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『自己肯定感』が高い人は、ハラスメントを感じにくい人でもあります。

【ハラスメント自己防衛マニュアル(10)】

これまでに書いて来たハラスメント対策は、マガジンにまとめていますので、ハラスメント被害に遭っている方は参考にしてください。


前回に引き続き、三大ハラスメント(パワハラ、セクハラ、マタハラ)以外の、法律上の防止義務がないハラスメントについて書いています。世の中には、明らかに違法だと言えない、グレーゾーンのハラスメントが溢れていますが、私たちの受け止め方を工夫することで、ダメージを最小化できると考えています。


1、「自己肯定感」の高い人は、ハラスメントを感じにくい

 前回、「自己肯定感」の高い人は、他者から受ける行為をハラスメントだと感じにくいという話を書きました。

 ハラスメントは、必ず、人と人との間で発生するので、「他者が自分をどう思っているか」&「自分が他者をどう思っているのか」が、「他者から受けた行為をハラスメントだと感じるかどうか」に影響してきます。

  人は、初めて会った人との間でも、相手と自分の社会的な立場の差を、感じ取ろうとします。そして、それが想像の域を出ないし、事実と異なるのかもしれないに、自分が思い描いた社会的な立場の差から離れた言動をすることが、難しくなります。そして、自分が想像した社会的な立場の差(金持ちかどうか、優秀かどうか、力が強いかどうか 等)を意識して、勝手に引け目を感じたり、優越感をもったりもします。

 「自己肯定感」が低くなっている状態では、そうした社会的な立場の差を意識しながら、相手が優位だとおもわれる「他者の物差し」で自分のことを評価しがちです。そのため、他者から嫌な行為を受けた時に、「他者が自分の価値を低くみている」「他者が自分を大事にしていない」と感じやすくなります。

 逆に、「自己肯定感」の高い状態では、相手との社会的な立場の差を感じながらも、自分で自分のことをしっかり評価できているので、相手が優位だと思ったところがあったとしても、「他者が自分をどう思っているか(=他者の物差し)」に影響されにくいんですよね。相手には、確かに優れたところがありそうだけど、自分にも、相手とは違った良いところがあると。

 「自己肯定感」が高い・低いというのは、私たちの心の状態なので、常に揺れ動いていますが、人によって、高ところで揺れている人もいれば、低いところで揺れている人もいます。高低の揺れ幅が大きな人もいれば、安定している人います。

2、「自己肯定感」を高めるに「自分の物差し」を育てよう

 「他者の物差し」は、評価する他者次第で、評価の軸が変わってしまいます。「評価する人物が変わったら自分自身への評価が正反対になった」ということも珍しくありません。皆さんにも、そういった経験があるのではないでしょうか。

 たまたま出会った人たちの「他人の物差し」で、自分自身の価値を評価をしていたら、当然、自分自身の価値評価が安定せず、結果的に「自己肯定感」が損なわれてしまうのです。ですので、「自己肯定感」を高めるためには、心の中に、自分自身を評価するための揺るぎない「自分の物差し」を持たなくてはなりません。

 しっかりした「自分の物差し」を持っていれば、ある日突然、自分の評価が180度変わってしまうようなことは起きません。また、日々の生活の中でも、「自分の物差し」に沿った行動を選択するようになるので、歩むべき方向を見失わずに、「正しい努力」を重ねることができるようになります。

 「自分の物差し」は、時間をかけて育ててゆくものだと思います。 

 個人的なことを書けば、「どのような物差しを育ててゆくべきなのか…」ということについては、僕自身も、まだまだ試行錯誤を続けている途上にあることをお伝えしたいと思います。

 また、これまでの人生を振り返ってみると、年齢を重ねが結果、評価軸が変化した部分もありますから、「歩み続けると、どこかで一定の境地にたどり着く」というものではないのかもしれません。

3、「自分の物差し」はいくつもあっていい

 「幸せ」の感じ方が人それぞれであるように、自分自身を評価するときに用いる「自分の物差し」についても、いろいろな基準があってしかるべきなのだろうと思います。

 また、何かを評価しようしたときには、たった1つの絶対的な基準で決定するこよりも、いくつかの基準によって総合的に評価することの方が、適切なことも多いように思います。人物に対する評価は、まさに総合評価であるべきでしょう。

 例えば、料理を評価するとき、「値段だけ」「香りだけ」「塩加減だけ」などのたった1つの基準で、その料理の良し悪し評価をすることはできません。

 また、ある日に食べた料理を美味しいと感じたとき、そこには、「誰が作ってくれたのか」「誰と食べたのか」「食べる場所はどこだったのか」など、料理そのものではない評価要素も含まれてきます。

 ある人物を評価するとき、私たちはいくつもの評価軸を持っていますが、どれか一つの要素だけで人物の評価を行うことはできません。

 「お金」があれば、「容姿」が美しければ、人は幸せになれるのか?

 「健康」であることの価値は、どのように評価すべきなのか?

 「優しさ」だけで良いのか?「厳しさ」だけで良いのか?

 自分自身へのこうした問いかけを通じて、心の中に「自分の物差し」を育てて行くことが、「他者の物差し」に振り回されない「自己肯定感」を育てることにつながるのだと思います。。