木下こう歌集『体温と雨』/ブックデザインしました

初版は砂子屋書房より刊行。品切れ以降入手困難だった歌集が、今回新たに49首を増補し私家版として刊行されました。

近くの本屋さんで手にとって購入できるように、と、発行者の牛さんのブログにて取扱書店が随時更新されています。

木下こう歌集『体温と雨』私家再版について




今回加わった「Ⅳ あはくてあかるい」から。

葉はむすう花はかぞへてその白をなづきのなかまではこべば残る
沼に胸ありてさみしき 飲みもののぬくみほのかにのこりたる卓
壜のなかの雷ももいろにかがやきていけないことをきよく願ひぬ  (雷・らい)


読むたびに気になる歌が変わるけれど、読むことで小さくて壮大な旅を終えたような、罪も赦しも、しずかな祝福も通り抜けたような、そんな読後の印象はつよまるばかりです。

喩の言葉が直にさみしさやかなしみや寒さに触れようとする、その危うさや揺らぎをそっと抱えた大切な歌集。



木下こう歌集『体温と雨』

発行者 牛隆佑 / 挿画 keito / 解説 西尾勝彦 /ブックデザイン とみいえひろこ

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