2018年映画ベスト10

1  シェイプ・オブ・ウォーター
2  ペンタゴン・ペーパーズ
3  ファントム・スレッド
4  焼肉ドラゴン
5  クワイエット・プレイス
6  15時17分、パリ行き
7  アンダー・ザ・シルバーレイク
8  ボストン・ストロング
9  君の名前で僕を呼んで
10        カメラを止めるな!
次点 ボヘミアン・ラプソディ、スリー・ビルボード

『ボヘミアン・ラプソディ』(ブライアン・シンガー監督)が時点かよとか、『万引き家族』(是枝裕和監督)が入ってないぞという声が聞こえてきそうですが、この2本はほっといても客が入るので今回は入れてません。

まずは、『シェイプ・オブ・ウォーター』(ギレルモ・デル・トロ監督)と『ペンタゴン・ペーパーズ』(スティーヴン・スピルバーグ監督)ですが、どちらも政治色が強い作品です。『シェイプ・オブ・ウォーター』は「不寛容へのアンチテーゼ」であり『ペンタゴン・ペーパーズ』は「ジャーナリズムの矜持」がテーマです。両者ともセルフィッシュなトランプ政権(多くの場合はドナルド・トランプ本人)への「No!」を突きつけるものです。

一方、『15時17分、パリ行き』(クリント・イーストウッド監督)と『ボストン・ストロング』(デヴィッド・ゴードン・グリーン監督)は「我々はテロリズムには屈しない」というテーマのやはり政治色のする映画群で、先の2本と合わせてみると2018年の世界を包んだ空気感は決して穏やかなものではなかったな、という印象を持ちます。

そして、『ファントム・スレッド』(ポール・トーマス・アンダーソン監督)と『アンダー・ザ・シルバーレイク』(デヴィッド・ロバート・ミッチェル監督)は一転して作品性が高い映画です。その監督ならではの映像美、物語性が前面に出ていて、2人ともLAという都市と親和性の高いところが興味深い。また、『君の名前で僕を呼んで』(ルカ・グァダニーノ監督)はこの2本のように高い作家性を示しながら、LGBTの2人をの主人公に据えることで『シェイプ・オブ・ウォーター』のような「不寛容に対するアンチテーゼ」という要素も内包している。『ボヘミアン・ラプソディ』のフレディ・マーキュリーも移民という出自に加えてLGBTでもある。彼の苦しむ姿があってこそのライブでの高揚感。それにしてもここまで大ヒットするとは思いませんでしたね。

『クワイエット・プレイス』(ジョン・クラシンスキー監督)はホラーの体を取りながら家族の物語を提示する映画です。知人のSNSで「映画館で前にいた女子高生たちが号泣していた」という記事を目にしました。私も試写室でウルウルきました。この映画で描かれている父親像は、アメリカ合衆国の父たるドナルド・トランプとまるで正反対。ちょっと不器用な『焼肉ドラゴン』(鄭義信監督)の父親にも似ていて、2本とも家族とは何なのかを考えさせられます。

最後に『カメラを止めるな!』。この映画は楽屋落ちっぽい部分も含め抜群に面白い。ただし、万人が見て面白いというわけでもないのが諸刃の剣ですね。


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本間ひろむ

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