“たそがれの國”に寄せて

こんにちは! ひろです!
今日はアギラの完結と、どうにか製本までこぎつけることができた記念に、少しだけ蛇足じみたお話を書いてみようかなと思います。

たそがれの國の世界に最初に出会ったのは、三年前のことです。
“黄昏”という、絶望がそのまま具現化したような、巨大な脅威に立ち向かう人々。ですが、立ち向かう、という言葉は、このシリーズにおいては少しだけ特別な意味を持っています。

「この世界に生まれてしまった時点で、どんな形であれ、黄昏に立ち向かっている」

これは、この世界の生みの親である綿谷真歩様(ここから先はいつもどおり真歩さんと呼ばせていただきます)がとある折におっしゃっていた言葉です。私はたそがれ世界の根幹とも言えるこの言葉が好きで、そんな言葉を生み出した真歩さんの、まるで指先から熱がほとばしるような文章で描かれていく、鮮烈で力強い、そして時には不格好に黄昏に立ち向かっていく人々の姿が好きです。ルーミさんやウルグさん、キトさんやメグさん、イリスさんやアインベルくんのその後ろ姿が、アギラを書くにあたってもずっと頭の中にありました。

拙作の中には、主人公であるハイク・ルドラ、彼の中に住む不思議な大鷲、友人のフィデリオ・アウシャや彼が愛する彼の隊員たち、他にも様々な人物が登場しますが、彼らや、この世界で暮らす人々は皆、歩む人生は違えど皆それぞれの形で目の前に立ち現れた“黄昏”に対峙しているわけです。年齢、人種、生まれの良し悪しすら関係なく、あくまでも平等に、そして強制的に、“黄昏”という厄災は降りかかってきます。戦う人も居るでしょう。抗う方法を模索する人も居るでしょう。しかし、自分や身近な人の死に怯えながら、ただ日常を暮らすことも、何もかもを投げ出して逃げ出すことすらも、結果的には黄昏に立ち向かった末の行動として、この世界では見なされてしまうのです。それはとても尊ぶべきことですが、同時にとても厳しく、残酷なことです。

そんな世界。“たそがれの國”——本当の名を“ソリスオルトス”というとある広大な國が、この物語の舞台です。そんな世界を、真歩さんは私たちに開いて下さいました。ご存じの方も多いとは思いますが、この世界でキャラクターを作成する際には、twitter上で作成された診断を行います。そして、かくいう私が最初に引いたのが、“王都を拠点とするトレジャーハンター”、“魂に宿る鋼玉のイシ”そして“青空の意志”だったのです。そこからハイク・ルドラという青年が生まれ、更に何本か短編を書いていく中で、旅の相棒が居て欲しい、と大鷲が生まれ、そうして大鷲が現れてからは、色々なことが次々と決まっていった気がします。

正直に告白するなら、このシリーズを書き始めた当初は、ただ主人公が古くて神秘的なかわたれの遺跡を巡り、世界各地の人々と出会っていく、ロードムービー的な形式の短編にしよう、と考えていました。(本編の特に序盤を何度も改訂しているのはそのあたりの整合性を取るためです。お恥ずかしい限りですが……)ですが、私自身がハイクと共に様々な創作者の方が生み出したたそがれの國の主人公の皆さんとの出会いを重ねていくうちに、気付けばアギラは遺跡を巡る旅から、自分のルーツを辿る旅へと姿を変えていきました。自分が為すべき旅ではあるけれど、自分の為の旅ではない。かといって、その大きな仕事を無視したまま先に進むこともできない。物語中、ハイクと大鷲が最も窮するのがそこです。彼らがどんな風に仕事を為すのか、それはぜひ、本編で彼らと一緒に見届けていただけると嬉しいです。

また、アギラはこれにて完結となりますが、真歩さんの黄昏シリーズはこれからも続いていきます。“失せ物探しの召喚士”アインベルくんが主人公の黄昏シリーズⅢが先日完結し(おめでとうございます!)、もう私は最終話を読んだ時の熱を今でもありありと思い出せるのですが、現在は過去編となるⅣの執筆が始まろうとしているということで、読者の一人として楽しみが尽きません。

ハイク・ルドラという一人の人間が見た様々な景色、掴み取った物と掴めなかった物、出会った人々の優しさや強さ、笑顔の美しさ……そうした物が、この話の中で少しでも鮮やかに伝えられていたら幸いです。何か一つでも残る場面があったことを願いつつ、拙文ではありますが、これからも少しずつ物語を描いていけたらいいなあと思います。

ありがとうございます。それではまた!




あとがきに代えて、感謝を込めて。
2018/3/15 洸

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アギラ -たそがれの國-

この小説群は、綿谷真歩さんの創作長編小説「たそがれの國」の世界観をお借りしています。 ※2018/2 改訂
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