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最後に笑え ~移ろいゆくもの、続いてくもの~

昔ね、お洋服の型紙屋さんをやってたんです。
って、今も一応やってはいるんだけど、開店休業状態というか、新作は全然出してなくて、過去に作った在庫をずっと販売しているという状況。

型紙屋さんをやる前は、ただただお裁縫が好きでミシンが好きで、洋服とか小物とか毎日毎日作っていたんだよね。まだ音楽をしていなかった頃の話。

ミシン部屋にさ、製作中の洋服の型紙やら布やらいっぱい広げて、ミシンも裁縫道具もアイロンも使いやすいようにすぐ使えるところにあって、本当に毎日毎日朝から晩までミシンに向かっていたの。それはそれは楽しかったよ、好きな音楽を聴きながら作業に没頭している時間は至福だった。まだ東京にいた頃の話。

次はどんな洋服を作ろうかな~って、布屋さんのホームページを毎日チェックして。素敵な洋服はやっぱり布が命だから。布の選び方でさ、「いかにも手作りです」っていうダサい洋服になっちゃうか、「えー!それ作ったの!?」っていう商品みたいな洋服になるかが変わると思うんだ。

もちろん型紙のレベルとか、縫製の技術もあるだろうけど、それよりもパッと見ですぐ違いが表れるのはどんな布を使うかってことだと思うんだよね。

だからね、ミシンに向かっていない時は大体ネットショップで素敵な布を探していたし、日暮里の問屋街にも行ったし、たくさん買い物もして、一日おきくらいに買った布が送られてくる、みたいな日々でした。当然、作るよりも布を買う方が早いから、布の入った段ボールが次第に山積みになっていくの、笑

そんな日々を過ごしているうちに、どうせなら自分で作った型紙を販売しようと思い立って、型紙を販売できるようにきちんと書き直したり、説明書も作ったり、ホームページも作って、写真を撮ったり、封筒を作ったり、いろいろネットショップのすべてをやっているうちに、だんだん自分で洋服を作る時間は少なくなっていってね、布を買うこともなくなっていったんだ。

そうやって型紙ショップをオープンしてから10年くらいたったかなぁ。今となってはミシンもクローゼットの奥の方にしまってあって、買い揃えたロックミシンやらカバーステッチのミシンやらはプラスチックの色が変色しちゃったりしてる。

でもね、あの頃毎日、目を皿のようにして布を探していたネットショップからさ、今でも時々メールマガジンが届くの。新しい布を入荷しました!とか。まぁ、開いてみることはないんだけど、懐かしいお店の名前を見るたびに、なぜだか少し胸がチクリとするんだよね。

あれから10年も経つのにまだ続けているんだな、頑張ってるんだな、って思うからかな。私はやめちゃったな、って思うからかな。それまで私がいた世界から自分だけドロップアウトしちゃったみたいな気持ち。

もちろん、やめたことを後悔してるとかそういうことじゃないし、今は今で真剣に頑張るものがあって、それでいいんだと思ってる。興味や気持ちは移っていくものだから。

今は音楽に夢中で、朝から晩まで歌のことを考えてる、笑
今日なんて夢にも見た、笑
音楽に恋してると言ってもいいくらい。
ずっと私の片想いだけど。
片想いだから苦しいこともいっぱい。

でもさ、私が今音楽を頑張ってるからこそ出会えた人がいっぱいいて、家庭の中だけじゃない自分だけの居場所がそこにはあって、そういうのが嬉しいしありがたいな、と思うんだ。今いるこの世界も悪くない。



私がライブ活動を始めた頃に同じように活動していた友達は、今はもう活動していない人も多くて、まさか私が一番長く続けていくなんて思いもしなかった。続けることは難しいし、ずっと同じく強い情熱を持ち続けられるかなんて、わかるはずもないしね。

でもなんか、今、音楽を頑張ってる人たちみんな、ずっとずっと続けていって欲しいなぁと思うんだ。続けた先にしか可能性は無いんだって誰かが言ってた。続けている限り負けも失敗も無いんだって。

そうだよね、まだ終わってないもん途中なんだもん、まだ負けじゃない。

私も!
勝つまで続けよう!笑


何が「勝つ」ことなのかわからないけど、今はまだ途中なんだもん、良い時もあればダメな時もあるさ~!

最後に笑えればいいや!

がんばろうね!!


2019.7.12
ウスイヒロミ


ありがとうございます!創作の力と糧に!