犯行時の心理学的状態をどう説明するか

犯行時の心理学的状態は最終的に裁判所が当事者の責任能力を確定する上で大切な情報になる。しかし、その場に居てもいない他人が何からどう推測したら良いのか、大きな問題だ。

果たして犯行中の当事者の心理状態が、善悪を弁識できる状態なのか、どれほどそうなのか、酷く障害されているのか、全く喪失しているのか。これらの状態を区別して、客観的に正しく指摘することは出来るのだろうか。

普通の人にしても、犯行時に善悪の弁識能力を具えていたかについて、平常時にはそれが問題なく働いているから、犯行時にも当然期待できると類推するのだろう。現実に犯行時に当人が善悪を弁識したか否かは、実際のところ不明な訳である。多くはカッとなって衝動的に殴ったり刺したりしてるのだろう。

その意味で、精神障害者といえども、犯行時に実際行為の善悪を考えたか否かは、不明であろう。正常人と同様に、犯行時に行為の善悪を考える能力を有していたかが問題とされ、類推する他ないのではないか。