『短歌人』2018年5月号掲載五首

色のなき月の光の冷たきにぞくぞく映えて墓石の立つ

クラシック音楽会で手渡され小枝に桃の蕾膨らむ

暖かき風に釦を開けたまま小鳥の餌をついばむを見る

啼きながら白鳥一羽はぐれたり北帰行にはまだ早かろう

卒業に分かれるひとに樫の木を削り出したるペーパーナイフ