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切るカード

切るカード薄くして夜 粉雪のすみれいろ舞う頃の温とし


あけぐれの風はグラフィティ細き細き引っ掻き傷を川面にのこす



歌誌「かばん」(2019.1月号)




…しかし、

迷っていて疲れていて駆け引きをしているとき、いろいろなものの余裕がないとき、明日と昨日があるとき、情けなくてたまらないとき、平熱のとき。だいたい二ヶ月前に自分がたしかにつくったこれを読み、何も今の自分に響いてこない、うるさい黙れ、そんな愚かな表面的なこと分からせようとするな、この言葉の裏にいる者はそんなところから何を見当違いの塊になっているのか。

という気持ちになった。

年末年始の時間があり、自分のために時間を使う環境があり、選ぶことができたから、つめこまれていないシンプルなひとつの何か自分に関わるものを見たくなったり読みたくなり、実際にそこに身を任せる余裕がたぶんすこしはあった。そのことと、過去の自分の作品をこういうふうに読んだことは、関係があるような気もする。

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