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今想ふ

昔から歴史が好きだった。
遥か昔に何があったのか、どんな人がいてどんな事件があって、どんな結末を迎えるのか。
その一つ一つが興味深くて、ワクワクするものだった。
歴史の偉人達は僕にとってヒーロー・ヒロインだった。

でもそれは、どこかで起こった物語として見ていたように思う。
小説や漫画やドラマのような
面白さを感じていた。
最近、歳を重ねていく中でその考え方は変わってきた。
歴史はただの面白い物語ではなく、人が生きた証であり道なんだなと思うようになった。

歴史に名を残す偉人達も、生々しく日々を生きてきた人間なんだ。
自分達と同じように、今を生き抜いた人間。
たまたま世に影響を与えるようなことをしたというだけ。
そしてそれを支えた名も分からぬ人がいて、同じ世に生きた幾億という人がいた。
今の自分達と変わらぬように。

でも名も残らぬ人達にもまた人生があって、きっとそれぞれドラマがあって、語られることはなくてもそれは今に続いている。
昨年父が他界した時、今まで知らなかった父の話や初めて見る昔の写真を目にした時、僕は父が歩んできた人生の殆どを知らなかったんだと気付かされた。

父が何を想い、何に苦悩し、何を求めて生きたのか、僕は何も知らなかった。今もそれは分からない。
歴史というのは、ある時代を生き抜いた人達の想いに触れていくことなのかなと思ったりする。
そしてその想いは綿々と今に続いている。
そして僕自身の想いもまたこの先の未来に続いていく。

今は間違いなく、教科書に載るレベルの事態の真っ只中にある。
かつての時代にも未知の病が蔓延し、地獄のような日々を生きた時があったことを歴史は教えてくれている。
その時代に生きた人達がいったい何を想い、日々を暮らしてたのだろうか?
不安や恐怖は今以上だったかもしれない。

それでも生き抜き、乗り越え、今へと続く道を創ったんだと想像する。
明るい未来を信じて、日々を生きたと想像する。
僕は『今』この時代に生き、未来に向かってどんな想いを残せるのだろう?

今この夜はあっという間に消えていく。
簡単にかき消される一滴の滴に過ぎない。
だから今のこの想いを書き記してみようと思う。
明日には忘れてしまうかもしれない。
ほんの些細なさざなみのような想いだけど。

僕は、目の前にいる大切な人達を笑顔にしたい。
一緒に笑い合いたい。
生きるのは悪くないなと、今日を生きる、明日へと向かう小さな灯りを灯したい。
僕はきっと名を残すような偉人にはなれないが、未来へ繫ぐ道を切り開きたい。

演劇は人生を変える力がある
僕はそれをずっと信じている。
自分の信じた道を歩いていく。
『今』しかないこの夜に、『今』のこの想いを

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