋に自分が好きだから凄くいいですよね。そして子供は、大人が楽しく生きる姿を見て育つのがいいと思います。

記者 楽しいことを自然に取り入れ、でも考えるべきところは考えて。好さんの人柄を感じられる楽しい時間でした。貴重なお話をありがとうございました。

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廣渡 好さんの活動情報についてはこちら↓

【Facebook】

https://www.facebook.com/ko.hirowatari

【アトリエKUTA】 

【tonari gallery】

【pen俳句会】


【編集後記】
今回、記者を担当した古川・岩渕・高村です。
とても柔らかい雰囲気の好さんと、お近くに奥様もいらっしゃる工房でインタビューをさせて頂き、芸術の高い敷居ももう昔の事で、今は大きく変化し、地域活性化にも繋がる流れがあるのを感じました。人間の感性がもっと豊かになる身近な芸術。これから益々のご活躍とご健勝をお祈りいたします。

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この記事は、リライズ・ニュースマガジン “美しい時代を創る人達” にも掲載されています。



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