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カレル・チャペックの別荘

先週、チェコの作家、カレル・チャペックの別荘だった、今は記念館になっている場所にふらっと立ち寄りました。

駐車場から記念館まで、大きな池を眺めながら少し歩き、小さな堰と滝の水の勢いにはしゃぎながら、庭に入りました。

庭には、長い年月そこに立っているであろう大きな木々、それに囲まれる形で芝生の中に3階建ての家と、1階建ての小さな家が並んでいます。

記念館でチャペックやチャペックの奥さんのことなどよんで、訪問者も少なく、ゆったりした時間を過ごせました。

チャペックの別荘はチェコでは有名な観光地で、わたしも以前から知っていたので、きっと豪華な別荘を買って長いこと使ってたんだろうなぁ、などと見たこともないくせに思っていました。

ところがどっこい、別荘は、チャペックが亡くなる3年前に、結婚祝いとしてもらったもので、長年のパートナーと15年越しに結婚し、荒れ果てた状態だった別荘を二人でゆっくり直していったといいます。

古い木々を片付け、庭木を植えて、氾濫しやすい川に石を運び、流れを調整して…

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庭には、犬のダーシェンカの記念碑が。

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なにか珍しいものが特にあるわけではないのに、木々に囲まれたその空間にいるだけで、なぜだか満ち満ちたきもちになりました。

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チャペックの結婚生活、別荘での生活も、たった3年だけだったのに、ここにこんなに残っている、満ち満ちたものはなんなのだろう。そう不思議に思えるくらい、魅力的な場所でした。

それは、チャペックが別荘に手を入れ始めた頃が、ちょうど世界大戦前で、世界に暗く重い影がさしはじめたころだったからだと思います。

その中で、庭の手入れをし、友人達と、自力で川の手入れをする。そうすることで、生きることや世界への思いを表情していたのかもしれません。

チャペックが書くものにも、ユーモアと世界への柔らかな愛があふれています。

今から100年近く前に生きた人ですが、その世界を愛する、愛そうとする姿勢に共感します。

そんなものがいまでも溢れている、すてきな場所です。

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