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#スローシャッター マガジン Vol.11 椎名純平からの手紙

田所敦嗣さんのことを知ったのはTwitterだった。

Twitterが時と共にただなうなう言っていればキャッキャ楽しめるだけの場所ではなくなっていき、トゲついた言葉が行き交うようにもなり、ぼくはそんなムードに少し疲れを感じ始めていた。そこで知り合い(おもに音楽家)だけでなく、接点はないがツイートが面白い方々もフォローするようにしようと探っていく中で偶然田所さんに行き着いたのだ。確か「ガステーブルの魚焼きグリルの中をうまく撮影するとSF映画っぽい」というようなツイート(添えられていた写真にはBB-8が写っていたような)がバズってらして、それをきっかけにフォローしたと思う。

そして程なく知った彼のnoteで、ぼくはその文章に静かな衝撃を受けた。気持ちの盛り上がるままに、読後すぐ田所さんご本人に「これがいつか本になる日を楽しみにしています」というメッセージを送りつけたくらいだ。だからぼくは『スローシャッター』という名を得たこの本が遠からず世に出ることをずっと確信していたし、ちょっとだけ「ほらやっぱり出たよね」とエラぶりたい気もしている。


彼の文章で一番心に残るのは、そのまなざしだ。

熱くもなく、クールでもなく、ただ真っすぐに人を見つめるその目。獲物を射抜く肉食獣のようなそれではなく、周囲を警戒する草食獣でもなく、子を諭す親ではなく、また親に教えを乞う子でもなく、ただひたすら、真っすぐ。体温がありつつベタつかない爽やかなまなざしがただただひたすら心地いい。この文章をいつまでも読んでいたいと思う。余談だが、彼が一度ぼくのライブに遊びに来てくださったとき、正直その目が怖かった(苦笑)。ぼくを見て何を思ってらっしゃるのかと。ぼくは作家と写真家の目が怖いのだ。


なんてことはさておき。

『スローシャッター』、ぼくは作詞作曲その他作業中の手元、あるいは枕元に置いて束の間の旅を少しずつ楽しみたい。彼のまなざしが映した世界を追いかけていくのだ。何度でも味わえそうで、そしてきっと読む時の気分で色合いがさまざまに変わりそうで、ほんとうに楽しみ。

椎名純平(歌手)
1974年生まれ。2000年「世界」でメジャーデビュー。以降様々なプロジェクトを交えながら独自の音像を追求中。2016年から毎年ライブ会場限定アルバムをリリース。現在はギタリスト・竹内朋康氏と共に各地をツアー中。

帯文をお寄せいただいたお話(著者・田所敦嗣さんによるnote)

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12月29日 大阪 梅田ラテラル 「#全恋 #スローシャッター ジョイント大忘年会」

1月15日 三省堂書店 札幌店 「本になっても、旅はつづく。田所敦嗣×上田豪×田中泰延」

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