見出し画像

早期退職をめぐる誤解/4%ルールにすがるな

佐藤ひろおです。早稲田の大学院生(三国志の研究)と、週4勤務の正社員(メーカー系の経理職)を兼ねています。

「会社を辞める」にとても関心があります。
『君たちはFIRE後どう生きるか: FIREして人生を変えた男女20人のリアルストーリー 新しい生き方への最高のバイブル:副業/高配当株投資/新NISA/不動産投資など、あなたは何で自由を得ますか?』を読んでます。
おもしろいので、皆さまもどうぞ。

最初のほうで、大きな気づきがありました。著者が事例を集めてインタビューをした、会社を辞めた人たち(FIRE)のなかで、資産を取り崩して生きている人はゼロとのこと。

資産を取り崩して「長い余生」を暮らすのがFIREだったはずなのに、会社を辞めたひとたちは、「毎日プールサイドでクリームソーダを飲む生活」をしてないんですね。※FIREのイメージ
タイトル詐欺?それとも、FIREという概念を鍛え足りない?

概念を鍛えるとは、「それが指すものは何か」「それが指さないものは何か」「指すとしたら、それはどのような要件によってか」をさまざまな角度から考えること。

FIREをめぐる誤解

早期退職やFIREのことをネット検索すると、必ず目に入る情報があります。トリニティ大学が編み出した4%ルールです。界隈?でトリニティスタディと呼ばれたりもします。
過去実績から計算してみると、年間の生活費の25倍の資産をたくわえ、半分を株式投資(インデックス投資)、半分を米国債券で運用すると、死ぬまで食いっぱぐれることがなかった。
取り崩し額が4%未満ならば、老後が破綻しなかったという。

4%ルールは、対象期間の実績(数値)で計算したところ、対象期間ではそのようになりました、という計算結果に過ぎません。

しかしわれわれ(21世紀前半の日本人)は、
「生活費の25倍の資産がないと、早期退職できない」
と思い込み、これならまだしも、
「25倍の資産さえあれば、会社をやめても大丈夫」
と思い込みます。
少し冷静になれば分かりますけど、25倍の資産がなくても会社を辞めて生計を立てる方法はある。ぎゃくに25倍の資産があっても、市況によっては生計が破綻することがあるでしょう。

どうしようもない誤解ですが、なぜこのような誤解をするのか(したがるのか?)のほうが大事です。「論理的にまちがってるよ!」「トリニティ大学は、そんなことを言っていませんよ!」「アメリカで当てはまっても日本で当てはまるとは限らないよ!」と指摘したところで、それだけでは何も生み出しません。

誤解が生まれる理由

ぼくの仮説ですが、
日本人のFIRE観、4%ルールの崇拝は、
会社員のメンタリティの裏返しです。

絶対安定・終身保証・老後も安泰、親や先生、親戚一同も大いに納得の「大正義・生活費の25倍」という資格・会員証を得さえすれば、すべての不安や苦しみから解放される。ご近所さんが後ろ指をさそうものなら、その指が反対側に折れ曲がり骨折する。
……という期待がないでしょうか。
加入が難関で(生活費の25倍の貯蓄は簡単ではない)、チケットを手に入れるのは困難が伴う。チケットのために、現在のすべてを犠牲にしても構わない。なぜならば、加入さえすれば(生活費の25倍の貯蓄を達成すれば)あらゆる困難が自動的に解決されるはずだから!!
……という、極端な二元論的な発想です。

会社員の忍従・依存のメンタリティと、
トリニティスタディ4%ルールに基づくFIREは、
表裏一体、「双子」の価値観だったんですね。

じゃあどうするか。
これから本を読んで事例に触れられるはずです。

※まだ「まえせつ」しか読んでないのにこの記事を書いた

この本によれば、FIREをしているひとは、みんなゲーム感覚で投資を楽しんでいるそうです。ぼくもそのゲームが好きで、昨日は外国為替の乱高下で、12万円の利益確定をしました。デイトレード。たいした金額ではありませんが、読書・昼寝のあいまにスマホをいじって、12万円が増えるならば悪くないでしょう。金額の高い専門書(中国思想系)を買おう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?