見出し画像

自分を強くする「みそぎ」

「ぼんのくぼに滝の水を浴びせたら、一発で邪気が吹き飛ぶ」と聞いたのは1年以上前のことでした。それから、「みそぎ」に興味を持ちました。
とは言っても、気軽にできることではなく、しばらく時間が過ぎていきました。

境内の小さな滝です

そんな中、神社で行われる、若手経営者向けの合宿に、みそぎが組み込まれていることを知りました。自分が参加するのは場違いかな?と思いながらも、迷いながらもダメ元で問い合わせると、参加可能との回答。それで、思い切って申し込みをしました。

数日後、合宿の行程表が郵送されてきて、その迷いが驚きに変わりました。
なぜなら、2泊3日で3回みそぎ、と書いてあったからです。

えーっ、一回じゃないの?

参加費を振り込んだ後もずっと腹が決まらずに、心のどこかで迷い続けていました。

そんな気持ちの中で迎えた合宿初日は、気持ちの良い晴天でした。
その夜は、みそぎにあたっての、作法を教わりました。

まず、禊祓詞を唱える。
さまざまな型を行じ、言葉を唱える(大きく響かせる)。

初めて資料を見た時は、できるかどうか、再び心が揺れました。ただ滝に打たれれば良いのではないのか…こんなに作法があるのか、わたしにできるだろうか、と未知への不安は膨らむばかり。

翌朝は、5時に集合です。
早起きが苦手なわたしは、2時間おきに目が覚めました。予定通り早朝に起きて、男性は褌一丁、女性は水衣に着替えます。
昨日教わった型の動きや、禊祓詞を唱え、いよいよ準備万端です。わたしの心はまだ揺れていました。

1人ずつ終わっていき、いよいよ順番が近づいてきました。もうやるしかない、こんなに寸前になって、ようやく腹を決めました。
まずふくらはぎまで水に浸かり、顔や首に水をバシャバシャと掛けて、水に慣れる。それ程冷たくはありません。
すぐに順番が来ました。

両肩に水を受け、滝の真下に入ります。
まず水圧の高さに驚きました。身体を支えるのが精一杯です。
必死で水圧を受けながら、ただ一生懸命に唱え詞を叫ぶしかありませんでした。

滝の中の数十秒が終わり、先導の神職の合図で、滝から離れて印を切りました。呆然とした心持ちで2礼2拍手をして水から上がって、初めてのみそぎが終了。

その日、もう一度夕方にみそぎを受けました。
初回よりも、水圧や水温の衝撃は和らぎました。
ぼんのくぼから水を受けると、水圧も身体でしっかり受けることができる、と身体で理解して、はじめての時に感じていた不安は払拭されました。

2回目のみそぎは、齢70歳の宮司さんが先導でした。
声と態度と全てに気魄が満ちており、先導をしていただけるありがたさに、ただ静かに感動と感謝をしていました。

最終日の早朝、3回目を終えて、全3回のみそぎは無事に終了。
1回目よりも2回目、そして3回目は、みそぎの前の作法、そしてみそぎを受ける時の様子も、皆それぞれ板についてきた気がします。

最初の動機は、邪気払いでした。
3回のみそぎを経験して、本当にそのような効果があったのかは、分かりません。

初めてのみそぎを通して、
なかなか腹が決まらない、
初めての経験を恐れる…
どっしりと構えていない、情けない自分自身が、炙り出されたように感じられます。

一方で、小さな心境の変化もありました。
それは、今この瞬間に生きている自覚、自然を畏れ敬いつつ、人との関わりの中で、生きているという実感が、ほんの少し深まったようです。
他にも、2泊3日の合宿の中で、多くの方から学びました。それを生かせるかどうかは、これからの自分次第。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?