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中学受験の国語を個別指導していて、見えてきたボトルネックと打ち手

他の教科でも言えることですが、正直、塾が成績を伸ばしてくれるわけじゃないから、親が我が子の課題を把握して、対処しないといけないのが中学受験です。

でも、国語は手がかりが少ない・・・というか、ものすごく見えにくい教科です。だから、相談がとても多いです。

この夏、たくさんのお子さんに対して国語の個別指導をさせてもらいました。ちなみに、多くの子はオンラインです。
そうしたら、課題の正体が具体的に見えてきました。
結論から言うと、一人ひとり、強みも課題も違いすぎて、授業で何とかするのはほぼ無理だな、と感じました。

でも、個別の課題に絞り込んで対処したら、かなりよくなり結果につながりやすい教科だとも感じています。


読む力

文章の字面は追っているけれど、理解できていない。
物語文ならあらすじを、論説文なら筆者の主張をまとめて言ってもらうと、概要の理解度がよくわかります。

理由は様々です。
語彙の欠如の問題、文同士がつながっていかない、段落ごとの関係をとらえられない、場面間の変化を読み取り切り替えられない、などなど。

読んだことを覚え続けていかないと、文章としてつながっていかないので、そういう記憶力を養っておかないと、入試問題のような長文では歯が立ちません。

一朝一夕では身につかないので、こういう部分では読書経験が間違いなく生きます。

ただ、「あらすじ」や「要約」を本文を見ずにまとめる、と思って本文を読む子たちは、着実に読めるようになっていきます。そして、まとめるのも上手になります。

読解は「目的性訓練」だと、よくわかります。

解答の根拠となる箇所を特定する力

国語を苦手とてしている子は、設問を読んで「何を探すか」を考える前に、「どこが解答だろう?」と本文に戻って探しはじめます。
その子なりの「それっぽいところ」を見つけて、文字数に応じて削ったりくっつけたりして記述します。

「その子なり」というところに、個性・・・つまり、その子の課題が出るので、一つずつ修正したり承認したりしていかないといけないのが指導の難しいところです。

答えを書いた後ではなく、答えを書く前にどこを探しているのか、なぜそこを探したのか、を観察したり問答しながら、原因を見つけます。

設問や文章の構造的に、傍線部の前にしか書かれていない(逆に、後にしか書かれていない)とわかるかどうか、など、その段階で間違えてしまっているケースもあります。

答えを書いた後では、解答を作成するプロセスを把握することも修正することもしにくく、効果が薄くなります。だから、「即時フィードバック」が功を奏するのです。

行動・様子から心情を言葉にする力

小6の子でも、「この時の〇〇ちゃんの気持ちを一言で?」と聞くと、「うれしい・悲しい・悔しい・怒ってる」みたいな言葉しか出ないことは珍しくありません。

彼らは「感極まって」とか「うしろめたくて」とか「憤慨して」とかいう気持ちの言葉を「知って」はいます。
でも、「使えない」。

だから、登場人物の微妙な気持ちを段階に分けて表現することができない。
答えを聞くと、「あー、そうか」とはなりますがアウトプットができません。

心情を表す言葉をアウトプットするには、その状況のその子の気持ちをアウトプットする機会を増やして、トレーニングするしかありません。

これはある種の「反復練習」が必要です。

設問に合わせて解答を考える力

「なぜ?」「どうして?」と理由を聞かれたら、「〜から。」で締めるに代表される課題です。

もちろんこのレベルでなんとかなるわけではありません。

「なぜですか?」と聞かれると言うことは、設問または傍線部が結果となるような原因・理由を持ってこないといけません。

でも、単に答えの該当箇所っぽいところをもってきて、最後強引に「から。」で終わっている子が結構います。

因果関係が成り立っているかという検証が必要です。
因果関係が成り立っているかどうかがわからないと検証はできません。
ここは結構つまづきポイントとして大きいところです。
そして、個人差も出やすいところです。

因果関係とは何かを、わかりやすい例で知る段階。
自分の作った解答と模範解答を見比べ、因果関係が成り立っていないことを学ぶ段階。
設問に対して因果関係の成り立つ解答を自力で作る段階。

と、その子のいるステージが様々だからです。

個人差・・・つまり、一人ひとりの課題を知って、その子に合った課題に分解して絞り込んで提示する。
まさに「個人別指導」です。

結局、何をしたら即偏差値が上がるのか?

そんなのないですよ。

でも、地道に課題分析してトレーニングプログラムに落として、コツコツ実践すれば上がっていくはずです。

ちなみに、夏前から指導させてもらっている子たちは、全員が国語の成績を上げています。100%。しかも、かなりの偏差値を上げている子が。
お母さんたちが驚いて嬉しい報告をくれますが、こっちも驚いています。そんなに上がるのか、と。子どもはすごいな、と。

まだまだ、数百事例で成果を出したわけじゃないから、自分が指導したからという因果関係は証明できないんですけど。

でも、あえて今の段階で成功要因を分析すると、上記の「目的性訓練」「即時フィードバック」「反復練習」「個人別指導」をした結果です。

いや、実はまだまだあるんですけど、あんまり言って再現されちゃうと、うちの生徒の不利益になっちゃうので、一部分だけにしておきます。

なぜ、これができるかというと、今まで数百人の幼児・小学生をそういう観点で観察し指導してきたからです。

授業ではなく、1対1の個別指導をしてきたわけでもありません。複数の子をいっきに〝個人別〟指導してきたので、より瞬時にその子の課題や強みを把握する力が必要でした。そういう指導を追求してきたので、1対1の個別指導はじっくり観察できて、その子のことをより把握しやすいというわけです。
中学受験の指導だけではないものの、それが生きているのがすごくよくわかります。

そして、1回個別指導をするたびに、見えるものが変わっていくのもよくわかります。こちらのスキルも磨かれています。だから、楽しくて仕方ない。

どういう子に対しても、その子の課題を把握して、適切な打ち手を打つのは大変です。それができたら、プロなわけなので。
でも、我が子一人であれば、可能な場合もあると思います。そんなヒントになればなー、と。

無理な場合は、ぜひうちへ。(宣伝)
といっても、今年(2024年受験組)はもう指導する余力がないので、来年度以降の予約を受け付けています。


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