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ブレグジット

 2019年3月29日に迫る英国のEUからの離脱(ブレグジット)。いわゆる合意なき離脱(離脱により英国からEUに輸出する場合、そのままでは関税が賦課されるほか通関手続きも発生し在庫積み増しコストも発生する(写真は成城大学1号館中庭)。また離脱後、世界各国との経済連携協定EPAの継続するための協定はほとんど進んでいない。このようなさまざまな協定もない、あるいは合意のないままの離脱を合意なき離脱という。仮に合意なき離脱に陥ると、ヒトやモノの移動にかかわる実務面での混乱が予想される。金融に関してはすでに1年間、英国の規制とEUの規制を同等に扱うことで合意しているが、いわゆる単一パスポートは失効する)になる恐れが高まるなか、多くの企業が英国からの離脱を始めている。2019年2月19日のホンダの英工場閉鎖の発表はその一例だ。
 事態が悪化しても、ブレグジット見直しにすぐならないのは、EU離脱支持の強硬派の意見(EUルール EUの支配下に英国が置かれることへの反発からこのまま離脱で構わないという意見)が国内では実はかなり強いことに原因がありそうだ。そうだとすると、これはイギリス人自体の選択の問題であり、どうなるかは静観するしかない。ブレグジットではっきりしたことは、歴史の進展とともに、国境がなくなってゆくというお話は、それほど単純にはできないことが改めて証明されたということだろう。今後については、このまま混乱を回避する打開策もないまま3月29日(合意なき離脱)を迎えるという見方と、EUとの妥協によって、離脱時期の6月末までの延期交渉がまとまるとの見方の二つが現在有力だ。

 2019年1月15日 英議会下院 英政府の離脱案(北アイルランドトアイルランド間に物理的国境を復活させない具体策がみつかるまで英国全体を関税同盟に残す案:2018年11月英政府とEUとの間の離脱協定案に盛り込まれたもの EU27ケ国でアイルランドも含めようやく合意したもの アイルランドの輸出入の多くは英国経由のため英国の混乱はのぞましくない したがってこれ以外の選択肢は英政府にはなかった)を202対432の歴史的大差(保守党から大量の造反)で否決した。
 これで英国下院は、この問題を自分では解決できなくなったのではないか?なお英国の議会が混乱するのは、どの政党も過半数を握れないハングパーラメント(宙づり議会)状態にあるためとされている。直近の選挙は2017年。任期は5年。議会の解散は議会の3分の2の同意が必要。650の議席のうち、保守党が317 民主統一党(アイルランド)が10が与党。 労働党が256 スコトッランド民族党が35 その他が32。
 2019年1月16日 英議会下院 内閣不信任案を否決 306対325(下院議員は650  議長団は採決に加わらない) 
 2019年1月29日 英議会下院 超党派Gによる離脱延期案(与野党に支持あり)を僅差で否決
 2019年2月19日 ホンダ 英南部スウインドン工場の2021年中の閉鎖を東京で発表 
 2019年2月25日   労働党のコービン党首(表面上は親EU。本音では離脱派と噂される)。2度目の国民投票支持を表明。
 2019年2月27日 英議会下院 超党派議員Gによる6月末までの離脱延期案の議会での採決(3月13日議会が合意なき離脱の回避を求めた場合に3月14日に実施)を502対20の大差で可決。

#ブレグジット #成城大学キャンパス

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