見出し画像

あの頃の春の日を祝う🌼


私ごとですが、先日誕生日を迎えました。

お母さん頑張って産んでくれてありがとうの日であり、私生まれてきてよかったねの日。

そんな日に、母と二人で、
二人のためのご褒美ランチ。

訪れたのは、宮崎県都城市にある
「星の空」さん。

愛らしい春の景色に囲まれたそこは、母がGoogleマップでたまたま探し当ててくれた場所で、窓から差し込む陽気な日差しをまるっと味方につけた素敵なお料理たちが私たちを祝ってくれた。

「本日のフルーツのホットドリンク」は、
酸味もありつつ甘みもある国産レモンと濃厚なハチミツに、ジンジャーパウダーをわずかに加えられたドリンク。


私がもうひとつ気になっていたために母が注文してくれた「スッコディ・ペーラ(洋梨)」

ネクターのようにとろっと重厚感のある甘さの中に、シャキッと洋梨の繊維感もしっかりと残された瑞々しさ。

大正解なドリンクに、これからどんなお料理が登場するのかと高揚感がさらに増す。

(この先の料理名は全て、正確なものではありません🙏)


ランチコースの始まり
最初のお料理は「ホタテと菜の花の前菜」

菜の花に迎えられ、ランチコースの始まりと春の始まり、2つの始まりを告げられた気分。
プリプリな帆立に紛れたとびっこがプチプチと口の中で踊る。
そっと添えられた南瓜(?)のソースは、ホタテと菜の花という煌めき食材に勝るとも劣らない、いやもしかしたら勝るかもと思えるほど美味しく、私好みのソースだった。

次に運ばれてきた「カルツォーネ」

ピザ生地の中に包まれているのは、たっぷりのブルーチーズ。
じっくり煮詰められたバルサミコ酢のソースと、宮崎で採れたクレソンでさらにおめかし。
大好きなブルーチーズが、これでもか!というくらいたっぷりで、バルサミコ酢の酸味ととても良く合う、合いすぎる。

そこでまた、はちみつレモンのホットドリンクをいただくと、「チーズ×はちみつ」って親友だったよねって、会いたかったよねって、私が二人を再会させてあげた親御のような気持ちになる。

すると突然、母が「あ〜〜ダメだ〜〜」と言いながら、声と下瞼を震わせた。

「本当に美味しいもの食べると泣けてくるんだよね」と言ったその声は、まだ震えを残していた。
潤った下瞼の震えを見ないよう、私は微笑んで「そうだよね〜でもよかったね」と言いながら、カルツォーネをナイフとフォークで切ることに夢中な素振りをした。

やっぱり母が泣き出しそうな時の正解の対応がいまだによく分からないや。


続いては「カレイと野菜の包み蒸し」

包みを開けた瞬間に視界を眩ます湯気。
ハーブの香りが湯気にのって漂う。
カレイは柔らかく、海老はプリップリで、野菜は甘い。
それに、なんと言っても包みにたまった極上スープは、エリンギなどのきのこ類や魚介類、お野菜の旨味と、ハーブの香りがギュギュギュッと凝縮されている。

共に運ばれてきたライ麦パンを浸して食べると、もうそこはライ麦畑、青い空、白い雲、潮風の囁き。

さらに、季節ごとに変わるお野菜、この日は中央にいちごが入っているとのこと。
いちごが一緒に蒸されるなんて初めてのことだったけれど、中央にちょこんと佇むいちごが可愛くて、口の中も絶えずその可愛らしさで埋めてくれるのだった。

私はどれもメインと言いたいのだけれど、
いわゆるメインのこちらは
「宮崎ポークのハンバーグ(雲丹ソース)」

海と山が出会っちゃったバーグ。

牛肉独特の臭みがないポークハンバーグが、濃厚な雲丹ソースと相性が良い。
マッシュポテトを絡めて食べるのも大好き。

そして、この小さくて丸っこいハンバーグが可愛くて、目の前に運ばれてきた瞬間思わず「可愛いですね〜〜」と笑いながら語りかけてしまった。


ひと休憩したところで運ばれてきたデザート。
長野県産の赤ワインで煮込んだ
「りんごのコンポート」

赤ワインのジュレに包まれたりんごのコンポートは酸味と甘味がちょうどよく、豪華なお料理たちからの息切れしそうなほど幸せな勢いを、すっと落ち着かせ、かつ新たな幸せで満たしてくれた。

無花果やピーカンナッツのほかに、クミンも飾られていて、クミンをちらすそのセンスに脱帽。

「本日はお誕生日ということで、『お誕生日おめでとうございます』」と、目を細くさせながら微笑むお姉さんがお皿を置いてくれた。

食べても食べてもりんごたちが「Happy Birthday」と、その言葉をお皿に浮かべて祝ってくれた。

字の美しさにしばらく見惚れ、このチョコの文字は、食べるべきなのだろうか、それともそっとしておくべきなのだろうかと迷った。

せっかく書いていただいたから、このチョコまでしっかりと拭って食べてあげたいし、せっかく書いていただいたから、この美しさを汚すわけにはいかない。
逆向きの「せっかく」同士が綱引きのように引っ張り合う。

結局、残したままにしておくことがこの日の正解になった。

美味しいお料理と穏やかなお天気のおかげで誘われた眠気。
母が運転する帰りの車の中で、すやすやお昼寝をした。

それから、家路へ向かう道中、地元のケーキ屋さんへ寄ってケーキを買った。

自分の誕生日が記された本日賞味シール。
いつもの本日賞味シールより特別に見える。

明日でもないんです明後日でもないんです、特別な日である“今日のための”ケーキなんです、だから本日中に食べてください。

と言われている気がした。

母と一緒に住んでいる今だからこそできた誕生日のご褒美ランチ。

美味しいもの好きの親から美味しいもの好きの子が生まれてきたのは必然だったのかな、とさらに実感した1日だった。

誕生日という名の「母の日」だからこそ、毎回とは言わなくても、
また誕生日に二人でご褒美ランチができたらなと思う。

あの頃の春、大好きなこの季節に、わたしを産んでくれてありがとう


この記事が参加している募集

おいしいお店

みんなでつくる春アルバム

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?