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陳独秀、胡適、顧准

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陳独秀(1879-1942)を中心。胡適(1891-1962)、顧准(1915-1974)も扱う。
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#孫冶方

顧准ー上海での青春時代1931-40

 呂崢《非如此不可‘顧准傳》遼寧教育出版社·2014年pp.16-33による  顧准(1915-74)がいかに早熟だったかを示す話は多い。潘序倫が上海に開いた立信会計士事務所で頭角を現した彼は1931年、わずか16歳で立信会計士事務所が開いていた夜学の講師として会計学を講じた。その最初の年、夜学に来ている彼より年上の人たちは、自分たちよりはるかに若い講師に反発した。やむなく潘序倫は1週間で、顧准を講師から降ろしたものの、雑誌『会計季刊』の編集を任せた。この時の苦い経験は、顧

王元化「世界には寂しさを感じないこのような人がいる」1989年2月24日

王元化“世界上有這樣的人不會感到寂寞”載《從理想主義到經驗主義》光明日報出版社2013年pp.1-3は1989年に予定された大陸での初版のために用意された序文。しかしこの初版は六四事件に到る政治的混乱の中で実現しなかった。この文章は以下にも収められている。王元化<懷顧准>載 《顾准追思录》中央编译出版社 2017年pp.13-16。 p.1 顧准の《理想主義から経験主義へ》は発表のため書かれた著作ではない。これは作者がその兄弟の求めに応じて時々に書いたメモであり、時間

衛興華《社會主義經濟學》2004

陳東琪主編《1900-2000中國經濟學史綱》中國青年出版社, 2004より第1章社会主義経済学pp.1-22 を抄訳。この章の分担執筆者は中国人民大学の衛興華(1925-2019)である。(写真は成城大学1号館中庭 2019年6月21日) p.1 第一節 社会主義経済学の萌芽時期    一、社会主義経済学の最初の探索  20世紀に入るところで、マルクス主義が中国に伝播し世界で最初の社会主義国家ソ連が建設され、社会主義生産関係を研究対象とする社会主義経済学が生み出され