#0117百首会

百首会のこと(実録編)3

百首会のこと(実録編)2

百首会のこと(実録編)

百首会のこと(今後のために)

「二〇一七年の二夜二百首」と「百首会のこと」

(花笠海月さん)



花笠海月さんがMeityを使って開催されていた百首会に参加しました。

一線を超えた感じがして楽しかった!わたしは夕方から始めて、一応の終了時刻だった24時を過ぎ、25時くらいに100首出来た。出来たものはほとんどが人には見せられないようなもので、自分で読み返しても何を言っているのか・どういうリズムで読むのか分からないものではあるけれど。100首なにかしら出て来たということは、このあと自分には100首推敲するべき素材があるということでもある。


・創作物が生まれるということや美しさ、正しさ、いろいろな価値の正体はやっぱりよく分からなくて、今回感じたのは、その日、その場、一緒にいる人、いない人、できないこと、できなかったこと、それら雑多なことと今の(とりあえずは)自分の関係を、(とりあえず)今の自分として的確に捉えることを目指すことがいいんじゃないかなということだった。


・頭が普段通りに働く段階での、良い/悪い、好き/嫌いなどは、まったく重要ではない気がした。それらの感情や判断がそのときの自分にとっての何かの手がかりであることは確からしい気がするけれど、とらわれやすくて、感情や判断というものを扱うことは自分には難しい。といって、トランスしたら、判断力を失ったら、良いもの好きなもの善いもの美しいものができる、出てくるというのも違う。感情や判断というのは、もっとずっと後になって生まれるものを指すようにも思う。


・今回の百首会では「観覧する人」枠があって、その環境もよかったんだと思う。お水取りを行う僧侶も「観客」がいることで「観客」を意識するし見られていることを意識する、パフォーマンスの力が働く、などということを何かで読んだ。見られることで創作に妙な力が働く。

(雑談がぽつぽつあったのもいい感じだった。勢いこんでやるのでなく、リラックスして他の人の歌を読みながらできました。急ぎながら。)


・常に、焦る気持ちや雑多な気持ちというものに簡単にひきずられるもの。焦ってもやっぱりほんとうに意味がなくて、コンディションがよくないと気付いたら、3分程度でも、何秒かでもひといき入れるしかないかなと思う。ひといき入れたらそのあと何首かつくるときの集中力が全然違った。

終わりが見えてきたこともあり、80台後半くらいでそのことに気付いてからは気持ちよかった。


・わたしはひとりで百首会はとても出来ないなと思った。ほとんどすべてのことはひとりで出来ないもの。とくに干渉しなくても、うっすらと同じ空間に誰かといる状況をつくることで(というより、とくに状況をつくらなくても人間のなかに生きているからもともとそうで、その環境を自分がどのように意識したり調整するかで)、無意識下ですごく励まされてチャレンジしていける気がする。推敲会とか、自分で時間を決めてやればいい。


・自分は何か聞きながら何か考えるのは無理なタイプだと思っていたけれど、別のことをしている途中で参加し始めたし、部屋にいたし、そうせざるを得なかった。今回その環境で適応できたことが嬉しかった。今までたぶんこだわっていた「自分が作業しやすい環境」を更新することができて、あまりこだわらなくなった。


・50台くらいからか、疲労して判断力などが普段の自分の感じではなくなった気がする。手放さざるを得なくなり、自分の気に入っている環境にこだわることをひとつ諦めた感じ。聞いているラジオの声や音楽が体の内側にあって、自分の書く言葉が外にある感じ?なにか自分の内と外が普段感じている感覚と逆になった気がして、慣れなくて気持ち悪くもあった。


・リズムの癖がすごい出た。テーマも自ずと出て来る。定型と絡むときの、自分の気持ちよい感覚、確かめたい感覚は何かあって、こだわっているつもりはなくてもそこばかりこだわってやってしまう。表現のずっと前の段階だけれど、ともかくもつくった。



002 月ふたつあるからおいで もう長く声を出せずに呼んでるような

005 その人の眉の印象 これからもずっと余震と余震のあいだ

015 ほそくほそく連なる水のあることの夕べ小さな咳のきこえる

017 みっつほどいのちを売ってきた人と星の真下に足を垂れおり

035 怒りなど知らないでいる漆茶碗ざらりとふれる夜の正面

070 よるべない夜にそれぞれそれなりに充ちているきみはsiriに囁き

094 歩くだけで人生が終わるメアリーと排水口に対うわたしと

099 叩かれたほうのわたしであったのか花火の下に頬をさらせば

100 終わっても朝になっても顔も見ず名前も聞かずにそばにいてほしい

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