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胡鞍鋼 鄢一龍 等《中國新發展理念》,2017

   手元にある胡鞍鋼,鄢一龍,唐嘯等《中國新發展理念》浙江人民出版社,2017年3月によれば、2015年10月、中国共産党十八届五中全会は、新たな発展理念として「創新発展,協調発展、緑色発展、開放発展、共享発展」を「五大発展理念」として掲げた(p.2)。同書によれば、2020年にも第十三次五か年計画(2016-2020)が終わり、2020年に全面的小康社会の建設(全面建成小康社會)という、党の100年かけた目標が実現されることをにらみ、また新常態という新たな経済環境の変化をにらんで、新たな発展理念が掲げられた(pp.1-2)。(写真は成城大学成城池)
   ただ正直な感想としては、発展理念についての本書の説明はかなり抽象的である。安全発展と、人の全面発展とを加えて、次のように言う。「創新発展は発展の動力であり、協調発展は発展の芸術であり、緑色発展は発展のモデル(模式)であり、開放発展は発展の助力であり、安全発展は発展の保障である。新発展理念の核心と最終目標は人の全面発展の実現である。」(p.12)
 そして少しあとの箇所では、中等所得(収入)より上に歩みを進め、高所得に邁進する中国の新発展理念として、創新、協調、緑色、開放、共享、安全を上げて、それが五カ年計画のミクロ的基礎になっている。これは中国の発展理論の創新だとしている(p.16)。このあと、創新、協調、緑色、開放、共享、安全がさらに言葉を重ねて説明されるのだが、それぞれの字義から展開できる以上の内容には乏しい。
   本書の意味は本書後記から判明する。もともと2010年8月に、胡鞍鋼たち清華大学の国情研究のグループは、第十二次五カ年計画(2011-2015)の考え方として、「緑色発展、創新発展、協調発展、共享発展、安全発展、共贏発展」を提起した。胡鞍鋼はこの考え方をその著書や論文、報告書で繰り返し主張し、ついに2015年10月、習近平同志(最終学歴は清華大学大学院)の第十三次五か年計画(2016-2020)を説明する講話に五大発展のフレーズが入った。その事実を世間に伝えたかったようだ(pp.179-180)。
   新発展理念は悪いことを主張しているわけではない。しかしその内容は抽象的で魅力的とはいえない。胡鞍鋼という人は江沢民が、ブレーンとして評価した人というのが私の個人的な印象だ。習近平同志のもとでも、胡鞍鋼の活躍は続くのであろうか?

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