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タイトル詐欺考/ネットニュースはなぜつまらないのか

佐藤ひろおです。早稲田の大学院生(三国志の研究)と、週4勤務の正社員(メーカー系の経理職)を兼ねています。

インターネットの世界には、「タイトル詐欺」があります。面白そうなのでクリックをしたら、期待する情報が載っていなかったり、関係がない情報が載っていたりします。
クリックを誘導する小さな画像(サムネイル)にも詐欺が起こりがちで、「サムネイル詐欺」「サムネ詐欺」といいます。

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詐欺が強まるのは、「フォロー外からの流入を目指す」ときです。見ず知らずの人にクリックをしてもらう必要があるので、刺激つよめ。しかし、刺激が強い内容なんて書けないので、詐欺の印象を与えます。

裏を返せば、フォロー内(すでに自分を認知しているネットのユーザー)に向けて発信するときは、キャッチーさが失われます。その代わり、内輪の文脈に走るので、タイトル・サムネイルだけを見ても、意味をなしていないことが多いです。

・嬉しい(大切な)お知らせがあります!
・あの人にこんな一面があるなんて!
・このチャンネルの運営について

タイトルやサムネイルを見ても、どんなおもしろさ・役立つ情報が得られるか分からないけれど、継続的に見ている「知り合い」レベルならば、気になる(かも知れない)ことだけが、デカデカと謳われます。

偏りとバランスは適切か

外部に訴える、扇情的でハデなタイトル詐欺
内部に訴える、単体で意味をなさない断片的ポエム

この2つがあるでしょう。
自分がふだん触れている記事や動画、あるいは、自分が発信している記事や動画が、どちらに偏っているか、偏りすぎていないか、偏りのバランスを点検してみるとよいのかも知れません。

ネットニュースがつまらない理由

インターネットニュースは、発信元がどこの会社か(ライターがだれか)を区別せず、Yahoo!やGoogleから一斉に提供されます。
少なくともクリックするユーザーは、「〇〇新聞からの転載だから読もう」「ライターの〇〇さんの取材記事だから読もう」という動機で、ニュースをクリックすることはありません。
※クリックするまで提供元は分からないはず

Yahoo!やGoogleが各ユーザーの関心を(プラットフォームに)つなぎ止めておくのに都合がいい記事を、アルゴリズム?で発信する。
人間から見えればロジック不明。ランダムに感じられます。

記事の提供者は、有力なプラットフォームに、掲載し紹介し推薦されることによって、人生に一度か二度のアクセス数を稼げるので、
「フォロワー外を広く刺激する、タイトル詐欺」
を書くモチベーションが生まれる。

構造的に内容が伴わないので、クリックしたユーザーの満足度は低い。一夜のアクセス数を稼いで、ケタが3つぐらい上のインプレッションを得られるが、継続的な読者(フォロワー)は得られない。

人々の注意力の「焼き畑農業」をしているようです。
責任が不在、意思決定が不在なので、下手をすると、近年評判の悪いマスメディアよりも、さらに劣悪。テレビとネットの悪いところをつなぎ合わせたような悲しい状況だと感じます。

発信が内向きになりすぎた事例

タイトル詐欺、がっかり・サムネイルには2つの方向性がある。
バランスがくずれると悲惨です。

ぼくがこのことを気にし始めたのは、あるyoutuberを見たから。
コロナ禍の前、フォロワー(チャンネル登録者数)の上昇を目指していたyoutuberがいました。
近年はフォロワーの上昇が緩やかで(あるいは止まり)、動画の内容は過去にウケたもののくり返し(続編)ばかりになり、「視聴者に公表だったので、第2弾です!」「ご好評につき、第3弾!」となった。
サムネイルは、内向きの断片ポエムになった。
新規に伸ばすつもりはなくて、既存のファンに、継続的に楽しんでもらえればよいのだ、という感じになった。

メディアの特性(新規層の流入率)、自分たちのやりたいこと、客層(視聴者層)を分析した上で、「守り重視の伝統芸能」を演じることにした、という戦略があれば、それもアリだと思います。
また、「それ以外にやりようがない」という外部環境・外圧で、内向きに走っているならば、それも仕方がないでしょう。

しかし当人たちは「新しいことに挑戦し続けている」「新しい企画を出すために、知恵を絞り続けている」と感じているようです。
※そういうポーズかも知れないが、だとしてもチグハグ

新しいことをして、フォロワー数(チャンネル登録者数)を増やすことに注力しているのだ!!と言いながら、「いつものあれ」「身内のそれ」みたいなサムネイルばかりだと、そりゃあ伸びません。

バランスが難しいと思う仕事の例

ネットニュースは、瞬発的にアクセス数を稼ぐ勝負だ。詐欺スレスレで良いから、注目を一時的に引きつける。渋谷のスクランブル交差点の真ん中で、爆音を鳴らす心持ちで!!
もしくは、
有料会員(オンラインサロン)を囲い込み、内輪の満足度を上げるためのケアやメンテナンスを重視する。因習にとらわれた八つ墓村の寄り合いで、戦国時代から混血をくり返してきた運命共同体として!!

どちらも(狙ってやっているならば)全然ありなんですけど、ほとんどの発信活動は、この中間にあることが多いでしょう。

たとえば、ある業界の就業や転職に関するサービス。また、銀行や証券会社のサイト。通販サイト。定期的にログインして見に来て、自社のキャンペーン通知、広告を見て欲しい。ニーズが高まってきたら、わが社のサービスを忘れずにつかって欲しい。
必然的にサービスに係わる記事を出すでしょう。たとえば最大手の銀行から、「みんなの家計管理」「老後の備えは?」みたいな記事が定期的に発信されてきます。※通知を切っても切っても

この場合、ネットニュースの詐欺的な焼き畑農業では、サービス本体がウンザリされる。記事の発信担当者は、勘違いしてアクセス数を目指しがち。自分の担当範囲だけを見過ぎている。
かといって、八つ墓村内だけで通用するササヤキでは、「なんのこっちゃ?」とクエスチョンマークを大量発生させるだけだ。

この記事に書いた2つの軸のあいだで、どのあたりを狙っているのか、正しく狙えているのか?を考えたいものだ。

などと思いながら、愚にも付かないネットニュースやyoutube動画をクリックしてしまったときは、人知れず自己嫌悪に陥り、自分で自分をぶんなぐってやりたい!!と思って、日々スマホを触っております。

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