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全国旅行支援クーポンを仕入・経費に使った場合の税務上の扱い

佐藤ひろおです。会社を休んで早稲田の大学院生をしています。
三国志の研究を学んでいます。

2022年10月から12月、全国旅行支援をつかい、クーポンで買い物をした方は多かったと思います。もうあと数日で2022年が終わるのですが、「そういえば、全国旅行支援は、確定申告にはどのように反映されるんだっけ?」と、今さら気づくというゴテゴテさんの記事です。

旅行代金の値引き

まず、宿泊代金の割引は、値引きの場合と同じ。「安く買えた」という考え方をするので、帳簿上に登場しません。
ホテル予約サイトで、「定価は10,000円だけど、値引きして6,000円で泊めてあげるよ」って表示されていたならば、「宿泊費が6,000円」と認識すればよい。支払額、決済額はまぎれもなく6,000円なので、これは処理無用です。

現地使用クーポンの収入

現地で受け取った、旅行中だけ使えるクーポンは、税務上は「一時所得」に分類されるそうです。
「一時所得」で確定申告が必要なのは、単年で50万円を超えた場合。1日に3,000円までしかもらえない。期間中、166日間ホテルに泊まっていたならば、50万円に到達する可能性がある(休日の場合は1,000円になるので、実際はもっと日数が必要)。
しかし、10月から12月は90日しかないので(当たり前すぎる)、クーポンの受け取りのみにより、「一時所得」が50万円を超えることはない。

ただし、「一時所得」に分類される別の所得(生命保険の一時金、競馬や競輪、懸賞金など)と合算して、50万円が判定される。もしも今年、生命保険の一時金で50万円の受け取りをしていたら、クーポンを1円単位で所得として申告しなければいけない。ゴテゴテさんにとって痛撃でしょう。
「生命保険で25万円、競馬で24万円、クーポンで1万円」という組み合わせでも、50万円を超えるので、申告が必要です。つまり課税されます。

ぼく場合、2022年は、「一時所得」に分類されるものがクーポン以外に存在しないので、申告の必要はありません。

クーポンによる支出

クーポンは、1日や2日で使えなくなってしまう。宿泊先の県でしか使用できない。かりそめの「腐る貨幣」です。宝くじみたいなキラキラの紙切れだったり、専用のアプリでのみ表示される数字です。しかし、上で確認したように、金額基準によって申告を免れていようと、「一時『所得』」には違いない。要するに、自分のお金、自分にとっての財産には違いない。

自分のお金なんだから、これを支出した用途によって、確定申告に影響することがあるだろう。
本題ではないので複雑な判定はしたくないですが、「八百屋さんが旅行し、旅行先で現地の野菜をクーポンで購入し、帰宅してからその野菜をすべて店頭で売った」としましょう。これは、仕入代金です(と仮定した上で話を進めたいと思います)。
仕入代金は、利益をマイナスするお金です。つまり、仕入代金に対応した分だけ、税金が減ることになります。

通常は、過去の利益1000円-仕入600円=利益400円で、利益400円に対して税金がかかります。たとえば、400円*20%=80円の納税。
しかし、仕入代金を金額基準によって申告を免れた「一時所得」からひねり出したとすれば、(クーポン)-仕入600円=損失600円。600円*20%=120円の税金が減ることに……なるはずです。

変な感じがしますけど、クーポンで仕入をすると、税金が減るということになってしまう……ように思えますが……どうなんですかね。個別のルールを積み重ねていくと、こうなるはずですが、違和感です。

クーポンは家電量販店で使えたので、「仕事のためだけの消耗品」を買ったひとは、多いと思うんですよね。
旅行中の短時間で、とっさに使い道がなく、「どうせ仕事で使うもの」に流れたとひと、多いと推測します。1泊3,000円のクーポンをもらい、これを仕入や経費にしたならば、税率20%なら税額が600円減るため、3,000円+600円の現金を、自分で使える(使えた)という効果がある。ミクロで見ると恩恵がありましたが、社会全体でこれで良かったのかは知りません。

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